東の大陸の発展とレティシアたちの鬱憤晴らし
戦艦武蔵を旗艦に4隻は白の大陸へと巡航していく、
途中野良系の魔物複数の襲来を受けたが返り討ちにした、
ただ殺すことは避けた、遠くに子供が見えたからだ。
すると紀伊艦長のタケシが転移魔法で何かを呼び寄せた、
それは前に俺達が蹴散らしたエニウェア配下の死骸の山だった、
タケシはそれらを野良の魔物に与えた。
野良の魔物は驚いていたが・・
子供達の鳴き声で我に返り急いで死骸の山を持ち帰る、
他の魔物たちも死骸の余りに群がり俺達から目を外す、
その隙に各艦始動、急ぎ巡航しスピードを上げ離れる。
俺達の行動に・・
疑問を持つ天使族のレティシアとショウコさん、
どうして魔物を殲滅しないのかと・・なぜかサーラに尋ねる、
サーラがなに言い出すか不安だったが・・
「戦う必要ないでしょ?逃げるが勝ちよ!」
・・・
まあ正解としよう。
俺達はあくまでも自衛のために戦うだけだ、相手の殲滅は論外、
戦う必要が無ければ逃げもアリだと思う、嬉しいことに・・
皆もその考えに賛同してくれている。
4隻は途中の妨害がありながらも、ほぼ予定通りに動いている、
途中の東の大陸が見えてきた、するとビスマルクとティルピッツ、
その後ろには伊吹と阿蘇が俺達を出迎えてくれた。
「長旅お疲れ様です、ここからは我々が護衛します」
ビスマルク艦長のメディが爽やかな声で連絡してきた。
「ああ・・ありがとう、頼むよ!」
「お任せください!」
ビスマルクを先頭に横に伊吹と阿蘇、俺達の後ろにティルピッツ、
彼らに護衛された俺達は戦闘態勢を解除して普段着に着替える、
東の大陸では各種族が集まり俺達を大歓迎してくれた。
港に入ると・・
新たに大きな城が近くに建設されていた、ここが拠点らしい、
各種族が会議や集い、祭りなどの行事に使うための城だそうだ、
城の名前を尋ねたが・・
「拠点城!」
そのまんまだそうだ・・
俺達は天使族20人と一緒にアトラス達が待つ拠点城に移動した、
ここで会議を開き今後の方針を決めるために俺が提案したからだ、
クリスティーナ達が住民たちとの再会に喜び抱き合っていた。
驚くことに・・
東の大陸は港はじめ各駅、生活環境は大幅に進化していた。
まず巨大な大和型4隻が余裕で入れる港、複線された列車、
各駅の食堂は広く大きくなって各種族が快適に利用できる、
勿論野良の魔物も利用可能、共存が確立されていた。
次にヤマダさんの村には新たな住宅が複数建設されている、
皆新しい服をまとい笑顔で農業や洋裁等の仕事に精を出している、
陸軍は新たに戦車を量産していて備えをパワーアップしていた。
その隣に住むメディ達もハイゴブリンのアパートを多数建設、
似たような体系の魔物も利用していて快適な生活を送っている、
体の大きな魔物たちは城の簡易版を造りそこで生活していた。
さらにスライムたちが戦闘機を量産、空の守りを強固にしている、
メディの両親像がある公園は土の総入れ替え作業を行っていた、
公園周りは新たに桜などの花の植物を植えている。
各地のドラゴン達は結界付近や広範囲での気流監視に余念がない、
それに加え戦闘訓練や環境の整備などで大忙しの生活を送っている、
子供達には新たに学校を設け俺達の技術や考えなどを教えていた。
俺達と各種族の代表が拠点城に集まり大会議を開くこととなった、
この会議は警備を除く全員がスマホで視聴できるようになっている、
野良の魔物達には各地の食堂のモニターを使いそれで視聴してもらう。
まず俺が総司令官として挨拶、続いてアトラス達ドラゴンが挨拶する、
続けてエリーナ達幹部、最後に天使族代表として・・ショウコさん!
レティシアは・・他の天使族が止めたのでふてくされている。
続けて俺が今までの経緯を説明の後・・自分達の考えを述べる。
「我々としては天使族とドラゴンが共存する世界を望んでおります、
もちろん我々も各種族も含め皆が快適に過ごせる世界を熱望しています」
続けてアトラスが東の大陸のドラゴン代表として語り出す。
「我々は天使族との交戦を望んでいません、共存出来るなら歓迎します、
ただ現時点天使族の詳細がわからないので念のため結界を展開しています、
天使族の考えと今後の動きなどを教えてください」
ショウコさんが語り出す・・
「今ここに居る我々20人は各種族との同盟、共存は歓迎の考えです、
ですが・・残念なことに我々は一枚岩ではありません、なので・・
現時点では今の状況以上の行動が出来ないのが本音です」
なるほど・・
代表のレティシアが食糧探しに出た時点でおかしいとは思っていた、
おそらく別に組織が複数あってそちらの勢力の方が強いのだろう。
「そこで我々はコウさん達に白の大陸への同行を依頼しました、
長らく他の大陸との交流がない我々に状況を説明してもらうためです」
「危険はないのですが?」
「それは・・」
危険だらけの雰囲気を漂わせている天使族・・
その雰囲気を感じた各種族は焦りの表情を見せる。
・・・
見てられないので俺が助け舟を出す・・
「危険は重々承知です、ですが白の大陸に行けるのは今だけです、
先のことを考えると白の大陸への不安を除く必要があるからです、
その為に最強の艦を複数用意しました、どうかご安心ください」
ここで木人形達が大和・武蔵・信濃・紀伊の簡単な紹介をした、
ただ魔法増幅などの詳細は省いた、これには大きな理由がある、
東の大陸にいる魔物に化け結界で帰れない天使族達への警告だ。
おそらく・・どこかで魔物に化けた天使族が見ているだろう、
出来れば戦いたくないのでこちらの強さをあえて宣伝したのだ、
アトラスが天使族を検索するかと尋ねたが無視するよう伝えた。
次にエリーナ達が今いる天使族から聞いた白の大陸の詳細を話す、
その中ではフェニックスの島の事も話した、皆が驚いていた、
ただ現時点行く術がないので今は保留扱いとした。
ショウコさん達天使族は・・
今いるメンバー限定ではあるが俺達との同盟を強く希望している、
念の為視聴者たちに異論はあるかと伝えスマホで返事するよう伝える、
5分ほど待ったが異論はなかったので同盟締結となった。
それ以降は質疑応答、メディ達が天使族に様々な質問をしている、
中には好みの男性のタイプとか趣味は何ですか?などなど・・
どうも東の大陸の住民達は天使族を華やかな存在と見ているようだ。
困るのは・・
それらの質問を眼を輝かせて返事するレティシアたち、
満面の笑顔で答えるたび歓声が起こるので大興奮している、
どうやら彼女達天使族は相当の目立ちたがり屋のようだ。
ここで会議は強制終了!場所を移し天使族の披露会に切り替わる。
余程白の大陸では粗末な扱いをされていたのか・・
レティシアに加えショウコさんも満面の笑みで踊りを披露してる、
その度に大歓声が起こるので他の天使族も次々舞台に登場、
鬱憤を振り払うかのように優雅な踊りを披露していた。
それを舞台の下で興奮しながら見ている各種族の若者たち、
その模様は各地に配信されルーム国や西の大陸の若者たちも熱狂、
自分達が大注目されてると実感した天使族はさらに盛り上がっていた。
・・・
俺達をはじめ各種族の幹部は呆れて・・
冷めた目でお茶を飲みながらモニターを流し見していた。




