スノードラゴンの誤解とサーラの弱さの理由
俺コウは机の上に乗る猫たちと戯れていた・・
「にゃ~~ん!」
「にゃあ~~~~~ん!」
可愛い・・・
俺はかなりの猫好きなのでホーリーキマイラ猫も関係ない、
キマイラ猫2匹も俺が好みの様でなんだかんだと甘えてくる、
この2匹はマジで普通の猫と同じ・・いやそれ以上に可愛い。
だが・・・
「にゃ・・・・・・・ん」
キマイラ猫たちはある目線に気づき急いで人間姿に戻った、
それを見た俺はガッカリして・・キマイラ達もガッカリ・・
俺達が振り向くと・・
「・・キマイラ猫・・すごく美味しそう・・」
物陰で目を光らせキマイラ猫たちを狙っているレイミがいた、
端から見ると女子高生が片想いの相手を隠れて見てるようだが・・
その眼は獲物を狙う猛獣の様でキマイラ達はすごく怯えていた。
・・・
俺はレイミを手招きして呼んだ!
「レイミ、君はキマイラ猫を食べたことがあるのか?」
「・・無い・・」
「なら何でキマイラ猫が美味しいと言い切れるんだ?」
「お祖母ちゃんが言ってたの・・猫はとっても可愛くて・・
食べちゃいたい位可愛いと聞いたから美味しいのかなって・・」
・・・
俺はソニアを呼んで詳細を尋ねた!
「昔召喚した人間の中に猫好きがいたのよ、そいつが言ってたわ、
猫は食べちゃいたい位可愛いからと聞いたから美味しいと思ったの、
ホーリーキマイラ猫は珍しいからきっと美味しいのかなって・・」
かなって・・
なんで可愛いが美味しそうになるんだ?
「似たようなもんでしょ?」
・・・
よく考えたら・・この世界は弱肉強食の世界だったな、
俺達は可愛い小動物をペットとして見るが彼女達には獲物だ、
生き残るために弱そうな小動物を狙うのは当然の本能だろう。
俺達の感覚とは大きく違うことを痛感させられた・・・
だが・・今の彼女達には十分すぎる食料があるんだ!
こんなにかわいい猫を狙う必要はない!
となると・・確認だけはしておこう。
「ソニア、君はホーリキマイラ猫を食べたことはあるのか?」
「無いわよ!」
「じゃキマイラ猫が美味いというのは単なる想像なのか?」
「言われてみれば・・そうかな?・・エヘッ!」
俺はソニアを脳天グリグリゲンコツの刑に処した。
他のスノードラゴン達を急ぎ呼び寄せて詳細を説明、
猫は獲物ではなくペット目線で見るようにと説得した。
それを聞いたサユミが極度に驚く・・
「ええっ!獲物じゃないんですか?」
クールなタケシがショックを隠せない・・
「そんな・・信じられません!」
どんぐり眼のショウが思わず叫ぶ・・
「嘘!あの丸さは肉まんの様で美味しそうなんだけど?」
・・・
俺は気持ちを切り替えスノードラゴン達にある条件を言う、
もし今後猫を獲物として見たらおやつを差し止めると宣言!
すると・・
「わかりました!今後は猫をペットとして見ます」
「そうですね、次回からはそうします」
「・・わかった・・おやつで我慢する・・」
「おやつの方がいいや!わかった!」
「わかったわ!あ・な・た!」
・・・
あっさりと気持ちを切り替えるスノードラゴン達だった。
これにより今後ソニア達はホーリキマイラ猫達をペットとして見た、
殺気が消えたことで猫達は喜び・・感激の涙を流していた。
やれやれ・・
ちなみにホーリーキマイラが猫の姿になるのは魔力を抑えるため、
元々の姿になると魔力消費がかなり激しいらしく緊急時のみ、
人間姿でも相当の魔力を消費するらしく手軽な猫になるそうだ。
俺は猫の姿に戻ったホーリーキマイラ達と食堂に向かう、
食堂にはサーラとそのお母さん・・エマツーが俺を待っていた、
なんでも俺に頼みたいことがあるらしい。
「もしエニウェアが攻めてきた時は・・助けてほしいの」
「当然だ!君たちは俺達が守る!」
「それは嬉しんだけど・・そうではなくて他のエニウェアを・・」
「よくわからないな、詳しく説明してくれ」
エマツーの話によると・・
エニウェアドラゴンは全部が強いわけではなく初級レベルも多い、
それらは頻繁に中級以上のエニウェアに苛められてるそうだ、
刃向うと殺されるので奴隷以下の扱いでも耐えているらしい。
「その初級レベルのエニウェアも好戦的なのか?」
「いいえ・・それらは私のように物事がわかるドラゴンばかりです、
敵と戦っても負けるのは目に見えてますから戦いを好みません、
ですが・・私達があなたに投降したことで・・・」
「どういう懸念が考えられるんだ?」
「サーラがあなた達に投降したことは既に知られてるでしょう、
そうなるとサーラと親しい友人知人たちに・・」
「俺達を攻撃させると?」
「その可能性は大です、おそらく特攻として最前線に送ってきます、
サーラへの見せしめとして後ろから攻撃することも考えられます、
撃ち落とされても問題ない使い捨てとして・・」
サーラはその話を聞いて涙ぐんでいた。
俺は少し考え・・
!
急ぎメディを呼んだ。
「メディ尋ねたいことがある、君は海の魔物とも話せるのか?」
「一部の魔物となら話せます」
「呼ぶことは出来るか?」
「対価となる餌があれば呼ぶことは出来ます」
「対価とは?」
「海の魔物が好むもの・・例えば魚です」
魚なら無人島で山ほど養殖している・・
「メディすまない、急ぎ海の魔物と交渉してほしい」
俺はメディに詳細を耳打ちをして・・
「わかりました、急いで交渉します!」
メディは急ぎ海にむかって走り出した・・だが?
どこで見ていたのかアグニが後を追いかけていた。
「あの~~どういう事ですか?」
俺はサーラとエマツー達に頭の中の計画を話した、
ただ彼女達が無意識にテレパシーを使うかもしれない、
それを封じるためゆっくり・・用心しながら伝えた。
「えっ?そんなことが出来るんですか?」
「嘘~!そんなこと・・」
「だがこのことは内密だ、君たちは芝居に徹してほしい、
俺達はスマホで情報を共有できるが君たちのテレパシーは危険だ、
あの首領が盗聴したら水の泡だ、今後絶対テレパシーは使うなよ」
「わかりました」
「うん!わかった!」
メディの活躍もありイカの化け物クラーケン複数と交渉が成立した、
魚を提供する代わりにある生き物を一度深海に隠して運んでもらう、
ただ空気が・・クラーケンは風船のような空気だまりを造れた。
酸欠の心配は不要とばかりクラーケンは自慢そうな表情を見せる、
その生き物の運び先はルーム王国の鍾乳洞にしてもらった。
俺は主要メンバーを集め作戦会議を開いて詳細を説明した、
各部隊の指揮官は頷き急ぎ現地に戻って戦闘態勢に入った、
各艦の一部の砲にはある特殊弾を装填して敵に備えた。
2日後・・
敵の接近を知らせる警報が鳴る。
紀伊と信濃はじめ各部隊はすでに南の大陸方面に集結していた、
エマツーの予想通りエニウェアドラゴンが複数飛んでくる、
その先頭にはサーラと親しい友人知人が脅されながら飛んでいた。
ここで豆知識。
エニウェアドラゴンは・・生まれた時は皆ほぼ中級のレベルらしい、
生まれた子供たちは定期的にある部屋に持ち込まれ選別される、
能力が高いと判断された子供に他の子どもの能力を移植する。
他の子の戦闘能力等を移植された子供は上級・特級レベルとなる、
逆に能力を獲られた子供は抜け殻のようになり初級レベル以下となる、
ほとんどの能力を奪われた者はその後奴隷や魔物の餌にされるそうだ。
サーラやエマツーも生まれた時にほとんどの能力を奪われたらしい。
いずれサーラも魔物の餌食にされる事を恐れたエマツーは焦っていた、
そんな時・・上から偵察を命令され俺達の存在を深く知ることとなる、
俺達なら娘を大事に扱ってくれると確信して行動に出たそうだ。
豆知識はここまで。
そのころ・・メディたちは鍾乳洞内の造船所で説明を受けている。
「おおまかな説明は以上だ!質問はあるかね?」
「大丈夫です!!!!!」
東の大陸のメンバーは気合いを入れて各艦に乗った。
「門を開け!各艦出すぞ!」
既に就航している伊吹が待つ出口では・・
東の大陸を守る新鋭艦が次々と出てきた。
次回更新は4月18日(日曜日)午前中の予定です。
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