総動員での新造艦製造とエマツーの誕生
エニウェアの首領がとても危険な相手だと皆が肌で感じた、
あの様子だと俺達に再度攻めてくることは十分あり得る、
まずは全員のスマホに今までの経緯を伝える緊急メール。
各地の皆はメールの詳細を見て・・さらに訓練に励んでいた。
次に海の守りが弱い東の大陸の新造艦製造を最優先とした、
これにより大和と武蔵の特殊改造は一時中断となる。
俺達を乗せた信濃と紀伊は急ぎルーム王国の軍港に戻った、
祖父木人形はメディを連れて鍾乳洞の中にある造船所に移動、
アグニ達東の大陸のメンバーも後を追った。
新造艦は全部東の大陸に所属させるので艦長の人選と設備等の相談、
それと設計図を参考に小型艦数隻の新規製造も急ぎ行うようだ。
現時点東の大陸に配属予定の新規製造艦は以下の通り。
● 戦艦2隻。
● 航空母艦伊吹とほぼ同型の航空母艦1隻。
● 軽巡2隻。
● 駆逐艦2隻。
「もう少し欲しいんだが・・」
アグニが訴える。
「すまんな、鍾乳洞のドックの造船能力ではこれが精一杯だ、
それに技術者も手一杯だ、これでも急いでいるんだが・・」
「お手伝いします!」
メディと一緒に来た熊の魔物とサイクロプスが力仕事の応援、
ハイゴブリンと魔法使いは部品製造の手伝いに専念している、
他のドラゴンや人間達も応援に来て出来ることを手伝っていた。
「この5匹のスライムは優秀な部下です、お使いください」
スライムは許可をもらい技術者木人形に取りつき情報を取り込む、
驚くことに技術者木人形の技術と知識を丸々コピーしたようだ、
一流の技術者が一気に5人増えた現場は驚くほどペースが上がる。
さらに手の空いた者は各地から次々と造船所へ応援に向かった、
皆が力を合わせて部品の製造や組み立ての手伝いを積極的に行う、
各艦が次々と仕上げの一歩手前まで組みあがった。
計画以上の速さで各艦が進水・竣工できそうなので・・
重巡洋艦一隻を追加で造船することとなった。
作業手順を把握した各種族は慣れた手つきで造船作業を行う、
重巡は瞬く間に組み上がり他の艦と並び進水、竣工となった、
あとは細かな調整と各部の試運転、それらは木人形に任せた。
3日ほどしたら各艦就航できるそうだ。
その後伊吹と合流して東の大陸に配備することとなる。
俺達は各自家に戻り休むことにした、メディたちはホテルに移動、
サイクロプスなどの魔物たちは信濃の収納庫が気に入りそこで休む、
俺はエリーナとエマ、そしてソニアと一緒に部屋に戻る。
夜の営みを希望されるかと思ったが・・
なぜか緊急の会議を俺の部屋で行うこととなった。
だがエリーナはなにかを思い出したように部屋から出て行った、
エマとソニアが俺に質問する・・
「ところで・・サーラ達をどうするつもりですか?」
「俺としてはどこかの部隊に所属させる考えだが・・」
「それもいいけど・・あの水晶球はどうするつもりなのよ?」
「水晶球?あれは単なる飾りじゃないのか?」
「何言ってるのよ!あれは魔道具なのよ!」
「えっ?魔道具なのか?一体どんな?」
その時エリーナがサーラを部屋に連れてきた、お供も一緒だ、
サーラの手には例の水晶玉があった。
なぜかサーラ達は一安心したかのように優しく笑っていた。
「コウさん・・おかあさんの新しい身体をお願いします」
新しい身体?
俺は訳が分からないのでソニアに説明を求めた。
要約すると・・
サーラの持つ水晶玉は魔道具でドラゴンの意識を保存出来るらしい、
事前に自分と水晶玉を魔力で繋いでおけば自動的に保存機能が働く、
身体が滅んでも精神や意識等は瞬時に水晶玉に保存できるそうだ。
ただ条件があって・・一度だけしか水晶玉に保存できない。
今回幸いにも通信中での出来事だったので魔力で繋がっていた状態、
サーラの母は黒こげになる前に意識だけは水晶玉に保存されていた、
母は一度意識は失ったが翌日回復したそうだ。
だが・・
身体が滅んでから一週間以内に別の身体に転移する必要がある、
それを過ぎたら水晶玉の保存機能が消えて粉々に砕けるそうだ、
そうなると水晶玉に保存してある意識等も全て消えるらしい。
「つまり・・サーラのおかあさんはまだ生きてるのか?」
「そうなの、肉体が滅ぶ前に水晶玉に意識を転移できてたの・・、
だから新しい身体を早く・・お願い」
「それなら!」
ソニア達は水晶玉に保存されたサーラの母親と交渉を始める、
新たな身体を提供する代わりにエニウェアの状況を教える事、
それと俺達と対等の同盟を組み危険には共に戦うよう提案した。
サーラの母親とサーラ、お供の2人はこの提案を快諾した、
もうエニウェアの世界には戻れないのでここに居させてほしい、
共に手を取り一緒に歩みたいと心境を語ってくれた。
そういうことなら・・
俺は前に女性木人形いやジェニーたちの人形を思い出した、
あれならサーラのおかあさんの意識の受け皿になるだろう、
念の為サーラ達にそれでいいかと尋ねた。
「うん!人間姿がいい!お願い!」
「わかった、手配する」
翌日・・
全員に緊急メールを送りサーラ達の経緯と意思を伝えた、
異論がある者は返答してほしいと追記しておいたが・・
誰からも異論は来なかった。
サーラの母親の新しい身体はドワーフの村から急ぎ呼び寄せた、
ガルーダやグリフォン達が協力してある身体を急いで空輸した、
その身体とは・・・エマそっくりの人形だった。
「他にはなかったの?」
俺もそう思ったが・・なんでもエマが自分からこの人形を推薦、
サーラの母親も気に入ったようで急ぎ人形に意識を転移した。
しばらくすると・・・
「あ~久々の人間の身体だわ~~」
エマそっくりの人形が動き出す、名前はエマツーでいいそうだ、
俺とデーヴィドはその名前を聞き・・
昔熱中していたアニメのモビルスーツ・・
ガン●ムマークⅡを思わず連想してしまった。
それはさておき・・
起き上がったエマツーがサーラ達と抱き合い再会を喜ぶ、
すぐさま俺達に挨拶に来て新しい身体の提供に感謝の意、
そして受け入れてくれたことに対して改めて礼を頂いた。
すると?
エマツー達4人はなぜか目を光らせ急ぎ駅の方に走っていく、
ポカンと見送る俺達を尻目に彼女達は列車でどこかへ行った。
「えっ?えっ?どうしたの?」
サーラ達の意味不明な行動に頭をひねる俺達に木人形が答えた。
「実は・・・」
俺達が造船所で手伝ってる間サーラ達はルーム国を調べようとした、
木人形がこれが手っ取り早いですよとプロモーションビデオを紹介、
これをサーラ達は何度も見て各駅のグルメをチェックしてたそうだ。
サーラ達はまずルーム国王駅まで移動して国王に挨拶した。
そして・・
「さあ食べまくるわよ~~!」
「イェ~~~~~~イ!」
エマツーの気合いに満ちた掛け声と共に4人は食堂に一直線、
余程楽しみにしていたらしく駅の食堂で食べまくっていた、
さらに列車に乗り各駅に移動、旅と駅グルメを満喫している。
ちなみにエマツーも普通に飲食が出来るそうだが・・
ドワーフ達の人形の構造はどうなっているんだろう?
俺の疑問を無視するようにエマツー達は食べまくっていた。
それを遠目で見ていたエマは・・・
「私が2人いれば・・ふふふ・・・あれもこれも出来そうね、
さらにああして・・うふふ・・あんなことも出来るわ」
・・・
意味不明で不気味な独り言を言うエマとエマツー達を・・
俺達はただ呆れて見ていた。
次回更新は4月16日(金曜日)夜の予定です、
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