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エニウェア少女にとっての恐ろしい尋問とその母親の真意




俺達は航空母艦信濃の食堂から会議室に移動した、

エニウェアドラゴンのサーラとお供のホーリーキマイラ、

人間姿の3人はなぜか縛られジセル達から尋問を受けている。



だが・・



それはサーラとお供には尋問というより拷問だった!



3人は縛られながらジセルたちに訴えていた。



「お願い!それだけはやめて~~!」



「ふ~ん?なら何のために来たのよ?あんたらスパイでしょ?」



「ああ・・・それだけはご勘弁を・・お願いです・・」



「早く白状しなさいよ、そうしたら返してあげるわ」



「スパイの意図はありません、だからそれだけは・・」



「あくまでシラを通す気ね、なら私が食べるわよ!」



ジセル達はサーラ達にケーキを一口だけ与えてあとは没収した、

初めて食べた甘くて美味しいケーキを獲られた3人は極度にもがく、

甘い物が超貴重なこの世界ではケーキは重度の虜になる味だからだ。



その目の前でジセル達は残りのケーキを食べようと脅していた。



「お願い!それだけは食べないで~~~!」



「いやなこった!言わないならもう私が食べるわよ!」



「うっ・・・・・」



「うゎゎゎゎゎゎゎ~~~~~ん!!」




サーラが号泣し始めた、お供の2人も無念の涙を流している。



・・・



ちなみに俺達は会議室の隅でケーキを食べながら様子を見ている、

俺にしてみればケーキは確かに美味しいが泣き喚くほどなのかな?

と正直心の中で疑問を抱いていたが・・



デーヴィドが東の大陸でのジセル達の反応を耳打ちで教えてくれた、

ジセル達異世界の種族はおやつ禁止の罰でガン泣きしていたと・・

さらにエリーナもエマたちの異常な反応を教えてくれた。



・・・



なるほど!確かにそれならあの反応も頷ける。



だが・・



泣き喚くサーラを見てられない俺はジセル達に尋問中止を指示、

彼女達の縄を解き残りのケーキを返すようお願いした。




「わかりました!」




ジセル達は素直に尋問中止、縄を解き残りのケーキをサーラ達に返す、

自由になったサーラ達は歓喜と共に残りのケーキを味わって食べていた、

ジセル達は爽やかな笑顔でそれを見守っていた。



俺の横で・・



なぜかデーヴィドがジセル達に対して愚痴をこぼす・・




「俺にはあんなに・・素直に笑顔を見せないのに・・」




彼と彼女達に何があったのだろう?



嫌な予感がするのでそれに関しては聞かないことにした。



「あ~美味しかった~~!」



至福の笑顔を見せるサーラ達、ここで俺が尋問交代、

サーラ達になぜ敵である俺達と接触したのか深く尋ねた、

するとお供の女性がその疑問に答えた。



「サーラ様の母上さまからの命令です」



「なぜそのような命令を?」



「詳しくはわかりません、ただ娘を守れと厳命されました」



敵である俺達に娘を送り込ませる時点でおかしな話だが・・

するとお供の男性が仮説を語り始めた。



「これは私の想像ですが・・母上様はサーラ様を守るために・・」





「敵に娘を送り込ませるのが守ることになるのか?」



「はい、我らが首領は冷酷で計算高く弱い物には容赦ありません、

それに加え任務に失敗した者には恐ろしい罰を与えるのです」



「なるほどな、でもサーラは首領の娘なんだろう?」



「そうなのですが・・サーラ様は大勢いる首領の子の一人にすぎません、

ご存じの通りとても弱いので首領から役立たずと睨まれています」



「大勢?首領の子供は何人いるんだ?」



「300を余裕で超えます」



・・・



「首領は強い子供だけを側近に置き末端は奴隷以下の扱いをします、

サーラ様は特に弱いので・・近いうちに処分も考えていたようです」



「自分の娘を処分するのか?」



「はい、何人も首領が目障りと決めた子供は処分されています、

サーラ様に関しても近く処分される可能性が高いと聞きました」



その時預かっていた水晶の球が輝き始めた、そして光を放つ、

食堂の壁に光が当たり・・プロジェクターの様に画像が出る、

そこにはサーラの母親らしきエニウェアドラゴンが映し出された。



「これが作動したということは・・あいつらと接触出来たのね」



初対面に向かってあいつらと言われた俺達は・・ムカついた。



「聞きなさい下等生物ども!わが娘を守りなさい!これは命令・・」



・・・



・・・



「何をしている?」



エニウェアドラゴンの後ろに漆黒で巨大なエニウェアが現れた、

明らかに別格のエニウェアドラゴンで画面越しでもその強さを感じる、

上級のジセル達が恐怖の表情をして冷や汗をかいていた・・



「し・・首領様・・これは下等生物に命令してるだけです」



「嘘をつくな」



全てを見透かされたようにサーラの母親は恐怖の表情をしている、

サーラは涙を流しながら腰を抜かし、お供は恐怖で震えていた。



「お前の考えてることはお見通しだ、覚悟はいいな?」



首領はサーラの母親を一瞬で上空に投げ飛ばしブレスを吐いた!

母親は黒こげになりそのまま魔物が集まる池に落ちていく、

落ちた母親を・・配下の魔物たちがピラニアのように襲い掛かる。




「おかあさま~~~~~!!」




サーラの母親は無残な姿となり首領は笑いながらその場を離れる、

号泣するサーラとそのお供、それを見ていた俺達は怒り狂う、

すると・・水晶球から女性の声が聞こえてきた。



「サーラ、私はここにいますよ」



「おかあさま?」



「泣くのはおよしなさい、それと・・コウさんですか?」



なぜ俺の名を?



「あなたのことは千里眼で見ていました、優しい方なのですね、

あなたなら娘を預けても大丈夫だと思い託すことにしました、

私が直接話をしたかったのですが、首領からは逃げられないので」



さらに・・



「このまま娘をこの地に置いていたら私のように殺されるでしょう、

首領は自分の娘でも弱い者は配下の魔物の餌食にしますから・・」



「なぜ自分の仲間を餌食にするのですか?」



「エニウェアドラゴンを他の魔物が食べると・・その力を奪えます、

その魔物はブレスはじめ各魔法も使えるようになるからです、

そのため力の弱い者は魔物たちの生贄にされるのです」



そういえば・・



前にシーバジリスクがブレスを吐いたと報告があったな。



「このままだと娘は間違いなく殺されていたでしょう、

母としてはなんとしてもそれは阻止したかったのです、

預け先を探していた所あなた達を知りましたから・・」



「わかりました、娘さんとお供は俺が面倒を見ます」



「ありがとう・・お願いします」



水晶玉の光が消え・・声も途切れた。



水晶玉を抱きかかえ号泣するサーラ、お供も泣き崩れてる、

憎むべきエニウェアドラゴンだが・・・



サーラとそのお供に関しては皆の憎しみが消えた。



「ここは危険だ!急いでルーム王国に帰るぞ!」



俺の指示に従い紀伊と信濃がルーム王国に向かって巡航、

狂ったように泣き叫ぶサーラを・・俺は抱きしめた。



「お前の母親の仇は俺が討ってやる!」



この言葉を聞いたサーラは力尽き深い眠りについた、

お供も同じように力尽きその場に倒れ込んだ。



サーラとそのお供はソニア達が抱きかかえ寝室に連れて行く、

俺は信濃の艦橋の窓に移動して・・南の大陸を睨んでいた、

その横で・・



「気持ちはわかるわ、私も手伝うわよ」



「私もです・・あなたの妻ですから・・」



俺の左右にはエリーナとエマが・・



「私も忘れちゃダメよ!」



ソニアが俺の背中に抱きつき励ましてくれた。



信濃と紀伊は・・



ルーム王国に向かって巡航速度を上げていった。































次回の更新は4月13日(火曜日)夜の予定です。


おかげさまで閲覧の数がどんどん増えています。


これからも頑張りますので評価とブックマーク登録


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