戦艦「尾張」の製造とモンタナ級設計図を探すシルビア
ヘイゾウお兄さま達のいる造船ドックに訪れたのは神族のハーデスとアポロン、
二柱は先般手に入れた大和型戦艦「尾張」の設計図を改めて見つめていた、
そして確信、この異世界の素材とヘイゾウ達なら建造可能と考えていた。
その理由は・・
・・・
まあお供の艦が欲しいのと自分達の見栄・・とは言えないので別の理由を進言、
それは大和型戦艦の性能もそうだが各地の種族がその美しさに憧れを抱いている、
そのため各地の種族は大和型戦艦の配属に熱狂的に懇願していると進言。
さらに・・
「おそらく先では大和と武蔵も他の星に配属されるでしょう、なので・・
急ぎ新たな大和型戦艦とモンタナ級を製造する必要があると思うのです、
そうしないとこの異世界には大和型がいなくなりそれは威厳に関わります」
・・・
これを聞いたヘイゾウお兄さま達は考える、と言うのも代わりは既にある、
それは憑依戦艦「覡」、既に100隻近い数があるのでこれで十分と思っていた、
実際神族達も数隻「覡」を持っているのでこの要望は予想外だったのだ。
「ち・・ちょっと待ってください、既に覡があるのに大和型がいるのですか?
それに大和・武蔵・信濃・紀伊・モンタナの5隻・・第7艦隊は遊撃部隊です、
今は一時的に各地に配属されてはいますが緊急時にはまた集結するのですよ?」
「だからこそ新造艦がいるのです、戦力は多いのに超したことはありません、
それに大和型は象徴の塊、実際建造時には特別な扱いをしていたはずですよ、
それだけ大和型は皆の憧れ、モンタナもそれに漏れず象徴的な存在ですから!」
・・・
ヘイゾウお兄さま達は考える、確かに大和型は特殊な扱いで建造されている、
性能もそうだがあのデザインは現在でも数多くのファンがいる日本の象徴だ、
そして自分達が改造を繰り返し異次元とも言える性能を有している驚異の存在だ。
・・・
ヘイゾウお兄さま達は・・神族が単純に大和型が欲しいと駄々こねてると感じた、
しかし尾張の設計図は既にある、おそらくモンタナ級も建造熱望と感じていた、
それと覡は最新艦だが憑依目的でシンプルデザインもあり人気はイマイチ・・
・・・
威厳を象徴するという存在では大和型に勝る艦は無いだろう、それは感じた、
さらにアメリカの象徴・・もし建造されていればモンタナ級もそれに該当する、
これら両方を従えれば神族の威厳はさらに増すと考えるのは当然だろう・・
・・・
正直子供の駄々にも近い要望ではあるが・・
・・・
だが逆を考えると未練を断ち切れる要望でもある、それはあの戦争の中で・・
劣勢となった事で紀伊と尾張は即座に製造中止となり信濃も空母化した、
そして敗戦、大和と武蔵、信濃は本来の力を発揮出来ずに海に沈んでいった。
・・・
ヘイゾウお兄さま達はある願いを思い出す、それは大和型戦艦の集結だった、
もし戦争が有利に展開してたなら間違い無く大和型の5隻は建造されていた、
その圧巻の勇姿を見ることが出来たはず・・それはアメリカ技術者も同じだった。
「も・・モンタナ級が全艦集結・・その勇姿が見てみたい!!!」
・・・
戦艦に憧れを抱く者は・・この両方が揃った姿を見るのは至高の憧れだろう、
そう考えたヘイゾウお兄さま達はあり得ない夢を叶えようと決意し動き出す!
「わ・・わかりました、出来る事はさせていただきます」
「おおありがとう!!期待していますね!!」
シュン!!!!!!!!!!!!!
神族二柱は即座に転移魔法でその場を去った、そしてヘイゾウお兄さま達が動く、
まず尾張に関しては設計図と大和・武蔵・紀伊の蓄積データを用いて製造開始、
専用工場を造り大和と同じようにブロック工法を用いて材料を調達し始めた。
尚信濃に関してはそのまま空母として残す、戦艦に改装する理由が無いからだ、
主砲に関しては臨時に搭載する事も出来るのでそのままにすると決めていた、
このことは後日神族にも報告、神族も変える必要は無いとして了承した。
そしてモンタナ級に関しては・・・
「何としても設計図を探すのよ!欠片でもいいからなにかしら手に入れて!!
お金は惜しまないわ!博物館等に展示があればコピーを貰うのよ!!!」
シルビアは部下に命じてモンタナ級4隻の設計図等を捜すよう厳命した!
以前アイオワ級の設計図を元に1番艦モンタナを完成させた経緯がある、
とにかく設計図の一部でも捜す、だが製造中止もあり大半は処分されていた。
そのため捜索は難航、そこでシルビアは祖父マッコイに相談する、すると・・
「もしかしたら・・だが製造を請け負った民間企業ならあるかもしれない、
これに関してはわしも動こう、総動員して何としても手に入れるぞ!」
「あ・・ありがとうおじいちゃん!期待してるわね!!」
マッコイも即座に動く、すると下請け企業の複数は一部設計図を保管していた、
将来何らかの役に立つかも知れないと当時の社長達が隠していたのが見つかる、
だが一部しか保存してなかったこともありマッコイ達はさらに捜索を続けた。
目線を変えて・・・
「もう少し・・もう少し居てくれないか?貴殿達の助力が欲しいんだ!!」
「申し訳ないのですが我々も余裕がありません、明後日タウの国に向かいます、
それにマリアンヌ様の婚約者の手当もあります、催促もありましたので・・」
・・・
クアラ王は黙り込む、王としてはこのまま俺達に残って欲しいのだが・・
だが俺達もそう余裕は無い、まだ謎のボス?は一人しか倒していないからだ、
それに意味不明な左足の謎、判明するには相当時間を要すると感じていた。
ここからはエリーナに変わりグリフォン女王レイナが陣頭指揮を取ることになる、
心労が嵩んだエリーナはしばらく異世界で休暇、早速部屋に籠もり爆睡している、
そしてユティが連れてきたリベラはレイナと対面して・・震えていた。
そしてレイナはユティから説明を受けた後・・・
「ユティ詳細はわかりました、貴方が世話をされるのなら乗艦を許可します」
「あ・・ありがとうございます~~!!!」
ユティの説得もあリベラとその仲間8人程は新たに俺達の軍に入ることとなった、
だがレイナはリベラを見て・・根拠は無いが何かありそうだと直感していた、
なので傍に置いておいた方がいいと判断しユティの説得にあっさり応じていた。
翌々日・・・
「碇をあげろ~~~各艦これよりタウの国に向かうぞ~~~!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
各艦補給を済ませタウの国に向かって出航、最後に古鷹が港から離れる、
大和と武蔵は一旦あの無人島に戻り工場内で浮上して休養を取っていた、
そして再び潜水して古鷹達と合流、20ノット(約37km)で北上していく。
ザザザザザザザーーーーー!!!!!!!
順調にタウの国に向かう古鷹達、マリアンヌがなぜかソワソワしている、
彼女はタウの国の王子と政略結婚の予定だったが相手方が急病で倒れたのだ、
なので結婚は延期、だがマリアンヌはこれ幸いという心理状態だった。
というのも・・・
今迄は立場上タウの国との友好は欠かせないこともあり受け入れていた、
だが南の王国の脅威を俺達が消したのと新たな世界を知ったことが大きい、
なので出来ればこのまま婚約解消して俺達と行動を共にしたいと考えていた。
だが・・・
口には言えないが・・レイナ始め全乗組員はマリアンヌに下船して欲しい、
我儘王姫さまを乗せておくことは、はっきり言って邪魔としか言いようがない、
何だかんだと割り込んでくるのでこの際タウの国で下船させたいのが本音だ。
だがマリアンヌは俺達の艦隊から降りる気は無いのが見え見えで目線を変えた、
それは婚約者を完治させればマリアンヌも降ろすことが出来るので連れてきた、
そうして情報だけ頂いてここでマリアンヌとバイバイする段取りだった。
・・・
レイナもその考え、なので急ぎタウの国に向かい婚約者を治そうと考えた、
既に相手方には連絡していたので各艦は特に問題無くタウの国に入った、
そして古鷹だけが港に入り他の艦は沖合いで待機していた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
「あ・・あれがクアラ王国の新たな艦というものなのか・・」
既にタウの国の王やその重鎮達が港で待機していた、そして古鷹が入港、
念のため乗組員達は全員武装していて軍が攻めてきたら応戦する構えだ、
だがタウの国の王は単独で古鷹に近づきレイナもそれを見て単独で応じた。
「ようこそタウの国へ、私が国王のグェン・ヴァン・チョムと申します!」
「はじめまして私はレイナ・ジュディ・エスペランサ、この艦隊の総司令官です」
なぜか旧名で挨拶するレイナ、何でも名前はその都度使い分けているそうだ、
カオスの妻としてはルミエール・レティフォードを使ったり気分で応じていた、
乗組員達はややこしいのでレイナで統一、なぜか本人もそれで応じていた。
「早速ではありますが王子様の診察をしたいのですが・・」
「おお感謝します!こちらでございます!!!」
レイナは救護班を連れて急ぎ王子の病室に入る、マリアンヌも一緒だ、
そして寝ている王子を診察する救護班、どうやら破傷風の強力版らしい、
なんでも森で狩りをしていた時何かに引っかかれ後日発病したらしい。
「どう?対処出来る?」
「ええこれならワクチンがあります、すぐに対処しますね」
救護班はワクチンを王子に注射、すると王子の容体がかなりよくなった、
これなら3日もすれば落ち着くだろう、安堵する俺達とタウの国の王達、
一息ついたレイナ達は古鷹に戻ろうとした時・・
「よろしければこちらにどうぞ!細やかではありますが晩餐会を行います」
・・・
無下に断るのは失礼と考えたレイナ達は・・
・・・
そのまま王達の晩餐会に参加することとなった。




