砲弾の縦並びと左足模様の宝玉
戦艦大和の主砲弾を出したカラミティ達、どうやら九一式徹甲弾の改造版らしい、
俺達は主に中級は駆逐艦の主砲弾、上級は巡洋艦、特級以上は戦艦の砲弾を持つ、
それは今回のように魔法が通じない、魔法を吸収する敵に備えてのものだった。
この砲弾は一発逆転的な効果も求めていて破壊力は通常弾よりも遙かに大きい、
ある意味ドラクエで言うメガンテ(自爆呪文)で転移魔法機能も備えている、
万一の時にはこれを展開し爆発させ同時に転移魔法等で逃げる為に備えている。
だが収納魔法に複数の弾を詰め込むと何らかの形で誘爆する危険性があった、
なので精鋭達は艦の砲弾は基本一発しか収めていない、まあ銃弾に関しては別、
誘爆の危険性が無いものに関してはこれでもかと詰め込んでいる。
前の戦いの時ガルーダのカオスが密かに砲弾を隠し持ちタナトス級を倒した、
この異世界は科学技術が低く実弾や火薬等の対策が殆ど無いので効果は抜群、
以降各精鋭はこういう時に備え艦の砲弾は一発だけ収納魔法に収めている。
ここで豆知識!
俺達が強制召喚されたこの異世界では・・・
多種多様な各種族はそれぞれ得意な魔法を用いて狩りをしたり身を守っていた、
魔法への依存度が非情に高いため科学技術が殆ど無くても影響は僅かだった。
それは人間も例外では無く魔法に依存していた、だが中級程度のレベルだった。
この異世界では種類にもよるが単純な破壊力なら実弾よりも魔法の方が上回る、
だが魔法は基本魔力を媒体としているのでこれを封じられると全く使えなくなる、
さらに魔法は反射系もあるので跳ね返されたら自分が甚大な被害を被ってしまう。
それに加え人間よりも遙かに身体能力の優れた種族が数多いので歯が立たない、
そのためルーム国は魔法以外の攻撃手段を求め禁断の支配魔法を使い呼び寄せる、
そして導かれたのが俺達と大和武蔵等の艦隊、ルーム国は求める戦力を手に入れた。
魔力を媒体としない科学兵器はルーム国王の予想を超えた成果を発揮していく、
免疫の無い各種族はそれに怯え・・格下のルーム国と休戦するまでに至った、
こうして何とか生き延びたルーム国、その後各種族は新たな力に注目していた。
各種族は競ってある行動に移る、それは俺達の技術を極度に求めてきたのだ、
それに伴い自分達の領地にある天然資源を次々と提供し見返りを求めてきた、
中にはオリハルコン等の素材もありそれを用いた画期的な製品が次々生まれた。
それを各種族が求め、今では元いた地球と同じ、いやそれ以上に使いこなす。
俺達が特に驚いたのは異端な技術(スマホ等)も抵抗なく受け入れたこと、
テレパシー等があるこの異世界で通信技術を求められるとは思わなかった、
さらに言語も求められ使えると思った事は貪欲・・純粋に求めてきた事だった。
「これは使える・・おおこれも・・・これがあれば我々はもっと進化する!」
常に戦闘が絶えなかった各種族は争いが減った後己の進化を貪欲に求めた、
それはスポンジが水を吸収するかのように・・目を輝かせ喜びに溢れた、
その後はご存じの通り、今ではそれが当たり前のようにふつ~に使っている。
ここで言いたいのは・・・
この異世界の種族の殆どは「純粋な考えに基づく行動を行う」ということだ、
単純にいいと思うことに対しての行動には制限が無い、ある意味子供と同じだ、
その扱いは開発した俺達すらも超えるほど俊敏で正確で手際よく使っている。
そのため・・
各種族は開発は俺達に任せ完成品を求めそれを使うことで進化を続けている、
それはカラミティ達も同じ、かつては敵だったが今はその雰囲気は全然無い、
成果があると判断したら敵でもライバルのやり方でも抵抗なく実戦している。
この辺は俺達人間のように・・宗教などで敵味方を分ける考えを超越している、
俺達異世界人は未だにその考えがあるが各種族はそんなことお構いなしだ、
その辺は見習うことが多い、むしろ俺達の方が考えが浅いと反省している。
豆知識はここまで!
カラミティ・カレン・ランはあることを思いつく、それは・・
「いいか・・先がある、今回は魔法や必殺技は使わずにあいつを倒すぞ!」
「ええこの砲弾を使えば可能ですね、でも隙をつくらないと・・」
「それに関しては考えがあります、それは・・・」
・・・
・・・
「なるほどな、それなら隙が出来そうだ、だが数秒の世界だぞ?」
「その数秒で決着つけるのです、これ以上時間を割くわけにはいきません」
カラミティ・カレン・ランは砲弾を抱え・・2トン近くあるのだが念力で浮かす、
この砲弾は特殊な火薬等の爆発物を内蔵、信管を作動させると大爆発を起こす、
その威力は極大爆裂魔法並み、だが放射能等は無く通常の爆発となっている。
ギュユユユユユユユユーーーーーーーーン!!!
シトリー達は分散してるとやられると感じたのか瞬く間に同化していった、
これを見た3人は・・・チャンス到来と見て分散しカラミティが指示を送る!
「リリス、リリト聞こえるか?あいつらを数秒間だけ引きつけろ!」
「えっ??数秒だけでいいの??」
「ああそのバインダーファンネルなら十分気を引ける、そして体当たりさせろ、
その瞬間俺達があいつを爆発させるからお前達はすぐ逃げろ、出来るだけ遠くにだ」
「わ・・わかったよ、じゃ行くよ!!!ハアアアアアアア!!!!!!」
グゥウウウウウウウウウウーーーーーー!!!!
キュンキュンキュンキュンーーーーーーーーーー!!!!
リリスとリリトはバインダーファンネルを展開して八方から攻撃を仕掛けた、
シトリーは変形しイソギンチャクの様な形となり触手でファンネルを捕まえた、
ファンネルを封じられたリリスとリリトは・・
「や・・止むないね、自爆させるぞ!!」
「ああそれしか無いな、ファンネル全部自爆させる!!!ハア!!!!」
ズガガガガガーーーーンン!!!!!
リリスとリリトはバインダーファンネルを自爆させて瞬時にここを離れた、
それと同時にカラミティ・カレン・ランが敵の頭上に飛んで一瞬魔法を唱える、
シトリーはその魔法の気配を瞬時に感じ触手を伸ばし巨大な口を開いた!
グバアアアアアアアアアーーーー!!!!!!
シトリーは飛んでいるカラミティ達を捕まえ飲み込もうと突っ込んできた!
「かかったな!この瞬間を待っていたんだ!!!!」
ギュウオオオオオオオオオオオーーーーー!!!!!
カラミティ達は砲弾をその口の中に投げ込む・・3つが縦並びで入り込む、
まるでビリヤードの球のように重なる3つの砲弾、そしてお互いが接触する!
同時に信管が作動し・・・カラミティ達は瞬時に転移魔法で離れた!!!
カッ・・
!!!!!!!!!!!!!!!!
ドッグヮーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!
ギェエエエエエエエエエエエエーーーーーーーー!!!!!
ぐ・・グググ・・ ・・・・・バタン・・
シトリーの腹の中で大爆発した砲弾、腹は内部からの爆発で吹き飛ばされた、
するとシトリーは苦しみならその場に倒れ・・数秒後動かなくなった、
それを見届けたカラミティ達・。・次の瞬間シトリーが猛烈に光った!
キィイイイイイイイイイーーーーーーン!!!!!!!
・・・
シトリーは消え・・ソフトボール位の黒いガラス玉のような宝玉が転がる、
それをカレンが拾い・・見ると宝玉には人間の左足のような模様があった、
一応回収し後日研究チームに調べさせたが・・現時点何もわかっていない。
シュウウウウウウウウウウウウウ・・
神殿を囲んでいた結界が消え・・だが屍となった兵達はそのままだった、
その後数時間かけて神殿を捜索したが・・これといった物は何も無かった、
なので艦隊はカラミティ達と戦車隊を撤収させて急ぎ沖合いに戻っていった。
・・・
手応えが殆どなかったが・・
・・・
だが南の王国は皆悪夢から覚めたような顔をして通常の生活をしていた、
軍港も俺達に空爆された軍船を片付けると王国の警備に従事していた、
それといつのまにか前王の子供が王座に座り王国の復旧を急がせていた。
・・・
俺達はしばらく監視していたが・・もうクアラに攻める気配は無いようだ、
なんか南の王国全体が催眠術でもかかっていたかのように・・
・・・
さらに数日監視して・・もう南の王国は他国に攻めようとする気配は無かった、
なので長居は無用と考えた俺達は一度クアラ方面に戻り・・・
・・・
後日あの無人島でエンカル達と再会を果たすのだった。