混乱するクアラ王国とマリアンヌの必死の訴え
復讐を果たした村娘達は安堵からかその場に倒れ全員意識を失っていた、
その中にはなぜかマリアンヌ達もいて乗組員達は臨時ベットに眠らせる、
ちなみに村娘達とマリアンヌ達は合わせて300人ほど保護している。
・・・
さてこれからどうしよう?
マリアンヌ達は王族なのでエナ達が乗っている漁船を譲渡して帰ってもらう、
だが村娘達は帰るところが無い、クアラ王国も混乱状態なのでむしろ危険、
本来は王族が保護すべき件なのだが・・それはかなり難しいと俺達は考えた。
というのも・・・
クアラ王国もかなりの損害を出している、特に軍船はほぼ全滅に近い状態、
まずは治安の回復と軍備の再整備に人員を割くだろう、それは理解出来る、
だが問題は予算、ミナト達が調べた所クアラ王国はそう余裕が無いらしい。
その理由は王族、民衆には少ない税金、金持ちからはかなり獲っているらしい、
まあ民衆は元々収入が低いのとほとんどが島からの出稼ぎなので多く取れない、
そのため金持ちや商人達には高額の税金を徴収し何とか凌いでいたそうだ。
だが・・・
常日頃からこの扱いに大不満の金持ちと商人達は・・
「おいこの際だからここから逃げて北の王国に向かおうぜ!」
「ああそうだな、ここにいても殺されるだけだ、家族連れて逃げようぜ」
今回の騒ぎに乗じて財産の殆どを他の国に移し自分達もそこから逃げた、
何でも北上するとかなり裕福な国があるらしくここではほぼ非課税らしい、
日頃から金持ち達は没収を恐れ密かにそこと貿易しながら財産を隠していた。
・・・
なんかスイス銀行の様な感じだけど・・
だがそこは地図で見ると日本近辺のようだが詳しくはわからないらしい、
そして南の王国が攻めてきたので我先にと逃げる、エナ達も王城から離れた、
その後王達が帰って王城は完全閉鎖されカーグワスでも再入場拒否された。
ちなみにカーグワスとミナトは牢に閉じ込められていたが牢を壊し脱出、
王城の裏口から外に出た時に顔見知りの兵に遭遇、だが兵はミナト達を庇う、
鍵を無くしたので自分が壊したと上司に伝え誤魔化してくれた。
それに関しては緊急時ということで事なきを得たが・・・
「すまんなカーグワス、王の命令だからもう入れることは出来ない」
「いえいえ王城から出して貰っただけでも幸いです、では僕はこれで!」
「ああ気をつけてな」
カーグワスとミナトが去った後王城は騒がしくなった。
「幹部達は王城の会議室に急いでください!緊急会議を開催します!!!」
王達は緊急会議を急ぎ開催し復興予算を金持ちや商人等に頼ることにした、
そして資金援助を申し出たが・・金持ち商人の殆どは北に逃げていたのだ、
そのため王室は大混乱、予算が集まらず村娘の保護どころでは無かった。
・・・
エナ達も騒ぎに巻き込まれるのはゴメンとばかりに急ぎ王城から離れた、
一応盗聴器等は残しておいたので離れながらも情報収集はしていた、
だが相当揉めてるようで推測や憶測が入り乱れて・・訳わからない。
「ど・・どうするんだ?予算が無いと何も出来ないぞ!!!」
「ええいこの際だから売れる物は売れ!今は耐えるときだ!!」
・・・
この言葉を聞いたエナ達は・・・
これは危険だと考えエリーナに急ぎ報告した。
「と言う訳なのお母さん、だからまずマリアンヌさんとその側近さんだげ・・
王城に戻した方がいいと思うわ、村娘さん達は今王城に送ると売られるかも・・
その位王城は混乱してるから村娘さん達は当面私達が保護した方がいいわ」
「ええわかったわ、貴方達は古鷹達と合流して一度無人島に戻るのよ」
「はい!了解しました!!!」
エナ達はミナト達と合流して急ぎ漁船に乗り込みクアラの港から脱出、
その5分後に兵隊達が港を閉鎖したので間一髪クアラの港から逃げ出した、
軍船が追いかけてきたがソアラが軍船の舵を凍らせ何とか振り切った。
3時間後・・・
「おいあれがエナ達じゃ無いのか?」
「ああ10隻いるから間違いない、このまま合流しよう」
古鷹・夕張・時雨の3隻は漁船に近づき碇を下ろし漁船を艦に固定した、
そしてエナ達が戻ってきた、早速お腹が空いたと喚きながら食堂に急ぐ、
この日は金曜日だったのでカレー、鶏唐揚げ付きの極上カレーだった。
ほぼ同じ頃・・・
「う~~~ん美味しい!!!このカレーって最高の食べ物だわ~!」
マリアンヌとそのお供、村娘達は目が覚めてカレーを堪能していた、
そして食事が済むと・・
「ねえ貴方達の司令官と話がしたいの、そう伝えてくれる?」
「わ・・わかりました、しばらくお待ちください」
乗組員達はあっさりとマリアンヌの要望に対応、実はこれ計画通り、
マリアンヌがかなりのくせ者だと聞いたエマが・・
「ねえエリーナ、マリアンヌさんとの交渉は私に任せてくれない?」
「それは構いませんが・・私が対応してもいいんですけど?」
「いえあのタイプは私の方が適任だと思うの、それと貴方は一度戻って!
カオスさんが各艦の艦長を招集してるから貴方も行った方がいいわ、
その間武蔵はソニアさんが指揮するから任せてちょうだい」
「わ・・わかりました」
こうしてエリーナは武蔵のブラックホールから一度異世界に戻りカオスと対面、
何でも彼はある考えを持っていてそれが今回に適するかエリーナに尋ねた、
その内容は・・
・・・
「というわけだ、これなら広範囲も調べることが出来る、尚冥界の許可も得た、
だがある問題があってな、その対応が出来るか尋ねたく戻ってきてもらった、
どうだろうか?これなら破壊神達の目も逸らせると思うのだが・・」
「そうですね、これなら黙っていても情報を集められます、近づけばいいだけ・・
この考えは盲点でした、早速無人島に造った工場で大量生産させましょう」
「ああ頼む、あと村娘達を保護していると聞いているが彼女達を使えないか?
出来るだけ現地感を出すには現地の方に作業を携わって貰う方がいいと思う、
もちろんそれ相当の対価は用意するから尋ねておいて欲しい」
「わかりました、お心使い感謝します」
同じ頃時雨の応接室では・・
興奮状態のマリアンヌとエルフのエマが静かな論戦を繰り広げる!
「単刀直入に申します、貴方達わが王城に仕えなさい!!!!」
「それはお断りします、私達はこれより南の大陸に向かいますので・・」
「それが一番困るのよ、もし貴方達が配下になったら私達滅ぼされるわ!」
「それは絶対あり得ません、私達が探す敵は南の王国だけではありません」
「そ・・そうなの?でも貴方達本当に何者なの??」
「遙か遠くから来た・・としか今は言えません、ですがご安心ください、
私達は敵対する輩達は容赦なく叩きますのでご迷惑はおかけしません」
「そういう意味じゃ無いの!よく考えて!クアラの王城は今混乱してるの、
あれだけ・・いやあの程度の軍勢でも私達防げないから危機に陥ったの!
こうしている内に他が攻めてくるわ!貴方達がいないと私達全滅だわ!」
「それは・・どういう意味ですか?」
「南の王国は・・密偵から聞いた話だけど軍船1000隻程あるそうよ、
そのうちの2割がここに攻めてきた・・知っての通り村々は壊滅したわ、
おまけにクアラ艦隊は壊滅に近いの、貴方達私達に死ねと言うの?」
続けて・・・
「それに私達と対立してるのは他にもいるわ、これ幸いと攻めてくるはずよ、
そうなると私達四面楚歌となって間違いなく滅ぶわ、それは避けたいのよ、
良識無い言論は謝るわ、でも察して・・私達本当に後が無いのよ!!!!」
・・・
これを聞いてエマは考える、自分達なら帆船1000隻相手でも余裕だ、
だが疲弊したクアラ王国にはこれを抑える力は無くひとたまりも無いだろう、
さらに聞いた報告だと村々の女は辱められ男や老人、子供達は惨殺されている。
・・・
確かに今クアラ王国を放置すると間違いなく滅ぶだろう、それは心が痛む、
だがここで立ち止まるわけにもいかない、まだボス1人すら見つかっていない、
それに長期滞在すると敵も自分達を・・異端の存在に気づくだろう・・
・・・
マリアンヌは深々と頭をつけ・・号泣しながらエマに訴える!
「グズン・・・本当に・・本当に貴方達だけが頼りなの、それしかないの・・
だから助けて・・相手は残酷よ、見たでしょあの大勢の死体の山を・・
もう王だの兵だの民衆だろうが関係なく弄ばれ殺される・・お願い助けて・・」
・・・
判断に悩むエマ、するとスノードラゴンのソニアが駆けつけ隣に座る、
彼女も俺達と遭遇するまでは飢餓に苦しみ明日が見えない日々が続いた、
形は違えど・・絶望漂うこの状態に共感を覚えずにはいられなかった。
「事情はわかりました、ですが私達にも限度があり貴方達の力が要ります、
なので「同盟」を締結していただけるのならば私達は全力で貴方達を守ります、
その代りそれ相当の対価は頂きます、その条件あらば受け入れましょう」
これを聞いたマリアンヌは・・
「是・・是非お願いします!!!!!!!!!!」
号泣しながらソニアの手を握り・・
希望に満ちた顔をしていた。