創造神のドッペルゲンガーと引き分けを悟るマイラ
マーリットの前に立ち塞がる大鎌を持つ女、そして素顔をさらけだした、
しかし誰かに似ている、こいつの顔は・・そうだ!こいつは俺が抑えた・・
創造神のインダストリアルとそっくり、だが何かが違う、こいつは・・
「あらあなたも冥界の方のようですね、お名前を教えて頂けますか?」
「ええ私は創造神の影・・名前はブラックインダストリアルと言います、
彼女もあなた方の仲間と同じように冥界の分身を得ました、それが私です、
私は一応陰のような存在ではありますが基本別人だと思ってください!」
「そういうことですか・・ではここへ何をしに来られたのですか?」
「一つはその化け物船に興味があるから試しただけ、背筋が凍りそうだけどね、
もう一つはある指令、今はそれは言えないけどもう一つは貴方達と戦いたいの、
とにかく冥界は暇で暇でしょうがないから思いっきり暴れたいのよ」
「最後の言葉に関しては共感できますね、私も最近暇を持て余しています、
何しろ彼ら彼女達と同盟を結んでからは訓練止まりなので腕がなまっています、
よろしければ他の邪魔が入らない場所でお互い存分無く戦いませんか?」
「それは望むところですね、ではこの場から移動しましょうか?」
「ええそうしましょう、この先に荒野がありますからそこで戦いましょう!」
シュイーーーーン!!!!
ガキィーーーン!!!!!キィーーーン!!!!!!
ブラックインダストリアルとマーリットは転移魔法で荒野に移動していった、
そして勝負、お互い魔法は使わず大鎌と鎖鎌だけで猛烈に刃を交えている、
そして間を取ってはお互いニヤリと笑い・・その戦いは数時間に及んだ。
「ハアハア・・思ったよりやりますね・・」
「それはお互い様です・・・」
その間・・
ドゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
グォム!グォム!グォム!グォム!グォム!!!!
ガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!
グォオオオオオオオオオオオーーーー!!!!!
ギャアアアアアアーーーーーー!!!!
モンタナはお構いなしとばかりに砲撃を再開しオークの魔物達を駆逐、
外にいる卿魔族達も攻撃を繰り返しオーク達はその都度共食いをはじめた、
そのせいか見る見るうちに魔物の数が激減し数時間後には全部片付けた。
これにより卿魔族の星はほぼ落ち着いたので民衆は安堵の表情を浮かべている、
転送の鏡付近に設置していた複数の要塞は壊されたが人的被害は軽微だった、
備えがいかに大事かと民衆は再確認して要塞の復旧に汗を流していた。
ほぼ同じ頃・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
紀伊の艦首にいるタケシの前に立ちはだかる謎の大鎌の女が睨んでいる、
こいつもどこかで見たことが・・コンスタンシアにそっくりの女性だ、
創造神の2人が共に冥界の分身を持っているのか?すると・・
「はじめまして、私はブラックコンスタンシア、冥界の住人の1人です、
私はある方の命を受けてここに来ました・・まあこの話は置いといて・・
今は決闘を所望しますけど・・あなたでは無く誰かと交代して頂けませんか?」
「なに?どういう事だ?」
「答えは簡単、あなたは強すぎるので手に負えないだけです、なので・・
あの船の中にいる彼女との戦いを所望します、さあ出てきてください!」
キィイイイイーーーーーーン!!!!!!!
ブラックコンスタンシアが指さした瞬間・・ご指名の女性の身体が輝いた!
「えっ?えっ?私??どうして私が指名されたの??」
それは・・別件があって一時的に乗船していたワイバーンのマイラだった、
彼女は戦艦山城の艦長ではあるが本職はメイドさんなので雑用もこなしている、
今回は彼女の住む西の大陸で栽培された野菜や医療品等を紀伊に運んでいた。
ではなぜ大幹部の彼女が雑用をしていたのか?その理由は・・・
・・・
「あんた~どういう管理してるんだよ!あたいが怒られたじゃないの~」
「も・・申し訳ありません!!!つい忙しくて・・・」
単純に担当者が不備でアデールに呼ばれて怒られたから、原因は配送ミス、
各地に送る荷物の行き先を間違えて送ったので取引先から猛烈に怒られた、
中には流行病を抑えるワクチンもあったので責任を感じ調査に追われていた。
なので・・担当者は急ぎ対応したが追いつかないので・・・
「ま・・マイラさんすみません・・手伝ってください・・・」
「ええわかりました、この荷物を紀伊に送ればいいのですね?」
「お・・お願いします、現時点紀伊が一番遠くにいるので私だけでは・・」
「大丈夫任せてください、急いでこの荷物を紀伊に送りますね」
こんな流れでマイラは一番遠くにいた紀伊に荷物を納品していたのだが・・
なぜか数が合わないので調べていた矢先紀伊が緊急発進したので降り遅れた、
まあ自分が戦う必要は無いと考えていたので気配を消して仕事していた。
しかし・・
コンスタンシアのドッペルゲンガー・・と言った方がいいのかな?
この冥界からの刺客はタケシとの戦いを避けマイラとの決闘を望んだ、
しかしタケシは拒否する構え、マイラは紀伊の乗務員では無いからだ。
「それは応じられない、君は俺と戦ってもらう!!!」
「あらそれは困ります、勝てない相手と戦う気はありませんから・・」
「君はそれでいいかもしれないが彼女はこの紀伊の乗務員では無い、
今回は別件で乗っただけだから俺の権限では動かせない、これで理解したか?」
「そちらの都合は理解できました、ではこういうのはどうでしょうか?
私と彼女が戦い彼女が勝てば冥界の詳細をできる限りお教えしましょう、
その代わり私が勝ったら貴方方のこの船の詳細を教えて欲しいのです」
「それは・・この船を寄越せでは無く詳細を教えるだけでいいのか?」
「はいそれでお願いします、どの道私達ではその船は扱えないと思います、
ですがあの方はこの船に非常に興味をお持ちですから詳細を知りたいのです、
そうしないと私は戻れません、手ぶらだと猛烈に怒られてしまいますから」
「お・・俺達はお前達の魔物を殲滅したんだぞ?それに怒りは無いのか?」
既にブラックホールから出てきた魔物達は他の艦隊が瞬く間に殲滅していた。
「あああの魔物達ですか?あれは破壊神ディエトの魔物なので関係無しです、
むしろ殲滅してくれて嬉しい限りです、あいつらは良識がまるでありません、
見た目も気持ち悪いので傍にいるだけでも鬱陶しいのでお礼を言いたい位です」
・・・
タケシはブラックコンスタンシアを見つめる・・彼女は笑みを浮かべている、
この表情からすると今迄の言葉に嘘は無さそうだ、そしてタケシは考えた、
ここは下手に自分が戦うよりもマイラに任せた方がいいと考えていた。
・・・
「す・・少し待て!本人と相談してみる」
「ええお願いします、こちらも急いで・・ってアレ何かしら?」
ここでタケシはスマホでマイラに電話、それを見たブラックコンスタンシア、
光る板で会話をしているタケシを見て・・思いっきり不思議な顔していた、
俺達の中では当たり前の光景だが彼女にしてみれば摩訶不思議な光景だった。
「マイラさん聞いていましたか?相手はあなたとの決闘を望んでいます」
「ええ艦内放送で確認しました、ここは私が出た方がよさそうですね」
「しかし相手はかなりの強敵に見えます、危険な戦いになるかと・・」
「見た感じ彼女と私はほぼ互角のようです、だから私を指名したのでしょう、
おそらく彼女の目的はこの紀伊の情報でしょうから殺すことはしないはずです、
まあ私もその気はありませんから・・おそらく引き分け狙いでしょう」
「それは・・お互い妥協しての話し合いに持ってくると?」
「彼女の立場を考えたらそれしか思い浮かびません、なのでご心配なく!、
勝つと私達に殲滅される、負けると上の立場の者に罰を与えられるでしょう、
なので彼女は引き分けしかないので私を指名したのでしょう」
「俺もそう感じてます、では任せても大丈夫でしょうか?」
「ええお任せください、私も少し運動不足でしたから暴れたいのです」
「わかりました、では艦首までご移動願います」
「了解です!」
マイラは歩き出し紀伊の艦首に向かう、タケシは了承したと伝えた、
その言葉を聞いたブラックコンスタンシアは・・安堵の表情となる、
そしてマイラは・・
「出でよ我が憑依モンスター達!久々に暴れますよ!!」
ドシュウウウウウウウウウウウ・・・
そして出てきた憑依モンスターの二体!!
● アークエクスシア(攻3500、守3000)
● エレメンタル・ソルジャー(攻2000、守1500)
マイラは不気味な笑みを浮かべながら・・
・・・
ゆっくり紀伊の艦首に向かって歩き出していた。