魂の最終処分場と冥界・天界に睨まれそうな俺
ティーラと話し合った俺、ティーラは前の姿に戻りたかっていたのだが・・
天界爵の姿となったティーラには俺のカードは通じず為す術がなかった、
落ち込むティーラをミオ達が励ましながら部屋に戻っていった。
・・・
一人となった俺は考える、当初は破壊神さえ倒せば事が済むと思っていた、
だが冥界や天界といった人の領域を遙かに超えた世界があることを知る、
あまりにも壮大な話なので・・正直どうすればいいのか訳わからなかった。
・・・
どう考えてもヤバい感じがするので正直関わりたく無いのが俺の本音、
気になった龍魔族達も俺のカードに宿し再び普通の生活が出来るようになった、
その他の種族も俺のカードに宿っているから・・ある意味救助は成功している。
なので無理して関わる必要も無いし・・出来れば断絶したい。
だが唯一気になるのは・・
冥界に預けているエナとカオルだが・・
「それなら心配いりません、冥界へは私一ヶ月ごとに行けますから!」
と自身満々に語りながら俺の部屋に入ってきたブラックエナとカオルの二人、
実はこの二人は俺が呼んだ、尋ねたいことがあるから一緒に来てもらった、
それにしてもエナとカオルにそっくりなので正直戸惑う俺だった。
「お待たせしました、私達に聞きたい事とはなんでしょうか?」
「ああ冥界のことだ、可能な限り教えて欲しい、もちろん対価は払う」
「それでしたら私をお嫁さんにして下さい、玉の輿になりたいから・・」
「冗談は止めてくれ、いくら何でも娘と結婚する気にはならん!」
「あはは~ごめんなさい、じゃ私とブラックカオルにこの異世界の永住権、
それと可能な限りの情報提供をお願いします、尚これは軍事関連も含みます、
それと学校や旅行などの費用も用意していただけると助かります」
「その程度ならいいだろう、わかった、総司令官として了承する」
「ありがとうございます、それでは質問をどうぞ!お聞きしたい事とは?」
「まず尋ねたいことは・・冥界の勢力図かな?具体的に教えて欲しい」
「はい!まず私の父ダンテは中立的な立場でどちらにも属していません、
冥界は3勢力があり蘇生派・中立派・消滅派があり領地も分かれています、
地球で例えるなら北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・アジア大陸の感じです」
「そんなに広いのか?」
「実際はその何倍もあります、私の住んでいる中立派だけでも広大です、
そのため蘇生・消滅派に会うことはほとんどありません、あっとちなみに・・
破壊神ディーテ達が関わっているのは蘇生派と聞いています」
「どうやってその情報を手に入れたんだ?」
「定期的に連絡が来るんですよ、他者が関わることは情報共有されるんです、
冥界は基本罪人を罰する所なので外部から来た者は包み隠さず共有されます、
当然ながらエナさんとカオルさんの事も蘇生・消滅派は知っています」
「なんだと!!!!それはまずいんじゃないか!」
「その心配はいりません、理由として冥界は広大過ぎるからです、例えば・・
地球で例えるとブラジル国内で犯罪を犯した者をベトナム国内で罰しますか?
まずあり得ませんよね、現地の事は現地で対応するのが常識となっています」
続けて・・
「一応外部から生きて来た者に関しては裁きません、死者では無いからです、
冥界の役割はあくまで死者の犯した罪を浄化させるため裁き罰を与える所です、
一部に関しては罪を償った魂を解放して再び生のあるところに向かわせるのです」
「それは・・魂が浄化されたら赤子などに転生させる感じなのか?」
「それもありますが・・冥界はある意味片付け役、大概はここで消滅させます、
というのも・・新たな命が次々と生まれ魂が誕生するのでキリがないのです、
そのため選別を行い蘇生する価値のある魂だけ復活させるのです」
「なんだか聞いてると・・魂の最終処分場のような感じなのか?」
「その例はジャストミートですね、その通り、それが冥界の最大の役割です、
それを蘇生派・中立派・消滅派の管轄で選別を行い蘇生・消滅させるのです、
先程も申しましたが広大なのでそれぞれの領域で対応しているのです」
「領域を聞いているとそれぞれ専門分野のようだが別の役割もこなすのか?」
「先程も言いましたがそれぞれ広大なので別もこなさないとキリがありません、
冥界で生まれた私ですら他の領域に行ったことがありません、それだけ広大です、
そのため他の領域の事まで・・・まあ関わる余裕が無いのが本音です」
「そんなに多いのか??」
「地球を見てください、これだげ技術進化してるのに今だ争いが絶えません、
同じような・・いえもっと酷いのがこの異世界に限らず無数に存在します、
生まれた瞬間即死が訪れているのですから冥界はいつも大忙しですよ!」
・・・
それを聞いた瞬間俺はホッとした、というのも聞いた話だと・・・
・・・
冥界はこの異世界だけでは無く近隣の異世界の魂もまとめて対応している、
それを聞いただけでも過密度なのは素人目で見ても理解出来る、となれば・・
遠く離れたこの異世界に構う余裕は無いはずだ・・と俺は考えた。
「そうなのか・・それを聞いて安心したよ」
「あっ!!!でもコウさんは気をつけた方がいいかもしれませんね」
「えっ??どういう意味だ???」
「だって~コウさんが展開したあの光のモンスターカードは反則ですよ~、
アレのおかげで本来消滅・蘇生する予定だった魂が皆憑依しましたからね~、
明らかにアレは冥界と・・天界の領域に踏み込んでますから睨まれますよ~」
・・・
これを聞いた俺は・・
・・・
猛烈な寒気に襲われた。
「そ・・それは俺が冥界の管轄下の仕事を横取りしてると言うことか?」
「そういうことです、尚コウさんの光のモンスターカード・・憑依ですね、
これは端から見ると冥界の蘇生を遮るものであり消滅の妨害も兼ねています、
それと天界の生命を生み出す・・これも関連があると言えばあります」
「ど・・どういうことだ??」
「だって~~死者が憑依モンスターになってふつ~の生活してるんでしょ?
これって・・例えると椅子取りゲームの椅子に座った状態ですよね~~~、
いつまでもそこが開かないから新たな命が入れない・・天界は怒りますよ~」
そういうものなのか??
「そりゃそうですよ~今はまだ数が少ないから大事になってないだけです、
でもこれを繰り返しているといつかはバレますよ~そうしたら攻めてくるかも?
それは天界だけでは無く冥界の蘇生派と消滅派も無視はしないでしょう」
「だ・・だとしたらヤバいな・・」
「ええ中立派・・私の父などはどちらでもいいので多分無視するでしょう、
ただ蘇生派は魂を集め選別して復活するのでコウさんは目の上のたんこぶです、
消滅派はこれまた魂を集めて使えそうな魂だけ保持して後は消しますから・・」
「・・お・・俺は無意識のうちに彼らの役割を邪魔してると??」
「ええそうです!多分天界も光のモンスターカードを知ったら無視しません、
おそらく先では天界爵の誰かがティーラさんを探しにここに来るかと思います、
その時にコウさんの特殊能力がバレるとヤバいのでどこかに隠れてください」
「あ・・ああそうしよう、今日はもういいから休みなさい」
「わっかりました~~~!!!」
ブラックエナとカオルは喜びながら部屋から出ていった、おそらく・・
このあと学校に行くらしく授業が楽しみ・・では無く給食が楽しみらしい、
今日は金曜日なのでカレー、それも特大チキンが乗ってるカレーらしい。
・・・
今時の子供達は美味しそうなの食べてるんだな・・
・・・
俺も猛烈に食べたくなったので給食のカレーを求め食堂に急ぐ、
カレー等はまとめて作るので学校の給食だけでなく食堂等でも食べられる、
味付けは子供が食べるのと同じ、殆ど辛みが無い美味しいカレーだ。
尚辛いのが好きな者は専用のスパイスボトルのルーを入れると辛くなる、
学校でも選ぶことが出来るが辛さは3倍まで、これ以上は制限している、
俺は辛いのは苦手なので子供達と同じ甘いカレー、うん美味い!!!
そのころ・・・
・・・
俺達の知らない場所で水晶玉を見る女性らしき者がいた・・・
「ティ・・ティーラ・・大きくなって・・・」
その女性らしき者は・・
・・・
静かに涙を流していた。