エニウェアの自害と伝説となるドラゴンの誕生
俺の鎧姿を見てアグニたちが腹抱えて笑ってる。
「お前のそんな恰好初めて見たよ」
そんなに変かな?
「ガハハハハハハ・・・」
ちなみにクリスティーナに関しては皆が絶賛していた。
「ところで・・なんか寒くないか?」
アグニが大気の異変を感じた、方角は森林かららしい。
「おかしいな、あの辺はこんなに寒くなることはない」
その時紀伊にいるタケシから緊急連絡が入る。
「デーヴィドさん、急ぎ紀伊までお戻りください」
「どうした?」
「詳しくは紀伊の艦橋で説明します、お急ぎください」
俺達はアグニの転移魔法で紀伊の艦橋に戻る、すると・・
深刻な顔をしたタケシがモニターを見て緊張していた。
俺達もモニターを見る、人工衛星から見た画面を見て驚く、
エニウェアドラゴンがボロボロになって瀕死の状態だ、
その相手は・・スノードラゴンのショウだ。
「信じられないわ、あのエニウェアが手も足も出ないなんて」
シュメールが驚く、彼女はあのエニウェアと交戦があるらしい、
かなりの強敵らしく何度も危機があったそうだ。
俺はタケシにショウの強さを尋ねた。
「彼が本気になったら俺でも勝てるかどうか・・」
そんなに強いのか・・
ちなみにタケシはドラゴンの中でも特級レベルの強さらしい、
サユミもタケシに匹敵する強さがあるとソニアさんが言っていた。
ボロボロのエニウェアが怒り狂いながらショウにブレス攻撃、
だがショウの展開する鏡の盾にブレスが反射されエニウェアを襲う、
自滅の様な攻撃を繰り返すエニウェアはなすすべがなかった。
対するショウは・・何も語らないが殺気に満ちた顔をしていた。
さらに驚いたのが・・
「あ・・あなた達どれだけ強いのよ?」
領地に戻っていたディアーナが森林の中で驚いていた、
猛烈な寒波であたりは真っ白だが・・
「早く・・仲間の手当てを・・」
「わ・・わかったわ、ありがとう」
ショウの強大な冷気を余裕で受け止めるスノードラゴンのレイミ、
彼女は周りの森林を自分の冷気で囲いショウの冷気を止めていた、
レイミの氷結界で周りは極寒だが森林は平温を保ち守られていた。
この光景だけでもショウとレイミは特級クラスだと一目でわかる。
エニウェアの命令で急ぎ応援に駆け付けた魔物は次々と凍っていく、
地面に倒れた魔物たちはその衝撃で砕け跡形もなく消えていく、
切羽詰まったエニウェアは・・・ある行動に出る!
「ふざけるな!!俺がこんな腰抜けに負けるわけがない!」
「消え失せろ!ゴミどもが~~~~~~!!!」
最後の力を振り絞り渾身のブレスを放つ、だがあっさり跳ね返される、
だが・・それが狙いでエニウェアは自害、凍りつき地面に堕ちていく、
馬鹿にしたショウに殺される位なら自害の方がましだと悟ったようだ。
そして・・
地面に落ちたエニウェアは粉々に砕け跡形もなく消えてしまった。
それを見たショウはいつもの笑顔に戻り周りの冷気を封印した、
レイミも氷結界を解除してゆっくりショウの傍に寄り添っていく、
そのまま一緒に飛んで紀伊に戻・・ディアーナが2人の尻尾を掴む。
「ちょっと待って!お礼ぐらい言わせて!」
「ディアーナさん・・尻尾掴まれると痛いんですけど・・」
「うん・・尻尾掴むのやめて・・」
その時フォレストドラゴンの子供たちが避難先から大勢出てきた、
どうやらショウとレイミにお礼を言いたいらしい、が・・、
あまりの数の多さにショウとレイミは怯み逃げようとする。
「あはは・・ディアーナさん尻尾離してください!」
「おばさん尻尾離して・・」
・・・
ブチ!
「今なんて言ったの?」
穏やかな性格のはずのディアーナが怒り狂う。
「誰がおばさんよ~~~?」
怒るディアーナはショウとレイミを振り回す。
「えっ?えっ??なんで?」
「・・・あれ・・?」
バシーン!!!
ディアーナはショウとレイミを思いっきり地面に叩きつけた。
「ハレハレハレ~~」
「・・・・・・・痛い・・」
地面に叩きつけられたショウとレイミは動けなくなった、
そこをすがさず子供たちが群がり2人に抱きつき始めた。
「ありがとう!ありがとうお兄ちゃんおねえちゃん!」
子供たちはショウとレイミに抱きつきお礼を言っている、が・・
端から見ると獲物に群がる蟻の様でめちゃくちゃ怖かった、
モニターで見ていた俺達は呆れ汗と冷や汗が止まらなかった。
「さあ子供達~~お兄さんとおねえさんにお礼をするのよ~~」
問題のディアーナは・・
何事も無かったかのように笑顔だった。
ショウとレイミは子供たちの抱擁の嵐で身動きがとれなかった、
逃げようにも体中子供が抱きついてるのでされるがままだった、
子供たちはショウとレイミを抱え避難先へと連れて行った。
上空から見たその光景は・・・
まるで蟻が獲物を巣に運んでいくようでめちゃ怖かった、
ショウとレイミが必死で助けを求めていたようだが・・
2人はされるがまま避難先へと連れて行かれた。
・・・
シュメールが語る
「いい?ディアーナに「おばさん」は禁句よ、もちろん私にもね」
アグニが語る
「あいつはキレるとめちゃくちゃ怖いんだ・・」
タケシが語る
「あのディアーナさんには勝てる気がしません・・」
俺とクリスティーナは・・
ひたすら頷くしかなかった。
しばらくして・・
満身創痍で帰ってきたショウとレイミは無言のまま部屋に籠る、
食事時間になると真っ先に席に座る2人が部屋から出てこない、
心配なので部屋の前に食事を置いておいたが・・それは食べていた。
この戦いは・・なぜか後に伝説となる。
ショウとレイミにお礼を言っていた子供たちが大人になり・・
その子供たちが親となり先祖から聞いた伝説を子に伝える。
数々の魔物の進攻をものともせず一瞬でそれらを駆逐した、
さらに特級ドラゴン2体を一瞬で叩きのめした伝説のドラゴン・・
「東の大陸最強のドラゴン! ディアーナ!!」
彼女の名前はフォレストドラゴン達の英雄の名前として・・
なぜか後世に伝説として受け継がれていった。
当然ながら・・
今の俺達がこの戦いがそんな先の伝説になるなんで・・
夢にも思わなかった。
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