幻の111号艦!異世界で具現化した狙撃戦艦「紀伊」
鍾乳洞の中から謎の戦艦がゆっくりと出港していく、
門の近くには整備士木人形が激励に訪れていた、
それらに敬礼で応えてるのは・・スノードラゴンのタケシだ。
謎の戦艦は単独鍾乳洞から出てきた、すると信濃が近づく、
2隻は横並びとなりゆっくりと巡航を始め王城に向かう、
途中俺達がいる丘の近くまで来ると・・・
謎の戦艦と信濃は各砲を上空に向け祝砲を挙げる!
「ドドドドドドドドド」
祝砲に驚いた俺達は視線を海側に向ける、すると・・?
信濃と謎の戦艦の乗務員は甲板に出てきて整列し敬礼をする、
俺とエリーナとエマは・・急ぎ並び敬礼で応える。
「はじめてみる艦だな、あれはなんなんだ?」
「えっ?あの戦艦大和か武蔵じゃないの?」
「似てはいますが違いますね、大きさは信濃と同じようです」
すると・・信濃艦長のサユミと謎の戦艦の艦長タケシからの祝電。
「おめでとうございます!幸せを願っています!」
「ご結婚おめでとうございます!」
2隻は速度を上げ王城の方に向かっていく、俺達は・・
あの謎の戦艦が気になるので急ぎタケシに連絡をする。
「待ってくれ、俺達もその艦に乗せてくれ」
「これから東の大陸に向かうのでその途中までであれば・・」
「構わない、その艦を見たいんだ」
「わかりました、お乗りください」
俺とエリーナとエマは謎の戦艦にタケシの転移魔法で移動した、
中は大和武蔵と大きな変化はないが・・
信濃と同じように中央には操縦桿のような杖が立っている、
その天井にはモニターが多数備わっていて人工衛星と連動してるようだ。
「ようこそ「紀伊」へ、皆さまを歓迎します」
「紀伊?」
「なにそれ?初めて聞く名前だわ?」
「そういえば・・前祖父木人形さんが言っていた・・」
「そうだ!これが新造艦「紀伊」だ!」
いつのまにかサユミと祖父木人形が艦橋に来ていた、
サユミはタケシに説明をするように促しタケシが話し出す。
「この戦艦紀伊は111号艦とも呼ばれ大和型の改良版です、
大和を凌ぐ主砲などを搭載した戦艦として計画されていました、
ただ当時様々な事情で製造中止となり解体されたそうです」
ここで祖父木人形から説明が入る。
「紀伊に関しては・・当時わしらは製造を熱望したが見送られた、
すでに戦況は悪化しており戦艦を製造する余裕がなかったからだ、
だがこの異世界では紀伊が必要だと思い新規製造を決断したんだ」
「ただ計画のように大和の巨大版ではなく同型艦扱いとした」
「お祖父さん、それはどうしてなんだ?」
「大和以上の艦にすると専用部品が多くなり手間が膨大にかかる、
他の艦の整備もあるから大和武蔵と同じ仕様にして手間を減らした」
「だが・・」
「むしろその方がよかった」
「どうして?」
「この異世界では大きいよりも機動性と臨機応変の方が重要になる、
サユミちゃんが信濃を・・我々の想像を超える扱いをしたようにな、
タケシ君にもその可能性を感じる、期待しているよ」
「はい、お任せください」
ここで警報が鳴る、人工衛星がエニウェアドラゴンを見つけた、
方向は東の大陸方面、どうやらデーヴィド達を待ち伏せしてるようだ、
だがかなり距離がある、すぐにデーヴィド達に連絡を・・
「紀伊主砲発射用意!エニウェアドラゴンを駆逐する!」
皆が驚いた、この距離では大和と武蔵の主砲でも届かない、
さっき紀伊は同型艦だと言っていた、なら弾は届かないはず・・
「まあ画面をご覧ください、そちらの席にお座り願います」
自信たっぷりのタケシの勧めで俺達は艦長の席に移動する、
エマはウェディングドレス姿のままなので彼女を艦長席に座らせた、
俺とエリーナは左右に席を用意してもらいそこに座った。
画面を見るとエニウェアドラゴン2体、シーバジリスクが複数いる、
どうやら2体のエニウェアがシーバジリスクに命令をしているようだ、
艦隊の下から襲うつもりでシーバジリスクに隠れるよう指示している。
「紀伊取り舵(進行方向左)45度、主砲をエニウェアに向けろ!」
「信濃面舵(進行方向右)45度、紀伊から離れてください」
紀伊と信濃は交差するように位置を変え主砲をエニウェアに向ける、
紀伊の主砲は大和と武蔵とは異なり3連装ではなく2連装主砲だ、
ただ・・主砲の砲身は大和武蔵より長いようだ。
他の砲を見ても砲身が長いのが多くまるで狙撃銃の塊だ。
「紀伊の主砲の射程距離は大和武蔵より長いぞ!」
祖父木人形が自信満々に語ったが・・あまりにも遠くないか?
ここからは60km以上ある、確か大和の射程距離は約40km、
いくら紀伊の射程距離が長くても届かないと思うんだが・・
「角度修正!紀伊全主砲エニウェアドラゴンにロックオン完了!」
「主砲!撃て~~~!」
「ドッコーーーーーーーン!!!」
紀伊の46センチ2連装主砲3基6門が一斉に火を噴いた!
弾は一直線にエニウェアドラゴンに飛んでいく・・が・・
さすがに遠すぎるのか弾の勢いは落ちてきた・・
「 破裂 」
紀伊の主砲弾の後ろに氷の塊がありそれが破裂して勢いが増す、
一気に加速した主砲弾が一直線にエニウェアドラゴンに向かう、
ふと頭を上げたエニウェア2頭は・・全主砲弾をまともに受けた。
「グググググ・・・・」
2頭のエニウェアドラゴンは・・・
結界も悲鳴も出す暇もなく海面に落ち息絶え海中に沈んでいく、
指揮系統を失ったシーバジリスクは混乱してエニウェアを襲う、
まるでピラニアのように群がりズタズタに切り裂き食べていた。
その後シーバジリスクは散開してどこかに行ってしまった,
その一部始終を画面で見ていた俺達は・・ただ驚くだけだった。
「どうじゃ!これが狙撃戦艦紀伊じゃ~!」
確かにスナイパーと言ってもいいだろう。
紀伊と信濃はその後並んで巡航しデーヴィド艦隊と合流する、
デーヴィド達もモニターで一部始終を見ていたようだ。
「じゃ気をつけてね、いってらっしゃい」
サユミの励ましに少し照れたようにタケシが右手を挙げる。
「紀伊は東の大陸に向かいますので信濃に移動お願いします」
サユミの転移魔法で俺達は信濃に移動して紀伊たちを見送った、
紀伊が合流したデーヴィド艦隊は速度を上げ東の大陸に向かった。
「ところで・・皆さま丘に戻られますか?」
サユミが結婚式の途中ではないんですか?と心配している。
「どうする?丘に戻って式の続きをするか?」
「いえ・・私はこのまま信濃に乗っていたいです」
「そうね、もう式は済んだんだからいいんじゃない?」
「そうだな、サユミすまないがこのまま俺達を乗せてくれ」
「わかりました」
信濃は反転して異世界軍の港に向かって巡航、俺達は・・
エマが着替えして皆で食堂に集まり夕食をみんなで楽しんだ、
それが済んだ後に・・・
エマの要望でなぜかマージャンがはじまった!
「それツモです!」
「え~また?エマ強過ぎよ!」
「何を出しても負ける気がする・・・」
「そうですね・・私ハンデで千里眼使っていいですか?」
「サユミちゃんそれはダメよ、魔法や特殊系は禁止!」
勝ちまくって笑いが止まらないエマの横で・・・
落ちこみが止まらない俺コウとエリーナとサユミだった。
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