甘い魅惑の虜たちと群がる東の大陸の住民たち
晴れの日俺達の艦隊は順調に東の大陸に向かって巡航中、
この異世界の気候は日本と同じように四季があるらしい、
時間間隔もほぼ同じで晴れの夜には月も星空も見える。
時計を見ると午前8時、俺デーヴィドの夜番は終了となる、
各艦ほぼフルスピードで巡航してるから昼前には着くらしい、
それまで仮眠を・・クリスティーナが俺の腕から離れない。
ジセルやルミナ達も見ているのに・・こんなに大胆だったのか?
と思ったら・・・
「むにゃむにゃ・・ケーキおかわりお願いします~~・・」
俺の腕を掴んだまま爆睡していた。
「しょうがないな」
寝ているクリスティーナを椅子に座らせタンカを呼ぶ・・
「こういう時は艦長が運んでください!」
なぜかジセルとルミナに怒られた。
「わかったよ!」
俺はクリスティーナを静かにお姫様だっこする・・と
「キャー~~~キャ~~~!!」
ジセルとルミナが極度に興奮している。
「おいドアを開けてくれ!」
「ねえ聞いた?あのままティーナを部屋に連れて行く気よ?」
「まあ大胆ね~まだ朝の8時よ?底無しなのかしら?」
「いえいえ・・愛に時間は関係ありませんよ!」
「そうです!艦長の愛は24時間営業中なのです!」
俺はコンビニかよ・・
いつの間にかマミーとサクラも加わり4人は極度に興奮している、
過激な妄想に酔いしれる4人を見て俺は呆れるしかなかった、
いい加減クリスティーナを降ろ・・いやいや重いからじゃない。
見かねたのか女性木人形がやれやれと俺のサポートをしてくれた,
入口まで運んだが・・女性の部屋に入るのはさすがに気兼ねする、
ここからは木人形たちに任せ俺は食堂に行き軽く食事を済ませた。
「少し寝るか・・」
俺は自分の部屋に戻って仮眠、すぐに眠りしっかり熟睡できた、
昼前に艦内のサイレンが鳴る、どうやら東の大陸が見えたらしい、
急ぎ艦長室に戻ると・・ジセル達が「なーんだ」的な目で俺を見る。
さすがにカチンときたので・・木人形がある言葉を教えてくれた、
これだと彼女達は猛省するのは確実だからと・・よし!
「君たち4人!艦長に暴言吐いたので一か月おやつ禁止!」
「申し訳ありませんでした!!!!」
4人は瞬時に深々と頭を下げた。
「本当にごめんなさい、この通りお詫びします、だからおやつは・・」
「いやそれは聞けない!艦長命令に従いなさい!」
「それは勘弁してください、おやつだけはおやつだけは~~」
・・・
ガン泣きしてくるので木人形たちと相談の結果おやつ一回半分にした、
これだけ譲歩したのに彼女達は震えが止まらず相当ショックを受けていた。
「嫌よいや・・もうおやつ抜きなんて耐えられない・・」
「おやつのない生活なんてもう戻れない・・・」
「あの甘さが無い生活は恐ろしすぎる・・」
「もう私たちはあの甘さから逃げられないのよ・・」
・・・
しっかりお灸が出来たので良しとしよう。
クリスティーナも起きてきて・・って君は朝の当番だろう!
さすがに見逃すことは出来ず彼女もおやつ一回半分とした、
すると・・・彼女達は意味不明な小芝居を始めた。
「つらいけど今は耐えるのよ・・勝つまでは・・」
「そうよ、希望の朝はきっと来るわ・・・」
「ここは団結でのりきるのよ・・」
「苦しい時こそ笑っていきましょう・・」
「うん!みんなで頑張りましょう!」
・・・
5人は硬い握手をしている、団結で難題に取り組むようだ、
もうついていけないので俺は彼女たちの世界から脱却した、
東の大陸が見えてきたので俺は双眼鏡で大陸を見る。
すると・・
対岸に人影が見えた、大体20人位いるようだ、何やら合図?
旗を振ってるようでそれを見たアトラス達が急ぎ対岸に向かう、
一旦各艦は停止して碇を降ろし沖合いで様子を見る。
各自双眼鏡を持って東の大陸の様子を見ていた、見ていると・・
人間らしき人の服装が見えたが相当ボロボロで痩せ細っている、
予想はしていたが・・それよりもさらに厳しい食糧難のようだ。
「なにか喋ってますね」
やっと落ち着いたらしく魔族のアミーが対岸の会話を読み取る、
どうやら彼女は遠くの会話を読み取る能力があるらしい。
「解読しましょうか?」
「ああ頼む、気になるからな」
「えっと・・何でこんなに帰りが遅いんだ?なぜ連絡しない?
俺達は空腹を抑えて待っていたんだぞ!いい加減にしろ!、
遠くから来たのにほったらかしかよ!ほんと腹がたつな~」
「それは申し訳ない、お土産あるから勘弁してくれ・・」
「ふざけるな、そんな得体のしれない物食べられるか!」
「いえいえ・・これはとても美味しいのですよ!」
「そうよ食べてから言って!私たちが苦労して手に入れたのよ!」
苦労したのか?
「そこまで言うなら・・・」
モカとココがもみじまんじゅうの様なものを周りに配っている、
ドラゴンらしき人と何人かの人間が恐る恐るそれを食べ始めた、
俺達は・・その反応を唾を飲み込み注視していた。
「なんだこれ?甘すぎるぞ!」
「美味しい!こんな甘い物初めて食べた!」
「おい・・これは何なんだ?どこで手に入れたんだ?」
「もう一個ちょうだい!」
「おい俺が先だ!早くくれ!」
皆がココたちに群がりお土産をよこせと目の色を変える、
すぐにお土産は無くなったが足りないと皆の興奮が止まらない、
あまりの迫力にモカやココが涙を流しながら怖がっていた。
「他にはないのか?」
皆がアトラスに群がりこう訴える、恐怖を感じたアトラスが一言。
「あの沖合にいる船に沢山あるぞ!・・って~なんで?
彼らの不満の矛先がこちらに向けられました~~~!」
アミーが解読しながら驚いていた。
俺達もその言葉を聞き背筋が寒くなった。
皆の目線が俺達に向けられる、双眼鏡越しでもめちゃくちゃ怖い、
アトラスが急ぎこっちに来るようにとテレパシーが俺達の頭に響く、
だが・・俺達はすぐに向かうのは危険と直感で感じた、なので・・
「我ら東の大陸の魔法結界で動けず!」
時間稼ぎのテレパシーをアトラスに送り興奮が収まるまで待つことに・・
だがこれが逆に火に油を注ぐ結果となる。
「結界?そんなものはすぐに消してやる!早く来い!」
シュン・・・・
ドラゴンたちがすぐに結界を消した。
早く来いとばかりに皆が俺達に向かって手招きする。
「我らの艦は大きく東の大陸に近づくと浅瀬で座礁の恐れがある、
申し訳ないが各自こちらに来てもらうことを望む」
何とか時間稼ぎして興奮を収めようとする俺達だが・・
「座礁?そんな心配は無用よ!早く来なさい!」
ドドドドドドドドドドドド・・・・
大地を操るドラゴンが瞬く間に港を造り俺達を呼んでいる、
さらに人工衛星で見た村らしき所から人間が多数対岸に来ている、
次々と人が集まり手招き、少なく見積もっても500人を超える。
・・・
俺達は観念して静かに港に向かい動き出した、俺は各艦に伝達!
「我らは今より東の大陸に向かう、各自食料を部屋に備えよ」
皆が危機を感じ急ぎ食糧庫や食堂から調達して自分の部屋に隠した、
ドラゴンが複数いるので持ってきた食糧はほぼ空になるだろう、
俺達の分まで食べられる恐れがあるのでその分は急いで隠させた。
ただ・・
ジセル達はおやつ半分を忘れるなよ!
「ええっ?」
ええっ?じゃない!
「そんな~ぁ・・御慈悲を~~~」
俺はその声は無視してアトラスに連絡する。
「今からそちらに向かい食事を提供する、皆に伝えてほしい、
女性や子供、病人等弱者を優先して各艦の前で一列で並ぶように、
あと飲み水を提供してほしい、大丈夫、食糧はたっぷり持ってきた」
「わかった、急ぎそのように伝える」
アトラス達は皆にそのことを伝え急ぎ飲み水を取りに行く、
その言葉に安心したのか皆各艦の前で一列に並び食事を待つ、
各艦では会議室等広い部屋を開放して簡易食堂を造り備えた。
港はまるで難民キャンプのような雰囲気の中各艦は入港した、
まずは女性とその子供、足の弱い老人などを食堂に招いた、
他は簡易食堂に移動してもらいそこで食事を取ってもらう。
人数が多いので外で待つ者も数多くいた、それらには別対応、
テントを張り屋台を作りパンやうどん等を提供して食べてもらう、
意外にも皆箸を上手に扱い麺類を楽しんでいた。
ドラゴン達はアリゾナとホーネットの食堂に招き食事を提供した、
予想通りものすごく食べるのでしばらく話し合いは無理そうだ、
各乗務員は料理人木人形のサポートや誘導などで大忙しだった。
半日ほど時が過ぎ・・・
満腹になったドラゴンと人間達から感謝の言葉を頂いた。
俺達はヘトヘトになったが・・
満面の笑顔で喜ぶ子供たちを見て心が和んだ。
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