「隼鷹」「飛鷹」「時雨」の発見と謎の原子力空母
捜索隊と特戦隊はその場所に伺い・・そこは山奥に潜む地底湖だった、
かなり大きな地底湖だが海には繋がっていなく海底種族も気づかなかった、
その中には空母らしき船2隻と駆逐艦らしき船が1隻浅瀬に座礁していた。
「こ・・これは・・」
かろうじて原型の面影が残るこの三隻、無念の雰囲気が漂っていた、
捜査員ライアンが調べた所・・このライアンが猛烈に泣き出した!
「じ・・隼鷹、飛鷹、時雨・・こんな所にいたのか・・・」
どうやらこの3隻は旧日本海軍の艦船らしい、名は隼鷹、飛鷹、時雨のようだ、
航空母艦隼鷹と飛鷹は商船を改造した空母らしき正規空母ではないが・・
艦載機の搭載と対空兵装に関しては正規空母蒼龍に匹敵する艦だった。
日本がミッドウェー海戦で大敗したあとこの2隻は貴重な空母として扱われる、
だがマリアナ沖海戦で飛鷹は沈没、隼鷹も傷つき終戦後解体されたそうだ、
時雨に関しては雪風と並び武勲艦として称えられたが終戦前に撃沈された艦だ。
「呉の雪風佐世保の時雨」
こう称されていた艦だったが・・なぜかこの3隻は一緒に召喚されなかった、
他にも召喚されなかった艦がありヘイゾウお兄さま達は各地を捜索していた、
だが発見は出来ず意気消沈していたが・・こんな所に召喚されていたのか・・
ウヮアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!!!!!
まず捜索隊達は黙祷、中にはこの3隻の乗組員もいたようで号泣が止まらない、
それらが落ち着くまで作業は中断、しばらくして捜索隊はこの3隻を調べる、
その結果3隻ともかなり大破してはいるが直せば十分に使えるそうだ。
・・・
撃沈はともかく解体された艦がなぜそのままこの異世界に召喚されたのかな?
俺はこの疑問にいつも頭をひねってはいるが・・
・・・
いくら考えても答えが出ないので・・
・・・
そういうものだと割り切ることにした。
それはさておき・・・
報告を受けた俺はヘイゾウお兄さまと相談、俺はある考えを告げる、
それはこの3隻を俺の親衛隊の専属として後方支援艦として使いたいからだ、
空母2隻と駆逐艦なので最前線には不向きとしてこの案を提案したのだ。
それと・・・
この異世界は海が広大で海獣も多いため軍艦はどの種族も猛烈に欲しがる、
特に戦闘に長けた艦は即戦力扱いなので空いてる艦があると取り合いになる、
以前威凜族が大量に召喚した艦も瞬く間に各種族が抑え一隻も余っていない。
なので・・
俺はこの3隻は直属の親衛隊に任せたいので・・
・・・
この地底湖で密かに改装し万一に備え遊軍として待機させたかった、
この考えにはヘイゾウお兄さまも同意、先を考えると後方支援は多い方がいい、
特に空母は艦載機で広範囲に援護出来るので備えとして最適だからだ。
だが・・・
このことを各種族に話すと・・猛烈に反対されるのは目に見えていた、
空母は離れた島にもヘリを使い物資を送れるので頻繁に懇願される、
特に東の大陸やギルドがいる北東の大陸は島が多いので要望が絶えない。
そのため話したら最後、絶対奪われるので口外禁止とした。
なのでヘイゾウお兄さまはこの地底湖を改築して整備港にするようだ、
幸いこの地底湖の周りは山が被さっているので人工衛星からも見えない、
海からも2km位、さらに巨大な洞窟が近くを通りすぐ海と繋げられる。
「よし孫よ!お前の案を採用しここに極秘の地底湖整備港を造るぞ!」
「ああ頼む!これで背中を心配することがかなり減るからな」
そうと決まれば行動が早い、瞬く間に整備港が完成しこの3隻を改装していく、
後方支援を前提とした大改装、高速空母・駆逐艦として3隻はパワーアップ、
装備も最新鋭を次々と導入して超高性能軍艦として3隻は生まれ変わった。
ちなみに空母隼鷹・飛鷹に関しては日本空母として初の島型艦橋と上方煙突、
これが一体化した大型艦橋を備えていた、後に大鳳・信濃等も備えている、
だがこの異世界では魔力で動く仕様に変更され大半の艦は煙突は撤去している。
だが大和等は煙突はそのままだがロケットランチャーなどの発射口を装備、
デザインが大きく変わると撤去に猛反対の種族が多く外観はそのままだ、
しかし一部の艦に関しては完全に邪魔なのであっさり撤去されている。
・・・
これに関してはさておき・・
尚他の種族にはこの付近での作業は鉄を発掘してると伝え誤魔化している、
実際この付近は良質の鉄がとれることもあり各種族は深く疑わなかった、
たまにエルフ等が人工衛星でチェックしたが見えないのでスルーしていた。
それとこの情報を提供してくれたヒトミには中軍師の地位を新たに授けた、
以前ティーラーに行った問題の紙を見た彼女は独自に分析し俺に報告、
結果はどちらも正解、さらに自分ならこう問題を避けると追記もしていた。
三国志に関しては火攻めを最悪想定していて鎖の一部を外せるようにした、
こうして船と船の間を空け・・それと海水を使い消火する方法を進言する、
それは手動井戸ポンプを備え穴をあけた竹筒に水を流し消火する方法だ。
・・・
俺達の世界で例えると・・スプリンクラーのような感じかな?
それとミッドウェー海戦に関しては空母と戦艦の位置を逆にする案、
大和などを先に向かわせて後方に空母を追従させて援護と攻撃を行う、
赤城と蒼龍、加賀と飛龍の艦載機を交互に出して隙間無く援護させる。
結果は分からないが・・少なくても大敗はしないと自信満々だった。
俺はこれを見て・・
ヒトミを中軍師に任命、主な仕事は戦術案を客観的に分析する仕事だ、
彼女は客観的にものを見る目が優れているようでイチカも太鼓判を押す、
昔から彼女を見ていたらしくおどおどしたイチカが言うから相当なんだろう。
その後彼女は俺のメイドをしばらく就任した後結婚し営み2人目の子供を授かる、
前の旦那の息子のミナトも大喜び、子育てが落ち着いた後戦術部隊に就任する、
希望の地位を得たヒトミだが・・奢らず日々真面目に仕事に打ち込んでいた。
これも一旦さておき・・
猛烈なスピードで整備港化する地底湖、一週間後にはほぼ完成となる、
ここに隼鷹・飛鷹・時雨を入港させライアン達が最新鋭の軍艦に改装していく、
砂糖に群がるアリのように修繕するライアン達の作業は驚愕レベルだった。
翌月・・・
3隻ともほぼ完成し見事な高速空母・駆逐艦として生まれ変わった、
試運転も問題なかったのでいつでも出港可能の状態ではあるが・・
・・・
地底湖と海が繋がっていないので急ぎ洞窟を拡大、海までの延長工事を始める、
先では大和などの大型艦も利用するかもしれないので洞窟はさらに大きくした、
ある意味こっちの方が難航だったのだがライアン達は愚痴一つ出さなかった。
その間俺は一旦神殿に戻り公務で大忙し、だが新たな艦に期待度が高まる、
一応大和が俺の専属艦ではあるが巨大に加え特殊任務を請け負う艦でもある、
なので手軽に使う事が出来ないので普段用に小回りのきく艦を求めていた。
そのため・・
隼鷹や飛鷹はともかく駆逐艦時雨はサイズが丁度いいので是非とも欲しい、
この艦が手に入れば俺は各地への移動が容易になるので唾つけている、
親衛隊に所属させておけばいつでも使えるので俺の行動範囲は高まる。
そう思っていたのだが・・・
予期せぬ問題が起きた!
「コウさん大変です、洞窟の奥になにやら巨大な鉄の塊が出てきました!」
「なんだと?以前調査したときは何も無かったと聞いているぞ?」
「ええ仰る通りなのですが・・突然出てきたようで我々も驚いています、
ですがその鉄の塊は何かが違うんです、どうかしたら大和より大きいかも・・」
「わ・・わかった、すぐそちらに向かう!!」
俺はお供を連れ神殿から飛び出し地底湖整備港に急ぐ、そして洞窟の中を確認、
洞窟内は想像よりも広く拡大されていた、これなら大和でも余裕で通れる、
1km程中に入っていくと・・謎の鉄の塊が洞窟を遮るように置いてある。
???
以前調査したときこの鉄の塊は無かった、なので召喚された可能性もある、
鉄の塊はとても大きく300m位はありそうだ、それが洞窟を塞いでいる、
これは困った、この先に海があるので一旦この鉄の塊はどかす必要がある。
ちなみにこの鉄の塊を避けて海に繋ぐ方法も考えたが却下となる、
理由は環境問題、別の洞窟を掘ると山が崩れ環境破壊に繋がる恐れがある、
もし崩れたら各種族から総スカンを食らわされるので・・それを恐れた。
「準備出来ました!引っ張りますよ~~~!!!」
「了解!ゆっくり引いてくれ~!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
改装を終わらせた隼鷹と飛鷹を使い牽引ワイヤーで鉄の塊を引っ張る、
巨大な鉄の塊は2隻の空母に牽引され徐々にその姿を現していく、
そして全員驚愕!ある程度解体されていたので気づかなかったが・・
・・・
「こ・・これって・・」
「ああ驚いた、まさかこいつがこの異世界に来るとは・・」
・・・
その鉄の塊とは・・
ほとんど解体されてはいるが・・・
その正体は・・・
・・・
エンタープライズ級の原子力空母だった。