複数の妻たちとスカイドラゴンの思惑
航空母艦加賀には謎のスカイドラゴンの3人組が来ている、
用心のためにルーム国王軍の艦隊は戦闘態勢で待機している、
さらに信濃を向かわせている、もうすぐ合流するそうだ。
会議室には俺コウと右にエリーナとエマ、左にソニアがいる、
向かいにスカイドラゴンの男性、左右に獣人の女の子が座る、
まずは挨拶をと・・見透かしたように相手から挨拶してきた。
「はじめまして、俺・・いや私はスカイドラゴンのアトラスです、
犬獣人はモカ、猫獣人はココと言います」
俺が挨拶・・それを遮るようにエリーナが机から立つ、
胸に手を当て少しアトラスにお辞儀をして自己紹介を始めた。
「はじめましてアトラス様、こちらが我が連合軍総裁のコウです、
私は・・ルーカス・エリーナ・ウィリアムズと申します、
コウの赤の夫人でルーム王国の外交担当を務めております」
次にエマが立って少しお辞儀をして自己紹介を始めた。
「私はコウの緑の夫人でルーカス・エマ・ウィリアムズと申します、
西の大陸の森林管理と外交の担当を務めております」
さらにソニアが立って自己紹介を始める。
「私はコウの白の夫人でルーカス・ソニア・ウィリアムズです、
北の大陸の全般を担当をしております」
???
君たち・・いつから俺の夫人になったんだ?
俺は何とか顔は平常心を保ってはいるが・・内心驚きの連続だ、
心配を予想していたエマからのテレパシーが俺の頭に入ってくる。
「東の大陸は広く様々な種族がいると聞いたことがあります、
彼らが連合を組みこちらに対し侵略の意図があるかもしれません、
今回訪れたのはこちらの戦力の様子見の可能性も否定できません」
さらに・・
「あえてドラゴンを向かわせることで戦力分析したのでしょう、
見下されないためにも我らの戦力と団結力を見せつけるのです、
それには各代表が婚姻関係を結んでる方がわかりやすいのです」
なるほど・・
確かに話し合い程度なら末端を使者に送れば済むことだ、
目の前にいるアトラスたちはかなり上の立場の雰囲気を感じる、
彼らがわざわざ来たのだからエマたちの警戒も当然だろう。
それと番号順ではなく色で区分けしてるのも大きな意味がある、
数字で区分けすると上下関係がわかりやすいので避けたそうだ、
あくまで自分達は対等な関係であると印象つける為だそうだ。
彼女達とは本当の夫婦でないのが残念だが今は芝居でいいだろう、
俺もこの場だけは彼女達を妻として考え交渉に挑むことにした、
まずは先手必勝!俺からアトラスに質問を投げかける。
「アトラスさん、本日はどのようなご用件で来られたのですか?」
「はい、先般あなた達の戦いを見させて頂きました、そして・・
我らも手こずるエニウェアドラゴンを倒したことに驚きました、
出来れば我らにもあなた達の力を分けて頂きたいと思い伺いました」
見ていた??
戦いの最中にスカイドラゴンは見当たらなかったが・・
「我らスカイドラゴンの領域は上空全般、気流でわかるのです」
気流でわかる・・となれば人工衛星もわかるのか?
「お察しの通りです、あの奇妙な物体も我らは把握しております、
攻撃をしてこないことを見ると・・おそらく偵察用でしょうね、
さすがに私生活を見られるのは恥ずかしいので隠れていました」
「それは申し訳ない、確かに用心のため偵察を各地に放ってます、
大切な家族を守る為私が指示しました、見ての通り大所帯ですので」
「綺麗な奥様をたくさんお持ちなんですね」
「ええ自慢の妻たちです、彼女達は優秀なので各地を任せてます」
エリーナたちは頬を赤くしてすごく照れていた。
気をとりなおしたエリーナがアトラスに質問する。
「アトラス様、よければ東の大陸の詳細を教えていただけますか?
正直私たちには東の大陸は謎だらけなので警戒せざるを得ません、
こちらから攻める気はありませんが心配が尽きませんので・・」
「アトラスでいいですよ、そちらの心境は理解できました、
確かに我らの住む東の大陸は魔法結界で他種族を受け付けません、
ですが・・そうでもしないと現存の種族を守れないからです」
さらに・・
「我々も含め他のドラゴンも別大陸の種族との関わりを嫌がります、
ですが南の大陸の惨状を見ると他人事ではありません、なので・・
正直なりふり構わず戦力を蓄えようと皆焦っているのです」
それで俺達に目を向けたわけか・・
「あなたたちの戦力が加わればエニウェアにも対抗できます、
ただ我らもあなた達を知りませんから警戒せざるを得ません、
そこで今回空を飛べる我々が選ばれこちらに訪れたわけです」
どうやら敵意はなさそうだな・・
ここでソニアがアトラスに尋ねる。
「それは東の大陸に住むドラゴン全体の総意と考えていいの?」
「あなたもドラゴンですね、そう考えてもらって結構ですよ」
ソニアは俺を見て頷いた、信用してもいいという合図のようだ、
同じドラゴンの彼女がそう感じるのなら間違いはないだろう。
さらにエマがアトラスに尋ねる。
「アトラスさん、あなた達が私たちに求める戦力とは何ですか?」
「我々が欲しいのはあなた達の航空戦力、主に内陸部に備えたいのです、
ご存じだと思いますがドラゴン全部が空を飛べるわけではありません、
飛べないドラゴンや各種族たちの上空護衛に欲しいのです」
「それと東の大陸の海岸沿いの守りもお願いしたいと考えております、
可能であればあなた達の武器や道具など提供してもらいたいのです、
こちらもあなた達の要望を可能な限り提供したいと考えております」
悪くない話だが・・
さらにエマが尋ねる。
「こちらの戦力を提供するのは構いません、ただ条件があります」
「何でしょう?」
「まずは東の大陸の各地の状況を見せてください、もちろん・・
あなた達が望むならこちらの状況もお見せしましょう」
「なら話が早い、まずは我らにあなた達の状況をお見せください、
その後私が責任を持ってあなた達を東の大陸に案内させて頂きます、
恐縮ですが先に見せて頂けるとこちらも仲間に伝えやすいので・・」
「わかりました、先にこちらからご案内致します、ただ・・
準備があるので明日からでよろしいですか?」
「それは構いません、よろしくお願いいたします」
夜も更けてアトラス達にはこのまま加賀に泊まってもらった、
木人形がアトラス達への対応はお任せ下さいと言うので委託した、
俺達の出す食事にかなり驚いてはいたが他に問題はないそうだ。
スカイドラゴンたちの敵意が無いことが確認できたので・・
ルーム国艦隊は全艦港に戻り乗組員はそれぞれの家路についた、
信濃も異世界軍の港に戻り整備を受けていた。
翌日・・
彼らにはルーム国に上陸してもらい各地を案内した、
具体的には飛行場・軍港や武器の製造工場などの重要施設、
お供の2人が甘いものに興味を示したので菓子工場も案内した。
アトラスはワインが気に入ったらしくお土産に何点か渡した、
一通り案内した後・・他に希望はあるかと尋ねたら意外な返答、
列車に乗ってのんびりと島を一周したいと言い出した。
島を偵察するために乗り続けるのかと思ったが・・
お供の2人と各駅に降りちゃ名物食事を堪能していた。
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