兵達の不満とそれを晴らす第3者の候補
各艦隊の猛訓練は終了、結果はほぼ想像通りだったが手応えはあった、
まず卿魔族達は自身の長所短所を理解したようで艦の仕組みなどを学ぶ、
魔法だけで戦うと封じられたり何らかの形で失うと致命傷になる。
実際に俺達と戦ってそれが身にしみたのか・・
新たな力を構築する必要があると考えたようだ。
それは俺達と各種族も同じ、強大な力を持つ相手に白兵戦を挑む場合もある、
その時いかにして生き残るか・・その答えの一つに卿魔族達との共存がある、
苦手な分野は訓練しても補えないこともある、なら協力を仰ぐのも一つの手だ。
この訓練以降・・
俺達と卿魔族達の距離は一気に縮まり中には一緒に酒を飲む者達も現れた、
まるで学生達のようにお互いの夢を語り朝までどんちゃん騒ぎまでしている、
これが男性同士ならまだなんとなく分かるが・・女性同士も同じ事していた。
「あはは~~~次は何歌うんだ~~??」
「うふふ・・このお酒美味しいわね!もういっぱい!!!」
・・・
まあお互いの親交が更に深くなったと喜ぼう。
これらはさておき・・
俺にとって今重要なのは馨響族・威凜族の精鋭が各部隊を辞めたい、
そして俺の鮪に勤めて好みの女性をGETと同時にハーレムを実現したい、
その夢が両方叶う可能性がある俺の鮪に転職を希望しているらしい。
・・・
それって・・俺マジで関係あるの?
単なる精鋭達の下心満載の行動じゃないか!
そんな下心に関しては個々の自由じゃ無いのか?
それにこの異世界全般一夫多妻制OKなんだろう?なら別にいいと思うぞ!
と俺が訴えたら・・
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
周りから総スカンを食らわされた!
怒り狂うキアーラが代表して俺に訴える!
「コウさんは現状の深刻さを把握していません、これは重大問題なのですよ、
よく考えてください!時間をかけて鍛えた精鋭が突然辞めるとどうなりますか?
その部隊は主力を失い大事になるのですよ!その位わからないのですか?」
・・・
まあ・・それは困るな。
「でしょ?それに加えて人財がどんどん辞めていくと統制がとれません、
それだけではありません、それを見た後輩が同じ道を歩むと混乱を極めます、
そうなると軍隊としての機能が失われます、それは死活問題にも等しいのです」
・・・
キアーラの言い分もわかる、実際彼女達は大被害を受けているのだからな、
だが・・これに関しては一つの店のことでドタバタしてるのはどうなのかな?
目線を変えると・・
・・・
「今の話を聞いているとな、君達指揮官の問題だと俺は思うぞ!」
「それは・・どういうことですか?」
「簡単なことだ、君達が単純に部下から信頼されていないんじゃないのか?
いくら異性を求めているとは言っても・・そう簡単に軍を辞める事なのか?
部下達も星を守る重要さはわかっているはず・・そうではないのか?
・・・
皆は黙り込む、どうやら心当たりはあるようだ、なので・・・
「この問題は当事者にも話を聞く必要がある、だがそれは俺が指揮する、
君達には本音を話せないだろうから俺が仲介役となって対応していく、
ある程度状況が把握できたら改めて君達を呼ぶからそれまで待ってくれ」
「・・わ・・わかりました!!!!!」
ここで皆一旦解散、俺は親衛隊に兵達の状況を観察するように指示した、
だが親衛隊はあくまで状況確認のみ、実際に話を聞くのは俺が担当する、
まず妻のイザベル達に連絡を取り辞めたいと言う兵達を集めるよう指示。
その際総司令官が直接話を聞き不満があれば対応すると付け加えた、
尚罰則などは無し、過激な不満でも俺が受け止めるとも言っている、
イザベル達は即座に行動、すると100人を越える兵達が集まってきた。
・・・
俺は一週間かけて兵達一人一人と話をする、そして兵達の不満を纏めた、
尚兵達の上司への不満や鬱憤等は以下の通り・・
● 上司の行動や指示が遅く無駄に待たされる事が多い。
● 上が現場に出てこず丸投げでミスがあると猛烈に怒られる。
● 自分達は快適な部屋でのんびりしていて現場は扇風機程度。
● 指示書や図面などが分かりにくく尋ねても的外れな答えが多い。
● 会議や集いは頻繁にしているのに現場に詳細を伝えない。
● 節約を言われるが自分達は冷暖房使い放題でふざけるなと言いたい。
● 命を賭ける仕事の割に給料が安い。
● 無駄と思える規律が多すぎて効率が悪すぎる。
● 上の者の身内や親交の深い者が優遇されすぎている。
● それらの上司はド素人が多く逆に足手まといで鬱陶しい。
● この仕事に将来性を感じないから辞めて俺の鮪で働きたい。
等など・・
・・・
俺達の世界で例えると・・
典型的なダメ会社の内容そのものだな・・
俺はこれらの声を纏め西の大陸に向かいガルーダ王のカオスと対談、
俺の考えだけキアーラ達に押しつけるのは理不尽と思い彼に相談した、
資料を一通り見たカオス、彼は薄ら笑いをしながらこう答えた。
「まあこれは仕方のないことだな」
「なに?どういうことだ?」
「馨響・威凜・白銀族達は復興の最中だ、建物等は整ったが人材育成、
それと新たな知識・・君達の技術を使いこなせていないから問題が起こる、
これは彼ら彼女達ではすぐには解決出来ない、第3者を設ける必要がある」
「それは・・例えるとド素人が戦艦を手に入れたが使いこなせないと?」
「そんなところだな、俺達も当初は同じだったから気持ちはわかる、
まあ俺達の場合レイナやアデール達が傍にいたから分散対応が出来たんだ、
それと・・今のように同盟種族が多くなかったからまだ余裕があった」
「よくわからないな・・」
「おそらくキアーラさん達は俺達に追いつけ追い越せの心理状態のはずだ、
あまりにも他と差がありすぎるから少しでも追いつこうと必死なのだろう、
だから気軽に話せる身内に現場を任せ自分達は知識を詰め込んでいると思う」
「それは・・小学生が急ぎ大学生になろうとしている感じなのか?」
「俺はそう思う、そうでなければこれだけの愚かな行動はしないだろう、
だが君達のは・・何百年とかけて試行錯誤を繰り返した超高度な文明だ、
これだけ付き合いがある俺達ですらまだ入り口に入った程度だからな」
「なるほど、なら君ならどう対応するんだ?」
「おそらく現場を任された身内達もどうしていいやらわからないはずだ、
なので放置しておくと最悪内乱が起きる、それは絶対避けないといけない、
俺なら当面第3者を現場に置きその身内と兵を離す対応を取る」
「そうだな・・では誰かを派遣するか・・」
「それに関してだが・・うってつけの人物がいるだろう?」
「なに?それは誰なんだ?」
「それは・・・」
ここでちと目線は変わり・・
頻繁に現場を視察するティーラ、この日は軽巡酒匂の食堂にいた、
駆逐艦雪風の艦長に頼み込んだ彼女は各艦の乗組員達と会話を繰り返していた、
下積みが少なすぎると悟った彼女は経験を積むため日々動いていた。
そのティーラーを探している女性がいた、裏世界の人間世界のレイだった、
俺との婚約切れが間近に迫った彼女はどうしていいやら分からす困惑していた、
そんな矢先熱心に動くティーラーの噂を聞いて・・一度話をしたいらしい。
というのも・・
住んでいた星は異なるが・・
同じ人間の彼女の・・その情熱の根源は何なのかを聞きたいらしい、
もしかしたら自分の心の憂鬱を理解してくれるかもしれないと感じていた、
そんな矢先ティーラーが軽巡酒匂にいると聞き急ぎライアン達に頼んだ。
「お・・お願いします、どうしてもティーラーさんに会いたいのです」
「わ・・分かりました、こちらのヘリにお乗りください」
エスメラルダが憑依しているレイは飛べるが・・そのエスメラルダがいない、
しばらく一人で考えたいと言いエスメラルダは頷き一旦キアーラの星に帰る、
この何とも言えない憂鬱は・・自分で動き払拭したいと考えているようだ。
「待って!私も行くわ!」
レイの手をつかんだのはミオ、レイが心配で密かに後をつけていたようだ、
彼女にはカサンドラが憑依してはいるが空を飛ぶ気は無いようでヘリに乗る、
ヘリは急ぎ離陸し酒匂に向かった。
そして俺は・・
カオスとの話が済んだ後レイの行動を聞いて・・
・・・
俺も・・軽巡酒匂に向かうことにした。




