第8艦隊の立ち位置と超多忙な俺とブルーアイズ
航空治癒母艦伊吹と阿蘇、この2隻の航空母艦は呉で製造予定だった、
だがどちらも未完成のまま終戦、解体と標的艦として処分扱いとなった、
だが当時連合艦隊幹部だったヘイゾウお兄さまは猛烈に悔しがっていた。
当時日本軍は壊滅状態に近く切り札の武蔵・信濃・大和も撃沈されていた、
祖父が熱望していた紀伊も製造中止となり大勢の仲間を失い終戦を迎えた、
やりようのない悲しみ・・皮肉にも自分達に仕事をくれたのがアメリカだった。
祖父達は大和などの技術などを用いてタンカーなどを製造し日本は復興していく、
そうして俺達が生まれ・・老衰で自分の人生はこれまでだと病棟で寝ていた祖父、
意識が盲ろうとしたその時!魂が異世界に導かれ木人形として生まれ変わった。
驚くことに・・
当時生死を共にした大勢の仲間達の魂も導かれこの異世界で新たな人生を歩む、
早速行ったのが共に召喚された軍艦等の兵器、これらに大改造を施し復活させた、
さらに念願だった戦艦紀伊も製造しこの異世界の主力艦として活躍している。
だが・・
同じように熱望していた航空母艦伊吹と阿蘇もこの異世界で蘇らせようと考えた、
当初この2隻も戦闘メインの艦として復元する予定だったが・・
・・・
争いが絶えなかったこの異世界、次々と各種族が傷を負い無残な最後を迎えた、
その時ヘイゾウお兄さまはかつて自分が体験したあの太平洋戦争を思い出す、
あの惨事はもう繰り返したくない、そこで思いついたのが救護艦だった。
やむを得ず戦闘になってもどちらの被害も最小限に抑えたい、なので・・
この伊吹は航空治癒母艦として最新鋭の医療施設を備えた艦として復元した、
この異世界には巨大な種族もいるので航空母艦ならそれらも対応できるからだ。
同じく呉で製造予定だった航空母艦阿蘇は戦闘中もあり当初は普通の航空母艦、
だが第8艦隊に配属された伊吹を見て魔物代表のメディが阿蘇の改造を要望、
この阿蘇も伊吹と同様の艦にしてほしいと猛烈に懇願し阿蘇も治癒母艦となる。
メディは魔族のメデューサだがこの異世界では温和な種族、というのも・・
比較的裕福な地域に住んでいたので他を攻撃する理由がなかったからだ、
だがエニウェアドラゴンの奇襲を受けその地域は壊滅的な状況となる。
幼かった彼女は両親を失い大勢の配下を失い・・それでもなんとか生きてきた、
俺達との同盟後彼女は自分の住んでいた地域を復興し今では魔族のトップとなる、
だがそれにおごらず弱者を助け苦しむ者に治癒を施す優しい首領だった。
そのこともあり・・
伊吹と阿蘇は戦場最前線での活躍こそないが・・
この2隻の医療設備は第7艦隊をも上回り動く集中治療室として活動、
頻繁に各地を訪れ難病に苦しむ者を救護したりと地味だが大活躍だった、
そのためか第8艦隊は全体の救護艦隊として皆から親しまれていた。
その第8艦隊は旗艦ビスマルク、ティルピッツも卿魔族領地を訪れていた、
伊吹・阿蘇ほどではないか第8艦隊は全艦高度な医療設備を備えている、
なので軽傷、中傷患者は他の艦が請負い次々と倒れた者を救っていく。
3日後・・・
ほぼ星のすべてを調べ苦しんでいる者達に応急処置を施し非常食を渡す、
だが困ったことに・・俺達の味を知ったら他を食べなくなった卿魔族達、
なのでここからは医療よりも食料配布の方が忙しくなり大変だった。
しばらくして・・
卿魔族達も落ち着き俺達と相談したいと言うので相談所を設置した、
具体的には住居の問題とか食べ物のこと、あと消滅した仲間の事だった、
担当者はまず住居に関しては新たに団地を造り対応すると説明していた。
「こ・・これを我が星の各地に建設するのですか?」
「ええイザリア様の要望です、これなら短期間で建設できますよ」
これはイザリアが望んだこと、俺達の貧困層の住居を調べていたらしい、
俺達の異世界及び同盟の星での貧困層は今迄の家をリフォームしている、
だが他の地に移住したい層もいるので各地に団地を複数建設している。
独身等には1K程度のプレハブアパートを用意しているが家族は団地、
この団地も基本プレハブ、三階建てで3LDKで超耐熱住宅である、
大概の地域は暑いので全体に耐熱処置を施し冷房1台で冷却出来ている。
気になる家賃だが・・
格安で提供する代わりに可能な限り魔力や内職等で賄って貰う仕組み、
例えば月家賃5万ギルだが魔力を提供すると半額にするというもの、
魔力が乏しい人間等は糸を紡ぐ内職等を行って貰い同じく半額とする。
「で・・出来れば家賃は免除して欲しいのですが・・」
「何かしら対価があれば可能ですよ、無理のないものはありますか?」
「ま・・魔力でもいいのですか?」
「それなら私達も大歓迎です、無理のない範囲でお願いします」
卿魔族達は魔力は余裕があるらしく魔力提供の代わりに家賃無料を訴える、
測定してみたら相当な量があったので・・まだ余裕があるらしく了承した、
ちなみに集めた魔力は天然石に封印して軍艦やインフラなどに使われている。
この異世界では魔力は電力・火力のように使う事も出来るので重宝している、
ある意味皆が発電所のようなもので魔力を使いスマホ充電等も行っている、
天然石に蓄積した魔力を変換器で電力などに変え各機器を動かしている。
次に食料の問題、当面は無料配布してその間に空き地に小麦等を植えていく、
同時に工場などを建設し仕事場も造りそこで働いて貰う案を担当が説明する、
大概の卿魔族達はこの案を了承、だが一部は俺達の星に移住を希望した。
「私達の星に移住を希望する理由を教えていただけますか?」
「た・・単純に貴方方の技術を学びたいのです!!!」
その理由は見聞を広めるため、今のままだと次破壊神が来たら防ぎきれない、
その破壊神を撃退した俺達の技術に関心が芽生えそれらを学びたいというもの、
担当者は各地の軍隊に連絡し何人かを受け入れるよう要望していた。
「と・・いうわけです!受け入れていただけますか?」
「それは大丈夫ですが・・今は食料補給が忙しいので後日にしてください」
各地の軍はその連絡を受け了承、ただ卿魔族の星が落ち着くまでの条件付き、
卿魔族達も自分の星が落ち着いてからの方が安心できるのか了承していた、
これで衣食住の問題はほぼ解決、次に担当者は憑依モンスターの説明を始める。
「し・・消滅した仲間を蘇らせる事が出来るのですか?」
「蘇らせる訳ではありません、魂を憑依モンスターにすると言うことです、
条件はありますが成功した者達は普通に日常生活を送っています、なので・・
ご希望であればその方のカードを作成して憑依主にとりつかせるのです」
「す・・するとどうなるのですか?」
「実例がありますのでこちらの画像をご覧ください」
担当者はモニターを出し・・驚く卿魔族達を無視してDVDを再生、
まず出てきたのは謙玄たち、自分の経緯を話し夏姫達に憑依したことを話す、
他にもカサンドラやエスメラルダも自分の経緯を話し今の状況を説明する。
まず憑依した後の生活、普通に飲食出来て単独行動も可能で戦うことも出来る、
デメリットは・・自分の憑依主が死んだとき自分も即死亡するということ、
それと魂が既に消滅、憑依拒否した場合等は憑依出来ないので完全な死となる。
尚憑依主からの生命エネルギーは必要だが最小限に留める事も出来ると説明、
そのために謙玄達は自ら飲食しこの異世界で過ごせる事も説明している、
この説明を聞いた卿魔族達は・・仲間の復活に希望を抱いていた。
「大まかな説明は以上です、是非試してみることをおすすめします」
「私達もこうして蘇りました、魂が消滅する前にぜひ・・」
謙玄達の説明は終了、20分ほどの画像だが卿魔族達は釘付けだった、
さらにサプライズとしてイザリアも挨拶、これを見た卿魔族達は興奮する、
イザリアが消滅したのは皆も知っていたので期待が確信に変わっていった。
「わ・・私夫を憑依したいのです!!」
「お・・俺の妹も可能なのか?」
「わ・・私の・・お・・幼なじみも可能なのですか?」
「正直やってみないとわかりません、なので行き当たりばったりです、
できる限りのことは行いますが完全に成功するとは限りません、なので・・
それを了承した上でのご依頼ならばお受けいたします!!」
「ぜ・・ぜひお願いします!!!!!!」
仲間を蘇らせたい卿魔族達の要望が殺到、担当者はすぐに対応した、
こうなることは想定済みだったので別室にパソコンとプリンターを大量配置、
憑依させたい仲間の特徴を聞きながら担当者が画像を描いていく。
「こんな感じになりますが・・」
「こ・・これでお願いします!!!!」
なぜか大幅に美化された仲間のカードを見て大喜びの卿魔族達、
そのカードは王城に運ばれ・・そのカードに光を注ぎまくる俺達、
この作業は俺とブルーアイズ3体にしか出来ないので大忙しだった。
「コウよ!またカードが届いたぞ!」
「ああ知ってるよ!今はとにかく数をこなすしかない」
「なんで我々だけこんな激務を負わないといけないんだ!?」
「しょうがないだろ!これは俺達にしか出来ないからだ!」
「おいおいまたカードが来たぞ!」
「わかっているから黙って光を注いでくれ!!!」
俺とブルーアイズは・・
・・・
猛烈な不満と怒りを感じながらも・・・
・・・
ひたすらカードに光を注ぐしか無かった。