お騒がせの卿魔族達と元祖猫攫いの称号
事務所に立て籠もる卿魔族のカルディナとキャサリン、喚く猫2匹、
この2匹は俺のお供で頻繁に食うちゃ寝を繰り返し丸々肥えていた、
一般の成猫は大体3.8kg位だがお供達は約8kgと倍以上だった。
というのも・・・
カウノス達の星で目当ての雌猫へのアプローチを頻繁に繰り返してはいたが・・
「に・・ニャヤアアアアア・・(訳)で・・デブは好みではないので・・」
・・・
当初は痩せていた2匹だったが俺の傍で飲み食い繰り返し一気に太りまくる、
今ではすっかりデブにゃんこと化して頼もしさが全然無い姿を見た雌猫たち、
単なるデブはただのデブとばかりに無視、なので一匹も振り向かなかった。
・・・
雌猫たちに振られた2匹は更にやけ食い、そのため更に丸々と肥えていった、
そんな中卿魔族の2人が現れ・・別種族とはいえ優しく接してくれた美女2人、
でぶ猫2匹は優しく接してくれているうちに心惹かれ思いっきり甘えていた。
対するカルディナとキャサリンは・・
当初は俺達を警戒し殺気を向けていたが戦艦三笠の艦砲射撃で肝を冷やす、
さらに姉が俺の息子のルアと将来の伴侶関係・・なのかな?と知り沈黙、
ルーム国に来て俺達の文化を知り飲めや遊べやでしっかり楽しんでいた。
そのためか・・
殺気は身を潜め俺のお供ということもあり彼女達は猫2匹を丁重に扱う、
だが徐々に本来の闘争本能や捕食本能が目を覚まし猫達への見る目が変わる、
なんとか猫饅頭を食べて凌いでいたが本能に逆らえず猫達を攫ってしまう!
「も・・もう我慢出来ないわ!!」
そうして事務所に猫達を連れ込み食べようとしたが周りに気づかれ囲まれる、
それを聞いた姉・・マーリットは顔色を変えて現場に向かい妹達を説得する、
さすがに総司令官のお供を食べたとなれば大問題・・のはずが・・
・・・
「カルディナ!キャサリン!早まった行動は慎みなさい!」
「お・・お姉様??」
「話は聞いたわ、どうしてこんな真似をしたの?なぜ我慢出来なかったの?
それと・・どうして私を誘わなかったの?私達いつも一緒だったじゃない!」
はい?
「その猫達が美味しそうなのは私も考えていたわ!だから悔しいのよ!
私も隙あれば狙っていたのよ!なのになぜ私に言わずに攫ったの?
それが・・それが悲しすぎるのよ~~~!!!」
・・・
どう聞いても説得ではなく未練だらだらのマーリットの言葉にうろたえる妹達、
すると・・
ちゃちゃら~ちゃ~ん!ちゃちゃら~ちゃ~ん!
ウウウーーーーーーーーーーー!!!
・・・
なぜか異世界警察と書かれたパトカーが次々現れ太陽に●えろの曲が流れる、
これらの車は以前異世界レースで造った昔の名車で色は白黒に塗りかえている、
その車から出てくるレイナ達、全員背広姿でサングラスをかけている。
「こちらレイナ!犯人は事務所に猫質をとっています」
「アデールです!どうしますかカオスボス?突っ込みましょうか?」
「まあ待て、マーリットさんの説得はうまくいってるのか?」
「残念ながら難航していてアクワリオ警部が励ましている最中です、
こうなれば狙撃手でホシを撃つのが最適かと・・」
「こちらシルヴィ、いつでも狙撃できます!」
「ソフィアです!こちらから猫質が見えます!今の所無事なようです」
・・・
すっかり異世界刑事と化したカオスファミリーはあの手この手を検討する、
具体的には狙撃のふりや犯人への説得、野次馬の整理など完全にのめり込む、
だがカルディナ達は事務所で籠ったまま投降しようとはしなかった・・
「もう・・あの人を呼ぶしか無いわね・・」
アクワリオ警部は切り札を呼ぶ、その人物とは・・
!!!!!
「カルディナ!キャサリン何してるのよ!さっさと出てらっしゃい!!!」
「あ・・アリスィ様??」
猛烈に怒っているのは卿魔族のアリスィ、彼女らの上司で卿魔族王の娘だ!
「私達は誇り高き卿魔族なのよ!その誇りを汚す行為は決して許しません!
今すぐに出てきなさい!これ以上拒むようなら裏切り者として処罰します、
勿論姉のマーリットも同罪です!それが嫌ならすぐに出てらっしゃい!!!」
・・・
「はい・・わかりました・・!!」
カルディナとキャサリンは止むなく猫達を解放し事務所を出て投降してきた、
なぜかアリスィは2人とマーリットをパトカーに乗せその場を立ち去る、
やっと解放された猫達、俺に・・ではなくエナ達に抱きついていた。
翌日・・
カルディナ達の裁判が開かれた、この事件は前日スマホニュースで放送、
それを見た各種族は裁判の行方を見守る、そうして裁判は開かれた!!
なぜかエニウェアのカラミティが裁判官の姿、彼は壇上でこう訴えてきた!
「この裁判を見ている各種族に告ぐ!この2人は有罪か無罪か?
今すぐスマホでそれを判決して送信して欲しい、出来ればその理由もだ!」
ピッ!
ピピピピ・・
ピピピピピピピピピピピピピ!!!!!!!!!
瞬く間に100万を超える着信が入ってきた、無罪を祈るマーリット達、
第7艦隊の乗組員がそれを集計、艦が整備中で暇だったから裁判のお手伝い、
そうして集計完了、猫とはいえ俺のお供を攫った誘拐事件だから重罪・・
「判決!カルディナとキャサリンは軽罪につき座禅3時間の刑に処す!」
なんでやねん!
仮にも誘拐事件だぞ!俺達の異世界なら間違いなく重罪の案件だ!
なんでそんな事件を起こした彼女達が軽罪なんだ?おかしいだろ?
するとカラミティがその理由をモニターに出させ俺達に見せた。
それによると・・
「実は・・私も前々からあの猫達は美味しそうだと思っていました」
「よかった~私だけがあの猫攫おうとしたわけじゃないのね~」
「彼女達に罪は無いわ!この世は弱肉供食!肥えた猫は餌と同じだわ!」
「あんな丸々とした猫を見て狩猟本能を抑えろという方が無理があるわ!」
「元々の原因は猫達に暴飲暴食を許したコウさんに責任があります!」
「まだまだ食に困っている種族が多いのにその猫達は・・自業自得だわ!」
・・・
各種族からのメール返送のほぼ全部が・・猫と俺に非があると訴えてきた、
弱肉供食のこの異世界、今でこそ養殖や開拓等で食は豊かになったが・・
それでも食べ物飲み物は特に大事に扱い適量を食べるべきなのに・・
・・・
過剰に食べまくり肥えまくっているのは何事かと!!!!!
さらにそれを許している俺に根本的問題があると・・
・・・
俺と猫達は黙り込む、豊かになり忘れていたがこの異世界は食料が乏しい、
例えばスノードラゴンがその例、飢えに耐えられず親が子を見捨てた、
その後皮肉にも自分達が襲われ仲間のほとんどが全滅したことを・・
・・・
そのような体験談を山ほど聞いているのに・・
・・・
暴飲暴食をしていた猫達、俺もそれを許したので猫達は丸々と肥えていた、
飢餓を知っているカルディナとキャサリンが野生本能を抑えきれないのは当然、
なので2人が罪を受けるのは筋違いだと各種族は怒りながら返信してきた。
・・・
俺も猫達も・・何も言えなかった。
その後2人は3時間の座禅、俺のお供を勝手に攫ったのは問題ではある、
なので座禅で反省させる、2人は寺で慣れない座禅でしばらく苦しんでいた、
その後は無罪放免、なぜかレイナが2人に向けてこう言い放つ!
「もう・・戻ってくるんじゃ無いわよ・・」
「お・・お世話になりました・・」
2人は頷き・・まるで刑務所出所のような雰囲気で2人は外に出される、
その後なぜか2人は何かを思い出し走りある場所に一直線に向かっていった、
そこは歴史関連の部署、担当者が今回の経緯を歴史書に書き加えていた。
それを見た2人は・・急ぎ歴史官に質問してきた!
「あ~~あの~今回の事も書くのですか?」
「それは当然です!歴史書は正確に記載しておかねば意味がありません」
「それなんですが・・私達のように猫攫いは今迄いたのですか?」
「そんなのいませんよ!貴方方が最初です!」
「じゃ私達・・元祖と言うことになるのですか?」
「ある意味そうともいえるわね」
「じゃすみませんが私達2人を元祖猫攫いとして記載いただけませんか?」
「べつにいいけど・・なんでこんなのに拘るの?」
「私達今迄目立つことしたことないんです、全部姉さんがしていたから・・
でも今回は私達の・・初めてのことなので元祖を名乗りたいんです!!」
「それってもしかして自分達が元祖・・発祥として名を残したいから?」
「そういうことで~~~~~~す!!」
・・・
歴史担当者は猛烈に呆れながらも・・2人が望むように記載していった、
以降カルディナとキャサリンは・・
・・・
元祖猫攫いの称号?を手に入れ・・
・・・
俺達の異世界歴史に名を残すのであった!