アリスィの冷静な判断と投降してきた海賊達
卿魔族達はカオスの説明を静かに聞いていた、そして20分ほど経過する、
大体の経緯を聞いた卿魔族達は静かに頷き・・そして尋ねてきた。
「経緯は大体理解した、それが本当なら我らは故郷に戻れるようだな」
「ああ転送の鏡と空間封印の鍵が見つかれば可能だ、俺達はそれを探している」
「それは・・マーリット達を無理矢理召喚させた償いなのか?」
「当然それもある、が・・俺達には別の意図もある」
「ほう・・意図とは?」
「先程話したように破壊神の最上位はまだ健在だ、なので油断は出来ない、
頼れる仲間は一人でも多い方がいい、そのため俺達は共存できる仲間、
これらと同盟を組み来るべき時に備えて日々動いている」
「確かにその考えは理解できる、我々もその考えには同意する、しかし・・」
「何か条件でも?」
「ああマーリット達と互角に戦える貴殿達は魅力的ではある、だが・・
我々は先に貴殿達と戦っている海賊に恩がある、なので今は敵の立場だ、
だがまともに戦うとお互い只では済まないだろう、なので条件がある」
「その条件を・・詳しく聞かせてくれないか?」
「ああ貴殿達が海賊達と和解し同盟関係を築けるなら我々は戦う理由が無い、
なので3日以内に海賊と和解してもらえれば我らも貴殿達と共に歩もうと思う、
だが3日以内に和解が出来ないのであれば我々は海賊に味方する」
「なるほど・・いいだろう、3日のうちに和解すればいいのだな」
「そういうことだ、だが出来るのか?」
「そういう流れならちょっと待って!今確認するわ!」
レイナはスマホを取り出し旗艦モンタナに連絡、目を丸くする卿魔族達、
アリスィはマーリットを呼びあれはなんだと質問を繰り返す、すると・・
マーリットは自分のスマホを取り出し妹たちに電話しアリスィに渡した。
「もしもし・・カルディナです!アリスィ様お久しぶりです」
「カルディナ?あなた今どこにいるの?」
「私とキャサリンはルーム国という異世界の王国で遊んでいます」
「遊んでいる?貴方たち私の部隊では冷酷で厳しい上官だったはずよ?
ほとんど笑わずに皆を避けてたでしょ?それが遊んでいるというの?」
「ええたしかに故郷ではそうでした、でもそれはここに来て吹っ飛びました、
今はこの異世界は楽しくて楽しくて仕方ありません」
・・・
どうやらマーリット達は故郷では相当冷酷な存在だったらしい、だが・・
この異世界に来てそれが吹っ飛び・・マーリットはそれを隠したかった、
今の自分は前とは違うと俺達に伝えたかったのかもしれない・・
・・・
アリスィはカルディナと一通り話して電話を切る、彼女はとても驚いていた、
決して自分達に心を開かなかった3人が・・まるで別人のように明るい、
このことからアリスィは俺達が特殊な力に加え独特な魅力があると考え・・
・・・
これは無闇に俺達に戦いを挑むべきではないと判断し仲間の3人を呼ぶ。
「す・・少し身内だけで話がしたいの・・ま・・待っててくれる?」
「それは構わないが・・どのぐらい待てばいいんだ?」
「そ・・そうね、2時間ほど待ってくれる?マーリットとも話したいの」
「ああわかった、その間俺達は適当に待たせてもらう」
「わかったわ」
アリスィは他の3人とマーリットと共に小屋に入り何やら話を始める、
それを見たレイナは収納魔法を展開し10畳ぐらいの簡易プレハブを展開、
その中でカオス達は旗艦モンタナと連絡を取り合い現状の様子を連絡し合う。
2時間後・・
!!!!!!!!!
アリスィ達は小屋を出て・・プレハブに驚いていた。
「な・・・なにこれ?こんなのあった?」
驚くアリスィにマーリットは笑いながら説明を始める。
「これは彼らの非常用住居です、冷暖房完備でとても快適なのですよ」
「は?この中温度調節が出来るというの?」
「ええお入りください」
マーリットはノックをして中に入る、中ではカオス達が座って待っていた、
中は対面式のテーブルと椅子、冷蔵庫やエアコンなどが備わっている、
レイナは卿魔族を対面に座らせ冷蔵庫からケーキとサイダーを出してきた。
「お口に合うかわかりませんが・・」
「わぁ~~ありがとうございます」
????
ケーキを知ってるマーリット以外はキョトン、何だこれはの目だった、
カオス達は・・本当はワインが飲みたかったが戦闘に備え我慢していた、
そしてカオス達はケーキを味わう、マーリットも上品に食べていた。
「うん美味いな!」
「でしょ?このケーキ限定品だから苦労したのよ!」
「ほんと美味しいです~!!!」
・・・
卿魔族達は・・・
同胞のマーリットが喜んで食べているから問題ないだろうと考えたらしい、
見よう見まねでケーキを食べ・・マーリットが注意点を簡単に伝える、
サイダーに関しては以前レイが吹き出した事があるので教訓となっていた。
そうして・・・
・・・
!!!
「あ・・甘い!甘すぎるわーーーー!!」
「お気に召したようですね、よかったです~~!!!!」
喜ぶマーリットを尻目にケーキとサイダーを夢中で食べる卿魔族達、
あっという間に無くなったので・・なぜかレイナはラーメンを用意、
小腹がすいてるだろうかと用意、以降は想像通りとなる。
「美味しかったわ~~」
「ご満足いただけ何よりです、では次はこちらをご覧ください」
・・・
!!!!!!
カオスがモンタナからの動画を卿魔族に見せる、既に部下は全員捕えた、
逃げた幹部達の画像もあり隠れ家の位置も既に把握してあった、なので・・
既に自分達の情報が筒抜けだと知ったアリスィ達は焦りを隠せない・・
「つ・・次はこの隠れ家を攻撃するのですか?」
「そのつもりはありません、まあ攻撃されたら反撃はしますが・・」
「あ・・アジトはどうしたのですか?」
「それに関してはこちらをご覧ください」
カオスは画面を切り替えアジトを移す、女子供達は特に変化はなし、
各地に仕掛けてあった監視カメラなどがアジトのあちこちを写す、
ほとんどが海賊の男達がまだ帰ってこないので心配そうな顔をしていた。
・・・
これを見ていたアリスィ達は・・
・・・
自分達の行動は・・彼らの技術と情報力の前にはほぼ無力だと悟り・・
・・・
戦っても惨敗するだけだと考えアリスィは恩を受けた海賊の保護、
これに気持ちを切り替えカオス達に尋ねる。
「あ・・貴方たちの強さはわかりました、そこでお願いがあります」
「何でしょうか?」
「お・・恩を受けた海賊達の保護をお願いしたいのです」
「それは貴方方次第です、我々は戦いを望みませんが攻撃されたら・・」
「な・・なら私達が海賊達を説得します、それならいいでしょうか?」
「そうしてもらえると助かります、お願い出来ますか?」
「わ・・わかりました」
こうしてアリスィ達は海賊幹部の隠れ家に急ぎ向かい現状を訴えた、
自分達でも歯がたたない相手に牙を向けるべきでは無いと説得した、
海賊達も瞬く間に部下が全員捕えられた現状を無視できなかった。
なので・・
「あ・・貴方方がそう言うなら・・従いましょう」
「それが最善だと思います・・・」
こうして海賊幹部達は投降、俺達は事情を話し部下と海賊船を返した、
極刑を覚悟していた海賊達は大喜びでアジトに戻り家族と再会を果たす、
海賊幹部はその後アヌビス達とも話し謝罪、アヌビス達も受け入れた。
そのころ・・・
単独アヌビス達の拠点に向かう武蔵、もう少しで拠点の所まで来た、
既に連絡は行ってるはず・・次の瞬間アヌビス達の部下が襲いかかる、
何人かの重傷の獣妖族達が人質に取られ・・リーダー格がこう訴える!
「今からこの船は俺達の管轄下に置く!抵抗するものは殺す!」
・・・
どうやらこの一味は隣の星のスパイのようだ、それらに占拠された武蔵、
艦長エリーナは武器を捨て投降、牢に入れられ黙り込んでいる。
「よし!このまま隣の星に向かうんだ!!!」
武蔵は方向を変え隣の星に進路を変える、してやったりのスパイ達、
だが・・・
・・・
彼らは知らなかった・・・
・・・
後にこの行動が・・・
・・・
自分達の星の存亡に関わることを・・・
・・・
武蔵乗組員達は・・・
・・・
目を光らせ・・その時を待っていた。