獣妖族達の根回しの準備と繋がった転送の鏡
ヘイゾウおにいさまに海底種族からの特殊素材取引を完全遮断された俺、
俺としてはこれらの素材で新たな趣味の品を創ろうと意気込んでいたが・・
アズミの妨害により以降の取引は消滅、俺はものすごく落ち込んでいた。
だが今までの特殊素材は難を逃れた、なのである程度は創る事は出来る。
尚海底種族達は特に気にしていないようで以降ヘイゾウお兄さま達と貿易、
取引額は変わらないのと俺の祖父との繋がりは今後に有益と判断していた、
それは大多数の軍艦、これらを総括している祖父との繋がりは大歓迎だった。
なので俺はお払い箱、だがテティス達とはそのままで婚姻関係は継続、
そのテティス達は早々に妊娠、8人全員が営み後2日以内に子を授かった、
こちらも妊娠が発覚するとさっさと俺から離れて子育てに専念していた。
ちなみにレイミやサーラ達はすでに出産してはいるが全然俺に会いに来ない、
自分の子供が愛しくて愛しくて子育てに熱中なのと他の子の介護も関わる、
なので俺の存在は完全に忘れ日々笑顔で充実した日々を過ごしていた。
・・・
もう少し俺を大切にしてほしい・・
・・・
悲しいがこれらはさておき・・
ヘイゾウおにいさまを怒らせたと思い込んだ獣妖族達が俺に面会に来た、
卿魔族程積極的では無いにしても獣妖族達も俺達との繋がりは継続したい、
だが今のまままでは自分達が帰った後繋がりは遮断されると思い込んでいた。
それを危惧した獣妖族達、その本心は卿魔族から聞いた破壊神などの存在、
今は平和だが突然それらが侵略に来た場合自分達だけで押さえるのは難しい、
さらに同じレベルのカウノス達が侵略されたと聞き内心穏やかではなかった。
獣妖族達の代表・・俺は彼にアヌビスと名付けた。
そのアヌビスは俺に尋ねる、本当に自分達と関わりを断つ気なのですか?と・・
俺は彼らから詳細を聞いた後昔聞いた祖父の話を思い出した、おそらく・・
祖父はこの体験を痛感していて獣妖族達に警告として告げたのだと感じた。
「おそらく祖父は貴方方を思って警告したのだと思いますよ」
「そ・・それはどういうことでしょうか?」
「昔祖父から聞いた話ですが・・ある先住民族の地域を攻めた時の事です、
そこでは自分達に服従する者と反抗する者が対立し内乱が起こりました、
その後日本軍は連合軍に押され撤収、その地域は悲惨な末路を辿りました」
続けて・・
「自分達としてはその地域は通過点に過ぎず征服する気は無かったそうです、
ですが戦闘の最中ですから現場は混乱、その結果多数の死傷者が出たそうです、
なので祖父はその苦い経験を痛感し貴方方に警告したのだと思いますよ」
「そ・・それは我らにもあり得ると?」
「ええ・・私たちがあえて軍事力を公表しているのはそのためです、
この異世界は単純に強さを示さなければ敵意を向ける種族が大半です、
強さこそ正義と捉える種族には力を示さないと我々を認めませんから・・」
「そ・・そうですね・・それは我々も感じています」
「ただ貴方方はそれらとは異なり先程の例に似ています、言い換えると・・
服従する事で安心を得たい者と敵意を向ける者と2つの考えが出てきます、
祖父はそれを察知して警戒しただけだと思いますよ」
「ど・・どうして我らがそう考えると察知されたのですか?」
「まず服従という言葉ですね、これは貴方方の不安そのものの言葉です、
様々な種族と出会いましたが大半は我らを知り使いこなすことを考えました、
それは我らを認め・・そして自分達の益になると単純に考えているからです」
続いて・・
「そのため服従という種族を押さえ込む言葉はほとんど聞きませんでした、
あくまで我々は対等、互いの短所を補う考えなので主従の考えはありません、
まあ組織に関しては立場上階級はありますけど根本は対等での共存です」
「わ・・我らは確かに対等の考えは薄いです、あまりにも力が違いすぎます、
我らの故郷は温暖な考えの者が多く・・この力を見ると猛烈に怯えるでしょう、
なので思わず征服されるのかと考え思わず口から出てしまい・・」
「それを祖父は危惧したのだと思いますよ、なので根回しを進言します」
「ね・・根回しですか?」
「ええ今のままだと・・仮に戻れても我らは貴殿達の星では動けません、
問題が起こるのがわかっているから艦隊は動けません、なので・・
貴殿達の種族の重鎮達に我らの情報を伝えていただきたいのです」
そうして・・
「貴殿達の仲間がある程度我らを知ればトラブルは避けられるでしょう、
それまでは我々は静観しますので貴方達は各地に出向き説明してください、
そうして動けると判断したら我らは行動して転送の鏡を探します」
「おおそれはありがたい、ぜひお願いします」
アヌビス達は安心したのか皆笑顔でアシュラの待つ裏世界に戻っていく、
そして今後を相談、地図を作成し各地の重鎮に向かう準備を整えている、
様々な質問が出ると想定しあらゆる資料を揃え準備に追われていた。
そのころ・・
カウノス達の星で転送の鏡を捜索するハヤテ達、だが一向に手応えが無い、
なので捜索範囲を拡大、星の裏側まで捜索範囲を広げ更に増援を送った、
すると3日後ヒミコとミユキが星の反対側である大きな岩を発見した。
そこはカウノス達の城のちょうど真反対、こんな所にあったのか・・
安堵の表情を浮かべ転送の鏡を運ぶヒミコ達、とてもうれしそうな顔だ、
何でも賞金で買いたいものがたくさんあるらしい。
「うふふ・・これであのお店まるごと買えるわね」
「ええうふふ・・あのスーパーには欲しいものがあるからね・・」
・・・
どうやらヒミコ達は地方にある小さな個人スーパーを丸ごと買う気でいた、
このスーパーは規模は小さいがここで作るパンや惣菜等が絶品だった、
だが近隣にライバル店が次々と出来て客が流れ経営危機に陥っていた。
そこでヒミコ達は・・
この店舗を賞金で買い取り自分達の食堂を兼ねた店にしようと考える、
そうすれば毎日好きな食事を作れ欲しい服などは卸価格で買えるからだ、
大衆に向けてでは無く自分達と同胞専用の店舗として買い取るらしい。
後日ヒミコ達は賞金でその店を買い取り自分達の専用店舗と改造していく、
身内だけで囲って店を運用しているので儲けは僅かだが倒産はほぼ無い、
そうしてヒミコ達は食堂のような感じでこの店の惣菜を食べ楽しんでいた。
・・・
まあ自分達で働いて得た賞金だから別に問題はないけどね・・
これはさておき・・
なんとか転送の鏡2つと空間封印の鍵を用意できた俺達、早速準備、
念のために卿魔族と獣妖族の代表に訪ねどちらを先にするか確認した、
その結果は変わりない、先に獣妖族たちを戻しその後に卿魔族としている。
これを聞き俺達は・・
暁暉城の付近に転送の鏡を設置してここを獣妖族達との出入り口とした、
すでにここには2つの転送の鏡があるが新たに設置場所を整えている、
先で卿魔族との転送の鏡もここに設置して各地への中継点とした。
翌日・・・
用意が出来たので早速転送の鏡を獣妖族達の星とつなぐ準備をした、
尚田所さんに詳細を伝え空間封印の鍵を使う了承はとってはあるが・・
本人が直に見たいというので急ぎ東の大陸から来てもらった。
田所さんは空間封印の鍵を一度握りしめ・・涙を流しながらアヌビスに渡した、
アヌビスは田所さんと抱き合い鍵の使用許可を感謝すると何度も語っていた、
そうして向かい合った転送の鏡の間に立ち・・鍵を間にゆっくり投げた。
すると・・・
バリーーーーーーーーーン!!!!!!
空間封印の鍵が粉々に砕け・・
ギュユイーーーーーーーーーンン!!
何かをねじ曲げたような音が辺りに響き次の瞬間対面の転送の鏡が消える、
するともう一つの転送の鏡が光り出した、どうやらつながったみたいだ、
しばらくしたら光は徐々に小さくなり・・そして消えた。
「これで獣妖族との星につながりました、いつでも移動出来ますよ!」
空間封印の鍵を使ったことがあるマーリットが断言し転送の鏡が起動、
するとアヌビス達が様々な荷物を持ち抱え・・転送の鏡に入っていく、
俺達に手を挙げ挨拶をしたあと彼らは転送の鏡の中に消えていった。
尚俺達は・・
アヌビス達の報告が来るまで・・
付近のホテルや軍艦等で待機し・・
・・・
いつでも入れるように準備を整えていた。




