信濃を操るドラゴン!サユミの驚異の戦闘能力
南の大陸から飛んできたブラックキマイラが何故か止まる、
予備の人工衛星を急ぎ動かしキマイラ達を上空から撮影する、
その中心には・・一匹のエニウェアドラゴンがいた。
おそらく俺達が南の大陸を攻めた時に射程距離を把握したようだ、
ギリギリ射程外に魔物を待機させこちらの動きを見計っている、
指揮するエニウェアはかなり用心深い奴のようだ。
「信濃全速前進!前に出てブラックキマイラ達を駆逐します」
この言葉を聞いた俺は心底驚いた。
サユミが指示を出すと信濃だけ動きだし艦隊の前に出て行った、
航空母艦は構造上真上からの攻撃に脆いので前に出ることはない、
だが信濃はそんなことお構いなしとばかりに単独前に出る。
「各艦隊は敵が射程圏内に入ったら攻撃してください」
サユミがそう連絡した後・・なぜか仮面を顔にかぶった。
「少し暴れます、集中したいので静観でお願いします」
彼女は仮面舞踏会に出てくる悪人の仮面のようなものをかぶる、
前を向いた彼女から無数の細い光の棒が放たれ各部に送られる、
信濃はどんどん前に進み魔物たちの真下まで移動した。
「なめやがって!お前たち総攻撃だ!」
指揮するエニウェアドラゴンがキマイラ達に命令を出す、
キマイラ達は信濃に向かって魔法と炎のブレスで攻撃する。
「反射」
信濃の甲板から青白い光が輝き炎のブレスを全部消し去った、
よく見ると甲板には無数のLED球のような小さな光源がある、
それらがサユミと連動して氷の盾と魔法の盾を造っている。
氷の盾は炎を消し去り魔法は反射されてキマイラに戻る、
さすがに自分の魔法でやられるような魔物ではないらしい、
だが自分の魔法を弾いたキマイラが次々と海に落ちていく。
俺が疑問に思っていると・・
甲板には巡航ミサイル・・いや真上に向けてガトリング砲が出ていた、
だが弾丸やミサイルを撃った形跡はない、一体何を発射したんだ?
疑問に思っている俺に木人形が念話で答えてくれた。
「あれですよ!」
ガトリング砲の先からかすかに見える・・あれは槍なのか?
いや違う、槍にしては細すぎるし30センチ程度の長さだ・・
まるでハリネズミの針のような透明で細い棒のようなもの・・
「特殊ガラスの棘弾です、あれを無数に撃ったのですよ」
元々は見えない弾として敵を錯乱させるために開発したらしい、
だがスノードラゴンのサユミはこれを自在に操ることが出来た、
氷を操る感覚で棘弾を操作して信濃の主力兵器の一つとした。
魔法を反射した際それに合わせて棘弾を発射したらしい、
魔法に気を取られたキマイラの急所に棘弾は刺さっていた、
ほぼ透明なのでキマイラ達は気づかず絶命し海に落ちていく。
100体以上のキマイラが一瞬で落とされたエニウェアは驚く、
他のキマイラも恐怖を感じ信濃から離れようとする。
「サユミちゃん!わしらの出番まだかいの?」
艦長室に木人形の声が響く、おそらく戦闘機のパイロットだろう。
「あらごめんなさい、各自状況に応じて戦闘開始してください」
「おう!愛してるよ!」
「私もですよ!だから無理しないでくださいね!」
「ガハハハハ!!任せておけ!」
いつの間にかキマイラ達の後ろに信濃の戦闘機隊が出現した、
戦闘機隊はすぐさま攻撃を開始してキマイラ達の退路を塞ぐ、
下からは信濃の対空砲火が始まりキマイラはパニックになる。
闇雲に逃げるキマイラ・・
だが奴らが逃げた先には俺達の艦隊が待ち構えている。
「各艦対空砲火開始!」
各艦の対空砲火が始まった、さらに戦闘機がキマイラを襲う、
それに続きガルーダ・グリフォン・ワイバーンが魔法攻撃、
次々と堕ちていくキマイラを見てエニウェアは後退・・・
「逃がしませんよ!」
信濃の甲板から巡航ミサイルが次々と放たれエニウェアを襲う、
エニウェアはブレスでミサイルを落とすが体中に棘弾が刺さる、
速く正確無比の攻撃に俺もエニウェアもただ驚くだけだった。
「いつの間に??」
無数の棘弾がエニウェアに刺さり瀕死の状態になる。
無数の棘弾はまるで生きてるようにエニウェアを攻撃している、
一本一本がサユミの制御で角度を変え相手の急所を狙っていた、
あれだけの棘弾を意のままに操るサユミにエニウェアが呟く。
「お前・・ドラゴンだな?でなければこんな攻撃できるわけない」
「あら気づきました?同族のよしみで見逃しましょうか?」
「ふざけるな・・・・小娘が~~~~!!」
エニウェアは最後の力を振り絞り渾身のブレスを信濃に放つ!
「 氷の盾・絶対零度!」
信濃の前左右・後左右にある避雷針の様なものが輝き光を放つ、
それが中心で結ばれ甲板上にピラミッドのような光が出来る、
さらに甲板が輝きその上で巨大な氷の壁が出現し信濃を守る。
キィーン!
ブレスと氷の壁が激突した!
ブレスは氷の壁を溶かそうとするが・・逆にブレスが凍る、
次の瞬間エニウェアドラゴンの頭には無数の棘弾が刺さっていた、
絶命したエニウェアドラゴンが落ち・・仲間が来て魔法で包む。
「次の相手はあなた達ですか?」
エニウェアドラゴンは複数いたが・・怯んで死んだ仲間を連れ逃げる、
どうやらエニウェアにも階級はあるみたいであれらは雑魚のようだ、
おそらく今回倒したのは中級クラスというところか・・
「お察しの通りです、倒したのは中級で大したことはありません」
サユミがこちらを向きそう話す、その後戦闘機隊が帰ってきた、
信濃は着艦態勢の戦闘機を受け入れるため甲板の武装解除をする、
綺麗な流れで次から次へと戦闘機が着艦、全機帰艦したようだ。
空を見るとキマイラの姿が全くない、全部叩き落としたらしい、
各艦からも被害なしと連絡が入る、見事な完全勝利で戦いは終わった、
信濃は戦闘機を収納した後巡航体制に入り僚艦たちの元に帰る。
サユミが仮面を外して俺に一礼した後急ぎ甲板に走っていく、
甲板では戦闘機パイロット木人形たちがサユミを迎えている、
サユミは笑顔で木人形たちとハイタッチしていた。
俺も甲板に降りて皆と一緒に勝利の余韻を味わっていた。
それにしても・・
信濃はまだ全力を出していないと木人形から聞いた、すごい力だ、
これなら他の4隻も期待できそうだ、格上のエニウェアも倒せるだろう、
不安な心がかなり払拭され俺は・・希望が見えた気がした。
本来はここで今回の話は終わるんだが・・
なぜかこのあと小芝居があった。
信濃の甲板上にどっかの映画で聞いたラブソングが流れる、
その曲に合わせて俺とサユミが木人形達に背中を押され前に出る、
約50mの距離で俺達は向かい合い・・恋人のように見つめあう。
これは・・彼女を抱きしめるチャンス!
サユミもまんざらではないようで頬を赤めて俺を見つめる、
これはキスも期待できそうだ、俺のワクワクが止まらない、
次の瞬間木人形たちが強く背中を押して俺達は走り出す。
「サユミ~~~!」
「コウさ~~~~ん!
俺達は見つめ合いながら距離を縮め抱き合う姿勢に入る!
あと少しで・・・
その瞬間!
俺の横からソニアが思いっきりタックルを仕掛け俺を押し倒す、
サユミの前にはショウが転移魔法で割り込み彼女を抱きしめる。
「ダメ!私が先!」
ソニアが俺を抱きしめ嫉妬の眼を向ける。
「兄さん!邪魔をしないで!」
「サユミ!愛してるよ!」
ショウはサユミを抱きしめ唇にキスをしようとするが・・
どこから出したのかサユミが巨大な洗面器でショウを叩き倒す、
ショウはそのまま洗面器の下で笑いながら気を失っていた。
「はぁ・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
予期せぬ割り込みに思いっきり落ち込む俺とサユミだった。
ちなみにこの小芝居は木人形たちが各艦に生中継していた。
ドキドキしながら見ていたクリスティーナの横で・・・
大きなため息をつき呆れるエリーナだった。
下にある ☆☆☆☆☆ から作品への応援お願いいたします。
ブックマークも頂けると励みになり本当にうれしいです。
何とぞ宜しくお願いいたします。