卿魔族の懐事情と他の2つの転送の鏡
戦艦三笠を丸ごと奪われた俺達は意気消沈、特に親衛隊が超落ち込み、
直接ではないにしても自分達が関わった事は事実なので涙が止まらない、
苦しむ子供達を思い浮かべるだけで・・罪悪感が拭えなかった。
・・・
俺とお供達は彼らを慰める、もう過ぎた事だから今後やり直せばいい、
既に彼らは本来の身は滅ぼされ罰は受けていると俺達は語り慰めていた、
なんか事業に失敗した経営者を癒す感じだがそれしか思いつかなかった。
しばらくして彼らは落ちつき・・
「ええ頑張ります!新しいこの身体で心機一転頑張ります!」
お~~~パチパチパチ!!!
なんとか復活した親衛隊の面々!前を向き皆の為に尽すと誓っていた。
これは一旦さておき・・
卿魔族のマーレット達は馨響・威凛・白銀・海底種族達と次々と挨拶、
その後はルーム国に戻りルーム王やその重鎮、西の大陸のカオス達、
東の大陸のアトラス達、天使族、ギルド、エニウェアとも挨拶を交わす。
さらにギルドやデーモン、フェニックスや人間世界、カウノス達、
まるで外交官のように次々と挨拶を交わし今後の交流を確認し合っていた、
ここで疑問が湧き出る俺、どうして彼女達はこんな行動をするのだろう?
するとマーレットが帰ってきた、ただカルディナとキャサリンはいない。
「妹達にはその他の種族にも挨拶するよう命じておきました」
「そうなのか?」
「ええ今後の事も考え私達も同盟種族は多い方がいいのです」
「その辺がよくわからないのだが・・・」
「そう思いまして私だけ説明に戻ってきたのです」
「他の面々も呼んだ方がいいのか?」
「ええぜひお願いします」
俺は妻のエリーナ達や子供達、神族も呼び会議室を急ぎ用意した、
そして各地への中継の準備、皆は作業をいったん止め画面に集中、
用意が出来た後マーレットは壇上に立ち自分達の状況を語り出す。
「みなさまはじめまして!私は卿魔族という悪魔系の最上種族です、
私達の星は悪魔・・と言いましても見た目は人間とそう変わりません、
ただ強力な魔力と戦闘能力を兼ね備え例えると聖級クラスが多いです」
つづけて・・
「我らの星は破壊神との戦いが多くそのため食糧事情は厳しいです、
頻繁に破壊神の配下が攻めてくるので我らもその星へ攻撃を仕掛けます、
なのでこの異世界のように長期的な農業等が行えないのです」
「そのためどうしても手っ取り早く手に入る食べ物を求めがちです、
ですがこの星の食料を頂き・・この味の虜となってしまいました、
そのため我らとしては貴殿達との同盟を是非とも望んでいます」
なるほどな・・
マーレットの星も食料事情は相当厳しいようだ、まあ気持ちはわかる、
暫く彼女達と接していたが猛烈に食べるし米一粒も残そうとはしない、
あれだけ殺気を放っていた妹も食べた後は満面の笑顔だったからな・・
さらに・・
「普段私達は単独を好み繁殖以外はあまり他と接しません、ただ・・
私達3姉妹は複数の破壊神の部下と交戦が多く一緒に過ごしてきました、
そんな矢先突然召喚されこの異世界に来たと言う訳です」
それと・・
「突然の召喚だったので用心の為に貴方方を避けて逃げていました、
ですが先般コウさんとの交戦で貴方方の心を知り交流を求めました、
以降はお挨拶の通りです、我らもぜひ貴方方と共存を求めます」
ここでマーリットは俺にウインク、もうこれは質問しろとの合図、
ルアが質問したがっていたがマーリットは静かに首を振り拒否してきた、
なので俺が代表して質問、おそらくこれは俺への配慮のようだ。
「えっと・・まずマーリットさん達は卿魔族の星に戻りたいのですか?」
「出来れば戻りたいです、親しい仲間がたくさんいるからです、それと・・
最近あまりにも破壊神との交戦が多く単独行動が難しくなっています、
そのため集団行動が多くなり出来れば食料と武器を持ち帰りたいのです」
「では次の質問、昔から卿魔族と破壊神との交戦は多かったのですか?」
「昔はそうでもなかったのですが・・ここ2~3年頻繁に攻めてきます、
ただ感じとしては・・破壊神はかなり焦っているような気がします」
「思い当たることはありますか?」
「貴方方の資料を見させて頂きましたが・・時期的に近いようですね、
あくまで私の想像ですが・・破壊神は貴方方と戦い戦力を大幅に減らした、
その埋め合わせのために我らを巻き込もうと考えている気がします」
・・・
今の話がもし事実だとしたら・・
・・・
俺達が破壊神に与えた損害はかなり大きかったのかもしれない、
そのためなりふり構わず各地を攻め戦力を整えようとしている、
そして再び俺達の星に攻め滅ぼそうと考えてる・・
「私もそう思います、なので我らに目をつけていると思います」
破壊神にも怯まない卿魔族を頻繁に攻め入る破壊神・・
そこまでしてでも戦力を求め再び俺達に攻める気でいたら・・
・・・
目線を変えれば。。
・・・
戦力を求める破壊神、想像ではあるが相当焦っていると考えられる、
もし俺達と卿魔族が同盟を組み共に戦えば破壊神を滅ぼせるかもしれない、
マーリット達がわざわざ挨拶周りしているのはこの考えなのか・・?
「ご想像の通りです、我らも破壊神は超鬱陶しい存在でしかありません、
我らと互角・・いえそれ以上の戦力を持つ貴方方と同盟を組めば・・
我らも蟠りを吹き飛ばせるチャンス、なので同盟を求める次第です」
ある意味利害が一致しているというわけか・・
ここで一旦休憩、皆の反応は・・
・・・
卿魔族との同盟は問題ない、マーリット達は誠実に対応している、
だが何か引っかかるようで・・他の卿魔族が同じ考えとは限らない、
なので皆は仮同盟でこの場は凌いだ方がいいと考える者が大半だ。
それと・・
肝心の卿魔族の星に行く術がない、転送の鏡は既に使い果たしている、
どの方向にあるのかさえわからないので現時点お手上げ状態だ、
この辺を俺はマーリットに質問、だが彼女は笑いながら語る。
「転送の鏡の事なら問題ありません、既に目途は付けていますから」
「そ・・それはどういうことだ?」
「転送の鏡はその世界につき一つだけ、ほとんどは既に使われています、
ですが馨響・威凛の星とカウノスさんの星にその気配を感じています、
この2つを用意できれば私達は卿魔族の星に戻れるのです」
「そ・・そうなのか?」
「ええ、以前空間封印の鍵を見た時それを確信しました、なので・・
決闘後それぞれの転送の鏡を用意して繋げれば交流も可能となります、
私達にしても大チャンス、是非とも実現したいのです」
「気持ちはわかった、なら決闘は要らないんじゃないか?」
「私達3姉妹はそうですが・・他は貴方方の実力を知りません、
最低でも私達と互角に渡り合えなければそっぽを向くでしょう、
なので力を試す必要があるのです、お安心を、殺すことは致しません」
「ちょっと待って!それなら対戦相手の変更を要求するわ!」
この言葉を聞いたエリーナ達は対戦相手の変更を要求した、
理由は子供達を戦わせたくない事、それと一対一を望んでいた、
子供とはいえさすがに2対1では不公平と感じたのだろう・・
それを聞いたマーリットは・・
「それは構いませんよ、私達は元破壊神とコウさん以外OKです」
エリーナ達は頷く、急ぎ候補者を集め対戦相手を決めるそうだ、
即座にルーム国のサッカースタジアムを臨時の決闘会場にしていく、
決闘は明日の10時に決めそれぞれ3人ずつの個人戦と決まった。
翌日・・・
マーリット達と戦う俺達3人の代表が決まった!
まず天使族のソネット、彼女はキャサリンと戦う!
次に威凛族のバイオレット、彼女はカルディナと戦う。
そしてマーリットの対戦相手は・・
・・・
なぜか俺の最初の妻エリーナと決まっていた。