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ミイラのような国王のかすかな希望



俺たちはエリーナの家から馬車に乗り王宮に向かう・・

馬車が走れる道は複数あるが人の姿は全然無かった。




「あれがルーム王国城で・・・す」




クリスティーナが何やら言葉を詰まらせる・・




「あれ?王国城に向かうんだろ?この道だと裏手に行くぞ?」




「今あの城には・・誰もいないのよ」




エリーナが悔しそうに唇を噛む。




ここから見る限り立派な城だが・・




!!!




裏手にまわると城が削り取られたように半分崩壊していた。




「あの城は・・ガルーダたちにやられたのです」




アレクサンドが無念そうに語る。




「ご覧の通り我が城は壊滅していますが・・幸い国王たちは無事です、

これからお連れするのはある鍾乳洞、そこであなたたちをお持ちしてます」




「そういえば?俺たち軍人を召喚した理由を聞いてないな」




「それは国王からお話しします」




俺たちは巨大な鍾乳洞の中に案内された。




とても大きな鍾乳洞だ、街が丸ごと入っている、いや・・

鍾乳洞の中に街を造ったというのが正解かな?




街の中を進むとひときわ大きな建物が見えた、

なるほど、ここが今のルーム王国城か・・

俺達は入口あたりの所で馬車を降りた。




「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」




警護兵に案内されて俺たちは国王のいる館に案内された、

王の席らしき椅子に座っている国王、左右に男性が2人いた。




俺たちは驚いた、国王は全身包帯だらけ、まるでミイラだ、

傷を負ってるとは聞いていたが・・予想を超える重傷のようだ、

なんでも治癒魔法でも回復は遅く包帯を外せないらしい。




「よく来てくれました、心より歓迎いたします」




国王が俺たち2人を召喚した経緯を改めて細かく話してくれた。




ルーム王国は魔物たちが住んでいる大陸と繁殖地の通り道にある、

今迄はちょっかい程度で大した被害は無かったが20年ほど前、

突然魔物の総攻撃を受け王城はじめ各地が甚大な被害を受けた。




王国軍も反撃するが上級魔法の攻撃に歯が立たず壊滅寸前、

人々は鍾乳洞に逃れそれ以降は魔物に怯えながら暮らしている。




「他の大陸に支援を頼みたいが海と空は魔物だらけなので動けない、

このままでは国が崩壊してしまうので禁断手法を用いた」




「それが召喚魔法ですか?」




「それもある、が・・それからが禁断手法なのだ」




「説明をお願いします」




「支配魔法のことは聞いてるかね?」




「はい、何かを支配することで強大な力を得られると」




「その通り、我々が考えたのは支配魔法を使い魔物を倒すことだ、

そのためには膨大な軍事力の経験や技術を持つ人間が必要なのだ、

異世界の人間を召喚すればそれが得られるのではないかと」




「それでエリーナたちを召喚したのですか?」




「彼女達には・・申し訳ないことをした」




これを聞いたエリーナが話し出す。




「いきなり召喚されたときは驚いたわ、でもこの国のみんなは親切よ、

幼い私たちをとても大切にしてくれたもの、今はもう恨みは無いわ」




「彼女たちからある歴史を聞いてね、何としても君たちを召喚したかった、

君たちの膨大な軍事技術があれば魔物たちに打ち勝てると確信した、

そのためには・・政治家か軍人を召喚すればその力を得られるかもと・・」




「確かに俺たちは軍人ですけど、そこまでの技術や経験はないですよ、

それに政治家を召喚してもそれだけの技術や経験があるとは思えません」




「膨大な技術や経験を持ってるのは召喚した本人じゃなくていいの、

血族であれば誰でもいいのよ、それと・・」




「それと?何だい?」




「魂の繋がり」




「意味がわからないな」




「簡単に言えば生死を共にした仲間だよ、例えば一緒の船などに乗ってね、

それらの関わりが多ければ多いほどいい、支配魔法は繋がりが肝心なんだ」




「ちょっと待ってくれ、あなた達が興味を示したのはいつの時代なんだ?」




「第2次世界大戦」




俺たちが生まれる前の話だな・・




「この時代は無数の戦場で大勢の人間が戦死したと聞いている、

それらの魂を召喚できれば大きな戦力になると考えたのだよ」




俺たちはエリーナを見る。




「私が学校で習ってたことをそのまま国王たちに教えたのよ、

ただ条件があってね、残念ながら私たちは対象外だったの」




俺たちは嫌な予感がした。

























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