五月雨撃ちモードと海を駆ける謎の魔物達
ヘミニとバイオレットのドッグファイトが続く、15分が経過、
主導権を渡さないヘミニ、変幻自在の攻撃でバイオレットを翻弄、
徐々に追いつめ・・一瞬の隙をついてセイビアーに機銃攻撃!
「うふふ・・もらったわ!」
キィイイイイイーーーーーーン!!
ズシュシュシュ!!!
パンパンパン!!!
「うっ・・やられたわ・・」
バイオレットのセイビアーのエンジン部分にペイント弾が当たる、
この訓練はヘミニと勝ちとなり両機とも母艦に帰り着艦準備。
「ヘミニ機帰還します!」
「ヘミニ機着陸後次の戦闘機を出すぞ!」
「了解、次の機体カタパルトに接続します!」
キュウウウウウウウウーーーーン!!
ヘミニ機が母艦に着艦、少し遅れてバイオレット機も着艦した、
すぐさま次の戦闘機が離陸、お互いこの行動を繰り返していた。
その後は第1艦隊のパイロットと威凛族の軍人達がドッグファイト、
経験の深い第1艦隊のパイロット達が優勢で威凛族は押されていた、
だが威凛族達も徐々に慣れてきて対策を練るようになってきた。
夕方になり訓練終了、共に30機ほどドッグファイトを行っていた、
結果は第1艦隊の28対2、最後の2機で威凛族も慣れ一矢報いた、
完勝とはいかなかった第1艦隊、だが皆清々しい笑顔で相手を称えた。
翌日は陸軍の訓練、これは指揮官であるマーティンが大活躍する!
グィイイイイイイーーーン!!!
ドゴドゴドゴーーーーン!!!!
ボシュボシゥボシュ!!!
「右の戦車を狙え!あいつに周りこまれると厄介だぞ!」
「了解、右の戦車に攻撃を集中します!!!!!」
マーティンが指揮する戦車隊が俺達の戦車隊と対戦、ほぼ互角だった、
戦闘経験が豊富なマーティンが威凛族を指揮し巧みに戦車を操る、
こちらも経験者が多いのだが・・戦闘訓練は引き分けで終わった。
次に駆逐艦を使った艦隊戦、これは馨響族も参加して三方に展開、
三つ巴の戦いとなり砲撃戦、これも主砲のペイント弾だけで実施、
猛烈な訓練となったが・・これも全艦被弾したので全滅扱いとなる。
その後も戦闘機や艦を変え訓練を繰り返す、就航した軍艦は即使用、
訓練後半頃には戦艦も就航したので即訓練に駆り出され実戦経験を積む、
半年後にはほとんどの軍艦が就任となり訓練後各地域の配備に就いた。
その頃俺達は・・
しばらくの間イルカ達と戯れていたが・・未開の大陸が見えてきた、
ここでイルカ達はお役御免、危険なので離れるように指示した、
イルカ達は安全地帯まで移動、その海域に留まり様子を見ている。
ここからは皆真剣モード、相手は未知の魔物がいるので気合いを入れる、
皆はそれぞれ自分の配置につき警戒しながら自分の役割をこなしていく、
まあほとんどオートなのだが予期せぬ事態に備え皆備えの心を忘れない。
翌日・・・
「総員第1戦闘態勢のまま待機!!!」
未開の大陸が20km先まで近づいてきた、俺は戦闘態勢を指示、
三笠の全主副砲、高角砲や機銃、ロケットランチャー等が構える、
どう敵が来るかわからないので五月雨撃ちモードに切り替える。
ちなみに五月雨撃ちモードとは全砲を様々な角度にして広範囲に撃つ、
五月雨とは梅雨等の長雨を表す言葉で広範囲に降る雨を例にしている、
例えば一番主砲は右前と上、2番主砲は左前と角度45度等に砲を向ける。
大改装された三笠は金剛型戦艦とほぼ同じ武装で最新鋭の装備を備える、
主砲は36センチ2連装主砲4門、15センチ単装砲16基と機銃等、
他にもイージスミサイルやレールガン等の長距離攻撃兵器も備えている。
さらにこの中には神級の俺やルシファー達、聖級のカサンドラ達もいる、
子供達もインフェルノと同化すれば聖級レベルとなるので強さは問題なし、
さらにルシファー達は分身できそれらは単独行動も出来る優れものだ。
全員戦闘服に着替えレーダー監視、初級のコロ達は艦の見回りを担当、
見落としやすい小鳥や昆虫などが侵入していないか調べる重要な役目だ、
この手の魔物は戦闘力は低いが毒などを持つため厄介な存在だからだ。
「レーダーに反応!何かがこちらに向かってきます!」
通信担当のエナとレイがレーダーで何かを見つける、動きはかなり速い、
すぐさま艦のモニターに映し出される魔物、それは海を駆けてこっちに来る、
まるでアメンボのように足だけ水につけスケートのように移動している。
「謎の魔物は3方向から複数で攻めてきます!」
いつの間にか数を増やした魔物は各方向から10匹づつの数で攻めてくる、
大きさは約10~15m、これを見たルシファーは大声で叫ぶ!
「こいつに話は通じないよ、近づいてくる僕たちを攻撃する気だ!」
その声を聴いた俺達に緊張が走る、俺は三笠の速度を上げ敵を迎え撃つ、
どこから卿魔族に見られているのかわからないので全員艦の中にいる、
今回は三笠の武器で向かってくる魔物を蹴散らすことにした。
「敵魔物!約10kmまで迫ってきました!」
この距離なら機銃でも十分ダメージを与えられるので発射準備!
すると・・
!!!!!!!!
「敵魔物!何体かがジャンプして上空から攻めてきました!」
グゥウーーーーーーーーー!!!
ゴーーーーーーオオオ!!!
なんとアメンボ魔物は猛烈なジャンプ、上空から上級魔法を放つ!
なぜか数を増やしており大雑把に見ても100体近い数となっている、
そして巨大な火球を口から発射!次々と三笠に襲いかかってくる!
「敵の第一波来ます!」
これを聞いた俺は戦闘開始の号令を放つ!
「三笠戦闘開始!各砲向かってくる火球を叩き落とせ!」
「了解!氷裂弾で撃墜します!」
「三笠面舵いっぱーい!」
「全砲氷裂弾発射!!!!」
ズシュズシュズシューーーーーー!!!!!
三笠は角度を変え砲撃体制、次の瞬間主副砲から氷裂弾が発射!
迫る巨大な火球に氷裂弾が接触!次の瞬間大爆発を起こした!
ボグァアアアアアアーーーーーー!!!
次の瞬間霧のような水蒸気が辺りを包む、それを見た魔物は少し怯む、
思わぬ反撃に戸惑ったのだろう、だがその隙は命取りとなる・・
「レールガン発射!敵を打ち砕け!」
グィイイイーーーーーーーーーーン!!!
ズシュズシュズシューーーーー!!!
レールガンを一斉発射!超高速弾がアメンボ魔物達に襲い掛かる、
天聖族でもかわすのが困難なレールガン、それが魔物達を次々貫く、
いつの間にか自分に風穴があいたアメンボ魔物達はすぐに息絶えた。
ドゴーーーン!
ズガガガガガガガガ!!!!
ズシュズシュシューン!!!
五月雨モードの三笠は即座に砲撃し広範囲に攻めてくる魔物を撃ち抜く、
隙のない攻撃になすすべもない魔物達は次々と息絶え海中に沈んでいく、
100体はいたであろう魔物達は・・いつのまにか数匹に減っていた。
ギギギギギギギーーーー
ボスらしい巨大な魔物が特攻を仕掛けてきた、即座に攻撃する三笠、
だがそのボスは甲羅のようなモノを前面に展開し盾代わりとしている、
機銃弾はその甲羅に弾を弾かれ・・どんどん近づいてきた。
「と・・突撃・・この魔物は特攻してきます!」
レイが驚き叫ぶ、だが俺と親衛隊は余裕、これは想定に余裕で入っている、
対策の一つが砂鉄などを使った無形態攻撃だが今回はこれを使わない、
まずはラーヴァナとアザゼルがアイスシールド・・の変型判を繰り出す!
「氷の山」
ビキーーーーーーーーーーーン!!!!!
ドーーーーーーンン!!!
ギギギギギギ?
突然出現した氷の山にぶつかるアメンボ魔物、少しふらついてる、
即座に操縦桿を握るアスタロトが艦の向きを変え副砲で攻撃!
ドゴーーーーーーーーーン!
グギーーーーーーーーーー!
副砲は太ももの位置に当たり魔物は怯む、それを見たルシファー!
「ここは任せて!棘弾!!!」
シュシュシューーーーー
無数の棘弾が三笠から放たれる、次の瞬間魔物に全弾命中した、
剣山のように針だらけとなり・・力尽きて静かに沈んでいった、
周りを見ると・・アメンボ魔物は全部消えていた。
完全勝利の俺達、だが誰も浮かれてはいない。
「この先卿魔族からの攻撃もあると思う、気を付けて進もう!」
ルシファーのこの言葉に皆頷き・・
・・・
戦艦三笠は未開の大陸に向かって・・
・・・
ゆっくり巡航していた。