アイザック(陸奥)の奮闘とリシャール(長門)の怒り
艦隊の右にいるルーム国王軍、その端に戦艦陸奥がいる、
その陸奥に乗っている木人形たちが強烈な殺気を感じた、
右上に見える山の上からエニウェアドラゴンが睨んでいた。
「本丸のお出ましだな」
陸奥の艦長のアイザックが指示を出す!
「陸奥転回しろ!山の上のエニウェアドラゴンを叩くんだ!」
すでに主砲弾は撃ち尽くしたので副砲と機銃でエニウェアを狙う、
だが火力不足でエニウェアの結界に阻まれ弾が届かない。
「砕けろ!ゴミどもが!」
エニウェアが口を開きブレスを放つ準備をしている。
「全速前進!他の艦から離れるんだ!」
陸奥は他の艦から急ぎ離れる、するとエニウェアがブレスを放つ、
なんとか直撃は回避したが後部主砲と魔法の盾は全部砕けた。
「次で終わりだな」
エニウェアは俺たちの艦隊の中で巨大な陸奥に狙いを定めた、
ブレスの準備だろうか・・中級魔法を乱射して陸奥を翻弄する。
「なめんじゃねえよ!」
アイザックが急ぎ艦長室から出て主砲の所に移動する。
「どうする気ですか?」
「俺の魔力を全部使ってあいつを倒す!」
アイザックは空の薬莢2発に上級魔法を封じ込める、
主砲にいた砲撃手木人形に指示を出し照明弾を主砲に装填させた、
前の主砲4問の2つに囮の照明弾、残りに魔法弾を装填させた。
「ロケットランチャーを撃ちまくれ!」
無数のロケットランチャーがエニウェアに放たれる、
同時に木人形たちがバズーカでエニウェアを攻撃する、
無数に飛んでくる弾にエニウェアが少し怯んだ。
「いいか!しっかり狙えよ!」
「任せてください!砲撃手の腕の見せ所です!」
陸奥の1番・2番主砲が向きを変えエニウェアに狙いを定める、
ロケットランチャーに気を取られているエニウェアに隙が出来た、
陸奥の主砲が・・雄叫びを挙げるように放たれた!
「ドガ~~~~~~~~~~ン!」
ます一番主砲弾2発がエニウェアの顔面目がけて飛んでいく、
エニウェアは結界を展開・・その一瞬前で照明弾が破裂!
強烈な光をまともに受けたエニウェアは錯乱した。
「そこだ!」
「ドコ~~~~~~~~~~~ン!」
動きを予期してたかのように2番主砲弾2発がある場所を狙う、
途中魔法弾丸は矢のように細長くなり一直線に飛んでいく、
その場所とは・・エニウェアドラゴンの両目だった。
こちらを一瞬見たドラゴンの両目に弾が炸裂した!
ギャァァァァァァアァ
致命傷を食らったエニウェアドラゴンは崩れていく。
「お前らも道連れだ!」
最期の力を振り絞りエニウェアドラゴンは強烈なブレスを放つ、
危機を感じたアイザックは急ぎ主砲の外に出た。
「お前らの魔力を全部俺によこせ!」
主砲の上に立つアイザックに乗務員全員の魔力が注がれる、
その前にブレスが飛んできたが・・鱗の盾が展開しそれを防ぐ、
が・・勢いは落ちたが鱗は全部砕けブレスが飛んでくる。
「させるかよ!」
アイザックが渾身の上級魔法を放ちブレスの角度を変える、
ブレスは逸れたが衝撃破で各部大破し陸奥は戦闘不能に陥った、
各部から煙が上がり木人形と兵士たちが急ぎ消火する。
アイザックは魔力が尽きその場に倒れ意識を失っていた。
急ぎ木人形が各艦に信号を送る。
「我エニウェアドラゴンと交戦!これを撃破することに成功、
だが我も被害深刻なり!無念だが戦線を離脱するも動けず」
これを聞いた各艦は急ぎ救援に向かおうとしたが・・
「各艦は南の大陸攻撃を続行せよ!我が陸奥の救援に向かう」
声を出したのは戦艦長門の艦長リシャールだった。
長門は向きを変え単独で陸奥の救援に向かう、
しばらくしたら煙だらけの戦艦陸奥の姿が見えた、
かなり大破してるが沈没は免れている。
右の山を見ると・・
頂上で息絶えているエニウェアドラゴンの死体が見えた。
その上に・・
もう一体エニウェアドラゴンが飛んで来ていた、こちらを睨む。
「全員戦闘態勢に入れ!」
リシャールが叫んだ後・・何やら頭の中に声が聞こえる。
「お前たちが我が同胞を倒したのか?」
「ああそうだ」
リシャールが返事をする、この会話は全乗務員が聞いていた。
「ほぉ・・ゴミ屑のような人間が我が同胞を倒せるのか?」
「そういうことだ、お前もそうなりたくなければ失せろ!」
「お前の声聞いたことあるぞ、確かルーム王国の人間だったな、
とっくに滅んでいると思っていたがまさか生きてたとは・・」
「どういう意味だ?」
「我らの結界で島を封じれば他の種族が黙っていないだろう?
俺達は他種族がなりふり構わずルーム島に攻撃するように仕向けた、
お前たちがボコボコにされる姿が目に浮かんで楽しかったよ」
さらに・・
「あの島が滅びようと我らには痛くも痒くもない、ただの玩具だ、
気が向いたら見に行こうと思ったがこちらの方が楽しくてな、
ついつい夢中になりすぎてすっかり忘れていたよ」
「お前・・・」
リシャールは次々倒れて逝った仲間の無念の声を思い出す。
「リシャール・・すまんな・・先に逝く ・・・」
「リシャール・・嫌・・私・・死にたくな ・・・」
「リシャール兄ちゃん・・痛いよ・・痛い ・・・」
同じように聞いていた木人形と兵士たちが悔し涙を流していた、
怒りの限界が近づいた時にエニウェアが笑いながら呟く。
「ゴミはゴミ、お前たちにふさわしい死が訪れただけだ」
「貴様~~~~~~~~~!」
リシャールが我を忘れて怒り狂う、その声に全乗務員も同調する。
すると・・
「なんだ?あの赤い光は?」
戦艦長門が赤い光に包まれる、長門自体が怒り狂うように赤く輝く、
同時に長門の全砲門が角度を変えエニウェアドラゴンに狙いを定める、
長門の極度の気迫に押されたエニウェアは内心恐れを抱いた。
「今回は戦うのをやめておこう、お前ら命拾いしたな」
口は達者だが・・
今の長門と戦うと確実に負ける・・と本能で察知したかのようだ、
エニウェアは急ぎ仲間の死骸を魔法で浮かせその場を去った。
冷静を取り戻したリシャールは総旗艦アリゾナに通信を送る。
「こちら長門、エニウェアドラゴン2頭と遭遇、陸奥が1頭撃破、
陸奥損傷激しく航行不能、長門敵追い払うも主砲弾尽き戦闘困難、
これより長門は陸奥を牽引しルーム国に戻る、許可を願う」
「了解!許可する、航行の無事を祈る」
「ありがとうございます」
長門は陸奥の前に移動し牽引用ワイヤーで陸奥を引っ張る、
ゆっくりと陸奥は動きだし長門に牽引され戦線を離脱する、
アイザックはじめ負傷者は長門に移動し治療を受けていた。
リシャールは後ろを振り向いて・・
必死で戦う同胞の無事を願った。
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