威凛族王の手紙と砕氷軽巡洋艦への改装
突然婚約話を持ちかけられた俺、まあミラはその気配はあったけど・・
だがなんで初対面のティアラさんも俺との婚約を望んでいるのだろう?
まあ大体想像はつくが・・念の為俺はティアラさんに経緯を尋ねる。
するとティアラは真剣な顔となり俺の疑問を払拭するべく説明を始める。
「コウさん私の事はティアラとお呼びください、単純に惚れたからです!
あなたは趣味のつもりで拠点を建設されましたが私達には大財産なのです、
それを短期間で造るあなたの行動力と想像力に惹かれ婚約を決意したのです」
続けて・・・
「あなたは最高の種馬と聞いています、子供が欲しい私には理想の相手、
さらに総司令官と婚約すれば私達の立ち位置はさらに向上するでしょう、
私達が望む理想と現実を実現するあなたに嫁ぐことは至極当然なのです」
何なんだよそれ・・
完全な政略結婚じゃないか!
裏心満載の婚約なら俺は断る・・リィブラが割り込み補足を説明する。
「コウよく聞いて!私達も全員似たような経緯だったでしょ?でもね・・
タウロが言ったと思うけど私達は純粋にあなたに惚れているのよ、それに・・
政略でも私達は好きでもない相手に身体を預けないわ!それは信じて!」
・・・
これに関してはミラもティアラも真剣な顔で頷く、どうやら本気のようだ、
しかしなぜ俺なんだろう?俺は特に女性を求めてはいない、と言うか逆、
俺としては妻は1人だけでいい・・それを遮るようにリィブラが突っ込む!
「あなた私達が次々求めてくることを不思議がっているけど・・当り前よ!
貴方の世界でもあるでしょ?弱肉強食と権力に群がることは・・」
「ああ確かにある、だが俺は庶民の出で貴族でもなんでもない、正直戸惑う」
「それはわかるけどね、でも異世界に来たからにはそれは割り切って!
貴方の力はもはや神以上かもしれない、それに惹かれない女性はいないわ、
だから皆あなたの造るものに惹かれ群がるのよ、至福が手に入るんだから!」
・・・
言われてみれば・・確かにそうかもしれない。
俺は単に幼少の時欲しかったものを・・未練を満たそうと造っている、
それはリィブラ達から見ると幼い俺の目線と同じなんだろう、だから・・
純粋に魅力的だから欲しがって・・俺を共有する考えになったのだろう。
「そういうことよ、私達もそれはわかって動いているから安心していいわ、
貴方は深く考える必要は無いから好きに動いていいのよ、それとね・・」
「それと・・なんだ?」
「単純に楽しいのよ、新たな仲間が沢山出来て共に生きる「共存」がね!、
それを私達も受け入れているわ、お互い様だから罪を感じる必要はないのよ、
だから彼女達も受け入れてほしい・・私達と同じように本気でね」
ミラもティアラも大きく頷く、俺は断る理由が無くなったので受け入れた、
だが今は次々と遊牧種族が拠点に集まっているので落ち着いたら挙式となる、
3人は帰る・・の前にティアラが俺に一通の手紙を俺に渡してくれた。
「こちらは威凛族王の手紙です、ある領地を提供したいとのことです、
詳しくはこれに書いてあるそうなのでご覧ください、それでは失礼します」
3人は即座に転移魔法で港に帰りキアーラの星に戻っていった、手紙を読む俺、
なんでも北の端の方に手つかずの大陸があるので開拓してほしいとの事だった、
その理由は簡単、ここが開拓されれば北の防備面の向上が図れるからと・・
俺はこの手紙を見て即座にこの大陸を衛星で調べた、例えると青森県の感じ、
見る限りこの陸地には固定・遊牧種族はいないようでほぼ手つかず状態らしい、
地形は平地、真冬海は一部氷で覆われるが寒さはそれほどでもないそうだ。
誰もいないこの地なら・・
俺が造りたかった理想郷が出来るかもしれない・・
俺は威凛族王に電話、念の為この地に進出しなかった理由を尋ねた、
その理由は簡単、この地もあまり植物が育たないのと単純に用がない、
ほとんどの種族は王宮付近で事が足りるので出向く理由がなかった。
だが破壊神が広範囲に展開し各地を攻撃したのでこの地も無視できない、
もし先で敵の拠点にされたら大事なので何らかの備えをする必要を感じた、
だが今の自分達では余裕が無いので俺に開拓してほしいという依頼だった。
ちなみに開拓後は俺の好きにしていいのだが緊急時のみ開放し援助が条件、
この条件なら俺は緊急時以外好きにしていいので開拓する価値があると判断、
俺は即座に王にこの依頼受けると通達、王はとても喜んでいた。
俺はお供達に・・・お供達はイザベルが紹介したお相手と会うため留守だった、
ちなみにブルーアイズもいない、天聖族がレッドアイズとお見合いさせていた、
コロたちも似た種族とお見合い中、なので俺は単独で準備をはじめた。
まずは軍港ドックに向かい大和が動かせるか尋ねた、結論言うとまだ無理、
ほとんどの設備を総入れ替えしてるようで第7艦隊はどれも動かせなかった、
やむなく俺は他の艦隊に尋ねる、荷物を運ぶため空いてる艦はないか尋ねた。
その返事は・・・
どの艦も忙しく結論言うと拒否される、落ち込む俺にあるライアンが進言、
威凛族から無償譲渡された艦があるからそれを改造してはどうか?の提案、
早速俺は転送の鏡付近に移動、その近くの海に浮いてる古い軽巡がいた。
「こ・・この艦は好きにしていいのか?」
「ええ威凛族からもらった艦なのでお好きにどうぞ!」
その艦は初期の軽巡で威凛族の持ってる艦の中で一番古いらしい、
それよりも新しい艦の改装を最優先してるので正直対応出来ず譲渡、
整備ライアン達は先で改装しようと考え一旦置いていたらしい。
俺はこの艦を貰い早速軍港ドック・・は満艦だったので漁港に移動した、
丁度空いてる所があったのでそこに移動、光の原核の力をフルに発揮した、
猛烈な勢いで改装する俺、ある本を見ながら艦を改良しながら作業を進める。
だが・・
俺は今迄艦の大改装はやったことが無い・・
それに手間が膨大で1人では時間がかかりすぎるので・・
応援を要請したが艦の整備員は忙しいので無理、なのでクラーケンに依頼、
まず船体部分の部品を俺が光の原核で加工しそれをクラーケンが組み立てる、
力自慢のクラーケンが分解した部品をはめ込み次々組み立てていく!
これはスナップフィットプラモの考えを応用したもの、はめればいいだけ、
俺は部品を造ることに専念しその部品に番号をつけクラーケンにはめさせる、
そうして船体部分を大改装、手軽ではあるが強度は最新鋭にも劣らない。
嬉しいことにクラーケン達は吸盤を使い古い部材を次々と剥がしてくれた、
なので俺は必要な個所だけマークをつけるだけでいいのでとても楽だった、
俺は本を読みながら作業を進める、内容は砕氷船の原理とその仕組みだ。
ちなみにクラーケンへの報酬は冷凍マグロとサーモン、どちらも養殖ものだ、
だが天然はそもそもこの異世界にはいない、元々いた魚を遺伝子操作した、
こうして出来たマグロとサーモンは共に最高級の味となり大人気だった。
他にもイワシ、サバ、鯛、ブリやエビなども同じ、これらを無人島で養殖、
同盟種族が好んで食べることもあり各地の無人島のほとんどが養殖場と化した、
それを狙い野生の種族の奇襲が絶えないので駆逐艦等で警備し追い払っている。
こうして・・
力がいる仕事はクラーケンに任せ俺はひたすら部品作製に没頭した、
暇だからとクラーケンが次々現れ手伝い、異様な光景だが作業は速かった、
これを聞いたナターシャお姉さま、後日クラーケン達を社員として採用。
噂を聞き見学に来たヘイゾウお兄さまと整備ライアン達は俺の発想に驚いた、
確かにこの方法なら溶接は最小限で済み工期は短縮できる、さらに・・
クラーケンは吸盤があり複数の手(足?)があるので力仕事は余裕だった。
さらに軟体なので多少難しい体勢でも部品を支えられるので作業はめちゃ速い、
その都度足場を組んだり外す手間がないので作業効率は各段に向上していた、
これを見たヘイゾウお兄さま達はクラーケン達を整備員として勧誘していた。
・・・
その勧誘は仕事が終わってからにしてくれないかな?
クラーケン達が戸惑うから邪魔なんだけど・・
ちなみに細かい作業は子供のクラーケンがおやつ稼ぎに手伝ってくれた、
なぜか猛烈にたい焼きを欲しがるので俺は大量発注、群がる子供達だった、
俺は部品作製に忙しかった、途中から型枠を造り部材を溶かして流し込む。
部品が冷めたらクラーケンが型から外しそのまま組み立てるので手間は最少、
当初は艦の中を空洞にしてその中で部品を造っていたが倉庫が開いたので移動、
広い場所が確保できたので大型の部品も容易に出来て即座に組立てさせていた。
一か月後・・・
特殊な部分だけライアン達が手伝ってくれて艦は完成し・・その姿を現す!
この艦は基本軽巡だが特殊な装備がある、それは砕氷し巡航することが出来る、
威凛族王から真冬になると海が凍ると聞いていたのでその対策だ。
こうして出来た俺用の砕氷軽巡洋艦、俺はこの艦に名をつける!
寒い地域なのでそれに関連した名前がいいと考えた俺は北海道地図を開く、
適当に探し感じのいい名前をジャンル問わず探す、そして見つけた名前!
その名は・・
「 神摩!」
と名付けた。