危険な特殊兵器とイザベル達の驚き
第7艦隊の5隻は適度に距離を取り戦闘態勢、レーダーで敵を監視、
威凛族の軍艦は次々出港し俺達のいる沖合いに向かって巡航してくる、
まだ敵は俺達に気付いてないようだ、まあレーダーの差があるからな。
調べた所相手方の艦隊のレーダー及び通信機は半径10km程度のレベル、
威凛族の港からここまでは約300km程ある、なので把握できていない、
だが俺達は人工衛星からの監視なのでこの程度の距離は余裕で監視できる。
出来れば威凛族を傷つけたくはないので艦尾を狙い動きを止める・・
だがその案は却下された、敵がどんな手を使ってくるか予想できない、
そのため主砲等攻撃する武器を狙って砲を撃ちまくる案が採用された、
通信官は眼を皿のようにして画像を見る、そこであることに気付いた、
それは・・
「司令官!見る感じ威凛族は各艦に乗ってはいません、旗艦だけです」
「なんだと?どういうことだ?」
「おそらく旗艦だけに乗れば事が済むようです、他の兵は降りています、
あくまで予想ですが・・整備の時だけ威凛族兵士を要しているようです」
俺達は録画していた画像を改めて見る、確かに出港時兵は全員降りている、
そして旗艦を見る、これには威凛族の兵が次々乗り込み指令しているようだ、
これなら威凛族の兵士達は離れた位置で敵を攻撃する事が出来る・・
・・・
ここで・・俺達はある仮説を考える。
前の大戦の時強大な破壊神に対して威凛族は主に艦を遠隔操作していた、
その操舵や攻撃等はパペット達に任せ兵士達は離れた旗艦で命令を降す、
そして膨大な量の艦を召喚し攻撃すれば敵が多くても長期戦も可能となる。
威凛族としては自陣の兵士を傷つけることなく敵を叩くことができる、
破壊神の本隊は次から次へと繰り出されるパペット艦隊に手を焼いた、
強力な攻撃に加え・・減らない戦力に屈したのは間違いなさそうだ。
となれば・・
破壊神は今度は逆にこの戦力を利用できる、なので当分自分は動かない、
なので俺達は当面この艦隊だけに気をつければいい、だが何か引っかかる、
確かに艦隊の攻撃は驚異的・・それだけで破壊神を撃退できるのだろうか?
・・・
「威凛族は・・なにか切り札がありそうですね!」
発したのはタケシ、紀伊の艦橋室にいる彼は何かを感じたようで・・
「それは私も感じます、なにか強大な力を持っている感じがします」
こう発したのは信濃艦長のサユミ、スノードラゴンの2人は危機感を抱く、
確かこの2人は祖母のソニアが日本人を召喚しその間に生まれた孫たちだ、
その彼らが危機を抱く・・何かしらの遺伝子がそう感じさせたのだろう。
ここで俺が異空間から呼んだ桜咲さんが言葉を発する、彼女は武蔵にいた。
「たまに異空間から貴方達の世界が見えたけど猛烈な光が何度かあったわ、
だけどそれが何なのかは私にはわからない・・でもとても危険な光だったわ、
たぶん威凛族は特殊な兵器を持っているかもしれない・・そう思うのよ」
・・・
桜咲さんの言葉に俺達は凍りつく、そんな兵器はアレしかないからだ、
だが確定ではないので・・下手に言うと大騒ぎになりかねない、なので・・
皆はわかっているが言葉を発せない、それを見たキアーラ達はキョトン顔。
・・・
ここでモンタナにいるデーヴィドが言葉を発する、彼もアレを理解していた、
それは当然だろう、あの兵器は彼の祖国が一番数を所持しているからだ、
そしてそれを使用している・・
「今はこっちに向かっている艦隊を叩くべきだ、その後はそれから考えよう、
このまま放置するとあいつらは馨響族の領地にアレを撃ち込むぞ!!!
相手の気を逸らすためにもあの艦隊を徹底的に叩きのめす必要がある!」
この言葉で俺達は吹っ切れた!
そして武蔵艦長エリーナが戦闘命令を下す!
「全艦・全戦闘機は戦闘態勢!こちらも相手に向かって巡航開始!
相手の気を逸らすため第7艦隊は徹底的に威凛族の艦隊を叩きます!」
とここで・・
「艦隊はここから100km程離れた無人島に急いで向かえ!」
武蔵にいた神族のポセイドンの声が艦内に響く、どうやら起きたようだ、
彼ら神族は戦艦に備えてある特別室で待機、ここは特殊な加工を処理、
この中にいると神族のオーラ等は遮断され破壊神も察知できない。
ちなみにこの中は12畳程度でTVや冷蔵庫、マッサージチェア等完備、
ベットは超高級ふとん等を備えミニスィートルームと言った超豪華仕様、
さらに通信関連も完備しているので俺達の状況はすぐに察知できる。
「この星に来た時にあの無人島を入れ替えておいた、あそこに向かえ、
あそこには隠してる武器やトラップ等がそのままある!それを使え!
暫くの間我らは動けない、その間は任せるぞ!」
こう言ってポセイドンは再び眠りに入る、彼も相当疲れているようだ、
さすがに艦隊はじめ海ごと球体にして1年宇宙を飛ぶ・・そりゃ疲れるわ、
他の神族は応答が無い、どうやら相当疲れていて深い眠りに入ったようだ。
だが・・
このポセイドンの言葉が俺達の救いとなった、無人島がいい場所にある、
万一敵が特殊兵器を使ったとしてもここで迎撃できるからだ、さらに・・
あの無人島には様々な補給物資を隠してある。
それと・・
無人島を拠点にすれば俺達は威凛族に威嚇でき馨響族も間接的に守れる、
それと隠しドックも備えてあるので艦の整備も可能だ、これは心強い、
全部神族の収納魔法の中かと思っていたが・・いい仕事をしてくれている。
なので・・
先に威凛族がこの無人島を見つけると厄介だ、急ぎ向かう必要がある、
艦隊は急ぎ無人島に向かう、同時に全乗組員が監視を厳重に行っている、
もし特殊兵器を使われたら・・威力を知ってるだけに皆に緊張が走る。
ここで馨響族のイザベル、キアーラ、カサンドラ、エスメラルダが移動する、
それはミオの部屋、どんな特殊兵器なのかをミオに聞くことにしたようだ、
イザベルはあえて俺達を避けた、緊張状態の俺達に気を使ったからだ。
なぜか夏姫とレイも駆け付け・・ミオの部屋は満室状態となる。
そしてイザベルが代表してミオに尋ねる。
「ミオ・・いえ山崎澪さん・・あなたなら知っているはず、教えてくれる?
コウ達があれだけ警戒する特殊兵器って・・なんなの?」
「は・・はい私も歴史でしか知りませんが・・おそらく核兵器だと思います、
その昔私達の星ではこの兵器を使用し・・2つの街が瞬く間に壊滅しました、
確か図書室にその資料があるはずです、見に行きましょう」
一行は図書室に移動、すると奥の方に広島・長崎の原爆関連の本があった、
その内容を見たイザベル達は驚き・・その惨劇に思わず眼を逸らしていた、
そしてキアーラ達は思い出す、新幹線物語であった原爆ドームを・・
・・・
「こ・・この兵器を威凛族が持っているというの?」
「確証はありませんが可能性は高いです、軍艦を召喚してますから・・、
軍艦を召喚出来るとなれば核兵器も可能だと思います、それに・・
キアーラの書いたイラスト・・隅に光があるからおそらくそれかと」
この言葉を聞いたイザベル達は背筋が凍る、これがもし自分達の領地、
もしくは友好種族の住む地域に落とされたら・・とんでもないことになる、
なんとしてもそれは阻止しなければ・・キアーラ達も気合いを入れた。
こうして・・
全速力で無人島に向かう第7艦隊、威凛族艦隊も無人島に向かっている、
翌日先に第7艦隊が先に無人島に到着、急ぎ艦の補給を行い戦闘に備える、
補給が済んだ艦は次々出港、少し無人島から離れ戦闘態勢で敵を待つ。
翌日・・
「敵艦隊接近!こちらに気付いたようです!」
「全戦闘機出撃!敵空母艦載機の離陸を抑えてください!」
「了解!888特戦隊!ブルーシャーク隊発進します!」
キィイイイイイイイイイイーーーーン!!!
ゴゴオオオオオオオオオオーーーー!!!!!
信濃艦載機は全機出撃、各戦艦に搭載している垂直戦闘機も全機離陸、
これらもブルーシャーク隊と合流して敵空母艦載機の出撃阻止に動いた、
そしてある指令、敵特殊兵器を見たら即座に離脱しろと厳命しておいた。
こうして・・
第7艦隊は・・
威凛族艦隊と・・
「敵艦隊接近、各艦主砲発射準備!!」
グィイイイイイイイイイイイイーーーン
第7艦隊の戦艦4隻の主砲が動き出し・・
・・・
「主砲!撃て~~~!」
戦闘開始となった。