謎の巫女と時空を超えた祖先との出会い
謎の女性は30歳位、俺より年下に見えるようだが本当の年齢は不明、
一応ダークが尋ねたが忘れたとのこと、なので年齢は現時点考えない、
問題は・・なぜ彼女は異空間で彷徨っていたのだろう?
これに関して・・その女性が皆の前で詳細を話してくれた。
その前にここは大和の会議室、既に各種族が集結して放送もされている、
神族にも似た独特のオーラ―を放つ彼女の気配を各種族は即座に反応、
すぐさま大和に集まり・・説明を求められたので会議室で詳細を話す。
・・・
俺が映画のヒロインを異空間から探した事が発端と知りエリーナ達は呆れ顔、
なんでそんな所から・・?冷めた眼で見るエリーナ達の眼が怖くて怯む俺、
だがすぐに開き直る、映画なんだから誰をヒロインにしてもいいだろう・・
・・・
だがサユミやタウロ、アリエノールなどは悔し涙を流して俺を睨んでいる、
その理由は簡単、美しい自分達がいるのになぜ他の女性を呼び寄せたのか・・
自分達をなぜヒロインに選んでくれなかったのか・・と眼で訴えてくる。
・・・
いや君達は確かに美人だよ!
だが今回は俺の架空映画だ、ヒロインが別人でも問題は無いと思うぞ!
と説明したら・・
・・・
!!!
「そういう問題じゃないの!これは女としてのプライドの問題なの!」
と・・・
俺はエリーナ達に脳天グリグリゲンコツの刑に処せられた。
いてててててて・・・
それはさておき・・・
ここからはその女性の言葉をお聞きください!
「みなさまはじめまして、私はその昔ある神に仕えていた巫女の一人です、
その神は私達巫女に恋愛禁止と言われていましたが私はその掟を破りました、
その罰として誰からも介入されない異空間に無理やり放り込まれました」
続いて・・
「私は異空間に放り込まれましたが相手方の男性はなぜか無罪放免でした、
このことから神は私を厄介払いするために男を近づけたのでしょう、
なので私は復讐しようと考えましたが異空間では手が出せませんでした」
・・・
この挨拶を聞いた各種族は黙り込む、これは相当な厄介が来たと・・
神が異空間に放り込む位だから相当の問題児・・女性はさらに語る!
「みなさまは私が厄介な存在だと思ったでしょう、でも私は改心しています、
なので衣食住さえ保障して頂ければ私が持つ知識を全てお教えいたします!
だからお願いします・・ここに・・ここに居させてください」
・・・
相当苦労していたようで・・もう異空間に戻りたくないオーラ満載だった、
さすがに追い返すわけにはいかないので全員が滞在を許可、だが条件付き、
神が追い払った位だからなにかしら相当な問題児なのだろう、なので・・
エリーナ・・いやリィブラが尋ねるらしい、エリーナも頷いていた。
「あなたがここに居るのは問題ないです、でも私達はある疑問があります!」
「ある疑問?ですか?」
「はい、普通の感覚で言うと恋愛程度で異空間に放り込むとは考えられません、
なので別の・・深い理由があるのではないですか?」
・・・
その女性は言うべきか・・・
しばらく考えていたようたが・・
・・・
異空間に帰るのはもう嫌らしく・・頷きリィブラの質問に答えた。
「た・・たぶん私は・・巫女を超え神族に近くなった異端の存在です、
なので神は私に脅威を覚え・・無理やりの理由をつけ異空間に・・」
「その神とは・・どのような存在なのですか?」
「私が仕えていたのは天照大御神様、総氏神で最高位です、
ある日私はある男神から声を・・名前は分かりませんが相当な位の方でした、
私としては・・貴方方で言う玉の輿だったので喜んで交際を受けました」
「それが天照大御神様の怒りを買ったと?」
「その時にはそう言われましたが・・今にして思うと私の特殊能力・・
それを恐れて異空間に追放したのだと思います」
「特殊能力?」
「異空間でも生きれる能力です、ある意味不死身に近いという感じですね、
実際私は異空間でも生き延びてきました、まあ退屈で苦しみましたが・・」
これを聞いて俺達は頭を傾げる、確かに不死身には驚いたが神も同じだ、
その位でなぜ神は彼女を異空間に・・
・・・
答えが見つからない俺達、すると大和の特別室で休んでいたゼウス、
彼が突然会議室に来た、それを見た・・今は巫女と言うようにしよう、
その巫女は・・瞬時に神と察知したのか膝をつきゼウスを崇拝する。
「あ・・貴方様は・・」
「我の名はゼウス、ある異世界の神族の一人として君臨している、
今の話だと君は・・おそらくコウ達の世界から来たのではないか?」
「えっ?私を呼んだ彼のことですか?」
「ああそうだ、だが時代は大きく異なるようだな、もしかして君は・・
時間を超える事も出来るのではないのか?」
「は・・はい、ですが私は死なないだけで時が過ぎるだけです、さらに・・
異空間に閉じ込められていたので時間の感覚はほとんどありませんでした」
これを聞いたゼウスは納得したようだが・・
・・・
俺達には訳がわからないのでゼウスに尋ねる、彼の返事はこうだった。
「この巫女は半不死身のようだ、この異世界で例えるとフェニックス、
限度を超える攻撃を与えると死ぬがそれ以外はほぼ年取らずに生きる」
続けて・・・
「彼女が異空間に追放されたのは民衆に見せたくなかったと見る、
今の時代ならともかく大昔・・神がいたとすれば相当な大昔だろう、
この時代の民衆は惑わされやすいから危険と判断したのだろう」
なるほど!
そんな大昔に普通の人間・・巫女が半不死身と知るとパニックだろう、
確かこの時代の人間は短命、大概10~30歳位で死んでいるはずだ、
なのでいつまでも若い巫女がそこに居座ったら皆が疑問と恐怖を抱く。
おそらく・・・
信者が魔女扱いをして・・
最悪暴れだし統制が取れなくなり大混乱となるだろう、だが・・
理由なしに手を出すとまずいので掟破りとして異空間に追放した!
・・・
巫女も・・そうだったのか!という顔をしていた。
・・・
真実はわからないが・・今の話の流れからすると間違いなさそうだ、
巫女もなぜ自分が半不死身になったのかはわからないらしい、ただ・・
おそらく神に長く接する事が多かったのでうつされたのではないかと・・
・・・
大昔の事を深く考えてもきりがないのと・・
長生きが多いこの異世界では今更感があるのでこの辺で打ち切った。
その後ゼウスは部屋に戻る、次の交代が自分と言っていたので皆も頷く、
巫女はブツブツと自問自答を繰り返し・・自分の世界に閉じ籠っていた、
皆はしばらくの間巫女が納得するのを・・お茶を飲みながら待っていた。
5分後・・・
巫女はやっと落ち着いたらしく俺達を見る、改めて演説を始める!
「お聞きの通り私は半不死身の身で異空間を彷徨いながら生きてきました、
今回貴方方が見つけてくれなければ永久に彷徨っていました、なので・・
改めてお願いします!私を貴方方の一員にしてください!!!」
オ~~~~~~~~~!!!!!
パチパチパチパチーーーーーー!!!!!!!
巫女の壮絶な経緯を知った各種族は盛大な拍手、皆大歓迎のようだ、
たぶん俺がいた世界なら・・気味悪がって巫女を敬遠していたと思う、
だがここは異世界、長寿族だらけなので今更感満載だった。
翌日・・・
改めて巫女と会談、というのも巫女は演説の後食事を求めたからだ、
異空間では腹は減らなかったらしいが・・なにもないので妄想ばかり、
たまに外の世界が見える時があったがしばらくしたら消えたらしい。
妄想の大半は食事関連、巫女ということもあり豪華なお供え品を見てきた、
それを思い出しては寂しさを紛らわしていたらしいが・・その分不満満載、
あれが食べたい・・これも・・俺達の世界に来てその我慢が爆発したらしい。
「美味しい!!!しいしい!!もっともっと~~~!!!!!」
・・・
食べきれないのに欲しい料理を次々注文するからコック達は呆れていた、
そこで応援に入ったのがミオ達、ミオと夏姫はなんとなく感じたらしい、
この巫女は自分達の祖先ではないかと・・その予感は当たったようだ。
さて会談、放送はされるが対応は少人数に絞る、巫女が緊張するからだ、
俺とリィブラ、ダーク、ミオと夏姫、他のメンバーは別室で待機した、
ちなみに映画の件に関しては後回し、だが内容は変えられてしまった。
まず俺が尋ねる、が・・
「あっ・会談の前にお願いがあります」
「何ですか?」
「私に名をつけてもらえませんか?前の名は使いたくないので・・」
「俺が・・ですか?」
「ええお願いします、澪さんに聞いたらコウさんがいいからと・・」
・・・
俺は考えた、名付けは何度もしてはいるが・・
まさか祖先かもしれない女性の名付け親になるとは・・
・・・
「これならどうですか?」
俺は提案した名は・・
・・・
「 桜咲」
だった。




