人工衛星から見る各地の状況
ここルーム王国島を中心として東西南北を見てみると・・
まず一番危険なのが東の大地、ドラゴンが多数生息してるらしい、
俺はまだ見たことはないが・・
特級レベルのカオス達が警戒してる様子を見ると危険度は高い、
最低でも互角以上の強さと見る、ただ今の所音沙汰は全くない、
偵察するため祖父木人形達が人工衛星を作成中だとか言っていた。
・・・
異世界で人工衛星なんて造れるのか?
「それは大丈夫だ、必要な素材は揃ってる」
いつのまにか来ていた祖父木人形が説明してくれた。
なんでもガルーダの山脈には希少金属レアメタルがあるらしい、
他にもプラチナやアルミ・金銀銅等の金属・元素が豊富にある、
それらは純度が非常に高くそのままでも使えるそうだ。
それに加えこの異世界には様々な魔法がある。
本来精密部品を造るにはフッ素等有毒性の薬品で不純物を取る、
だがこの世界だと真空の風魔法等があるので不純物を吹き飛ばせる、
大掛かりな工程を省略でき高度な部品が短期間で出来るそうだ。
「この世界は魔法がある分天然素材を活用する考えが無い、
誰も使わないから予想を超えた純度の素材が容易に手に入る、
ワシらにはこの世界は宝の山だ、あらゆる試作が容易に出来るぞ」
金属や元素のことはよくわからないが・・
とにかくすごいことはわかった!
「それで?いつ人工衛星は造れるの?」
「もう出来てるぞ、あとは打ち上げだけだ」
いつもながら仕事が速いな。
ちなみに・・
魔法レーダーがあるので潜水艦を使い東の大陸を調査したが・・
東の大陸自体に魔法を遮断する結界があり役に立たなかった。
「お祖父さん!潜水艦の乗組員やガルーダ達に上陸させたのか?」
「いや危険だから中止させた、東も不気味だし北の大陸も不気味だ、
これらは人工衛星で調査しようと思う」
俺もそれが最善だと思う。
現時点東の大陸にはドラゴンがいることはわかってる、
南の大陸はヒドラがほぼ占領してるとワイバーンから聞いている。
西の大陸は友好種族が多いので安全地帯と言っていいだろう。
だが北の大陸に関しては何一つ情報が無い。
北の大陸も潜水艦を使い大陸内調査に向かったが氷が厚すぎた。
伊400の巨大な魚雷でも砕けず浮上できなかったそうだ。
空に関してはガルーダたちも言ってたか翼が凍るので進めない、
翼にヒーターをつけた特殊機でもダメで引き返したそうだ、
なら陸路で・・上陸は出来たが寒すぎどの暖房も役立たず断念。
・・・
相手がわからないと不安でしょうがない。
3日後。
俺は一基だけかと思っていたが打ち上げロケットは5基あった、
普通は1基づつあげるはずだが・・
まとめて打ち上げるらしい。
「発射10秒・・・そこ退いてください!」
ロケットの打ち上げ軌道上にガルーダたちが飛んでいた、
物珍しいのか・・いやイタズラ心だろう!顔が笑ってる、
上空を旋回ばかりして軌道上から離れない。
「そっから離れないと当分おやつ抜きですよ!」
このアナウンスを聞いたガルーダ達は即座に軌道上から離れた。
ごほん!
アナウンサーが改めてカウントダウンを始めた、発射時刻が近づく、
ちなみに安全な所でルーム国民たちも弁当食べながら見物していた。
「3・・2・・1・・発射!」
5基のロケットは同時に飛び立ち10分後衛星軌道に乗った、
全基感度は良好で早速東の大陸を衛星軌道上から偵察する、
モニターに映し出された画像を見てカオス達が感激していた。
TV画面が相当珍しいらしい、画面に釘付けになるカオス達、
それを見た木人形がイタズラする、まずはビデオカメラを用意、
新作のケーキを隣の部屋に準備して画面を切り替えケーキを映す!
「このケーキは私のよ~~~~~!」
画面に思いっきり突っ込むレイナが恥ずかしい格好をしていた。
笑いをこらえる木人形を見て・・イタズラと理解したレイナ、
笑顔ではあるが目が殺気に満ちて木人形の傍まで歩き一言!
「どういうこと?ねえ・・・説明してくれる?」
「わ・・我々はコウさんに言われて仕方なく・・」
なぜ俺のせいにする?
殺気に満ちたレイナの矛先が俺に向けられる。
まずいと感じた他の木人形が隣の部屋からケーキを持ってくる、
それを急ぎレイナに与えて・・
「美味しい~~これ最高ね!」
すっかり機嫌を直したようだ。
ちなみにカオス達もケーキが欲しい顔してたので用意した。
俺に罪をなすりつけた木人形には・・
デコピンの刑に処しておいた。
甘いなあ~俺。
画像を切り替え各大陸を映す。
東の大陸は・・
平地にはドラゴンの姿は無く人間らしい民族が村で生活してる、
見つかったらまずいのであまり感度は上げずに各地を見る、
どうやらドラゴンたちは山の中の洞窟に潜んでいるようだ。
現状攻めてくる様子はなさそうだが危険な相手なのは確かだ、
当面この衛星で東の大陸を監視することにした。
同じように南・西・北の大陸上空に人工衛星を配置した。
一基は予備として当面は使わない。
南はヒドラの猛攻が激しく大陸ほとんどがヒドラだらけだ、
かろうじて残ってる種族もいるが住処を捨て各地に逃げている、
現状こちらに攻める動きはないが超警戒地域として監視を続ける。
西の大陸にも一応人工衛星を配置した、主にサラマンダー対策だ、
エリーナ達がかなり減らしたらしいが警戒する必要はあるだろう、
当面動きはなさそうだが用心に越したことはない。
あと気になる北の大陸だが・・
あたり一面氷しかなく真っ白な世界だ。
「ちょっと待ってください、あそこだけ何か違います!」
クリスティーナが画面の右端を指さしている、俺には・・
どう見ても同じ氷にしか見えないが一応ズームで見てみる。
すると?
氷で出来た城が画面に映し出された。




