ドワーフの特殊能力と怒りの言葉
私エリーナの乗る艦隊は順調にドワーフの村に向かってる、
途中魔物に襲われたけどガルーダとグリフォン見てすぐ逃げた、
改めて彼ら彼女らの力強さを感じたわ。
「村が見えたわよ~!」
戦艦山城に乗ってるサクラから木人形を通じて声が聞こえた。
私は横にいるエマに・・・あれ?
エマがいない・・・
祖母木人形に尋ねたら転移魔法で先に行ったらしい、
おそらくドワーフの村長に挨拶に行ったものかと・・
・・・
まあ当り前よね、見たこともない艦隊が行くんだから・・
段取りのいい彼女だから先手をうったのでしょう。
艦隊はドワーフの港に・・
港は小型船しか入れない小さなものなので各艦停止、
碇を降ろし沖合いで各艦待機することになった、
私は祖母木人形たちと共に小型艇でドワーフの村に向かう。
村に上陸した私と木人形たち、すると青ざめた顔の女性がいた、
彼女はたしかグリフォンのはず?どうしたのかしら?
するとある小屋に指差して・・
「突然・・信じられない!!」
泣くような仕草で顔を隠しその場を逃げるように去っていく、
私たちは疑問に思いながらもその小屋に足を運ぶ、
ノックをしたが応答なし、ドアは空いてたので中に入る。
すると?
女性が一人眠っている、って・・エマ?
ベットにエマが寝ていた。
「エマ!何してるの?村長さんの挨拶はどうしたの?」
「・・・」
「どうしたのよ!寝てる場合じゃないでしょ?」
「・・・」
「もうふざけないで!早く起きなさい!」
「・・・」
「いい加減にしないと怒るわよ!
「・・・」
起きる気配が全く無いので私はエマの傍に近寄った。
「エマ!起きなさい!いい加減・・・って?」
冷たい・・
まるで氷の塊のようにエマの身体は冷めきっていた・・
もしかして・・
心臓に手を置く・・動いていない。
「嘘・・・」
「嘘・・・」
私はエマを抱きしめ涙が止まらなかった。
「エマァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
・・・
・・・
「呼びました?」
えっ?
ドアの傍には笑いをこらえているエマとグリフォン達がいた。
「ごめ・・ん・・な・・さい・・」
笑いをこらえながらエマが一応謝ってはいるけど・・
後ろのグリフォンの女の子たちもお腹を抱えて笑いを抑えてる。
・・・
じゃ?このエマは?
「それは私をモデルにした人形ですよ(笑)」
・・・
笑いをこらえているエマたちを見て・・
私はブチ切れ・・我を忘れ怒りの言葉!!!!
「あなた達!艦長権限でおやつ一か月禁止~~!」
「申し訳ありませんでした!」
エマたちが即座に見事な土下座でエリーナに謝った!
「本当にごめんなさい!反省してます、だからおやつだけは・・」
「何言ってるのよ!もぅ・・絶対一か月おやつ禁止よ!」
「それだけはご勘弁を・・お願いします、お願いします」
「嫌よ!何よみんなで私を馬鹿にして!倍返しよ!」
「すみません!この通りです、ご勘弁ください・・・」
・・・
しばらくしても・・
泣きながら怒るエリーナに必死で謝るエマたちの奮闘は続く、
彼女たちにとっては異世界のお菓子は極上すぎるおやつなのだ!
それが一か月禁止・・・背筋が凍るとても恐ろしすぎる罰なのだ。
それを遠目で見ていた祖母木人形が呆れ見てられないと仲介に入る、
その効果もあって・・なんとかおやつ一食我慢でその場は収まった。
それを冷めた目で見てた髭の生えたドワーフの村長さん・・
「そろそろ話をしたいんだが・・いいかな?」
「はい!もちろんです!!」
一部始終を見られていたエリーナたちは赤面で襟を正す、
一行は気まずい雰囲気を消すため無理な笑顔で村長の家に行く、
村長の家に入った時・・私エリーナは心の中で驚愕した。
そこには・・
リリーやララーはじめ見慣れた女性たちの人形が所狭しと並んでる、
隣に彼女達がいなければ疑いもなく声をかけるだろう。
「驚きましたか?西の大陸のドワーフは人形作りの達人なのです」
確かに達人と言っていいだろう、、いえ超達人だわ、でも・・
・・・・
周りを見渡したけど・・
・・・
女性しかいないのはなぜ?
「ドワーフの人形創りは若い女性限定なのです」
単なるどスケベ集団なんじゃないの?
「人形創りは女性の仕事だ、わしらは酒造り専門だ!」
疑ってすみませんでした。
事前にある程度ドワーフの情報を聞いていたエリーナだが・・
予想以上の出来栄えを見て驚く、これなら木人形の願いが叶うかも、
そう考えるエリーナに村長が言葉をかける。
「君たちが異世界人かね?まずは沢山の食糧支援を頂き感謝する、
我らもエルフと同様君たちと同盟を結びたいのだが・・
その前に尋ねていいか?」
「どうぞ?」
「エルフから聞いたが・・君たちはドラゴン相手に喧嘩売ってるのか?」
「いいえ、私の里ルーム王国がドラゴンとの契約破棄をしただけです」
「それが喧嘩売ってることじゃないのかね?」
「見方によります、ドラゴンとの契約でルーム王国は滅亡寸前でした、
むしろドラゴンがルーム王国を滅ぼしかねない理不尽な契約をしたのです、
生き残るためやむなく契約破棄を選んだ、それだけです」
「ドラゴンにその理屈が通ると思うのか?」
「それはわかりません、それでドラゴンが攻めるなら戦うまでです、
私たちは理不尽な理屈で死ぬ気はありません」
「君たちはドラゴンの怖さを知らんからそう言えるんだ!」
「ではどうしろと?どちらにしても死なら私達は戦う道を選びます」
「話が通じないようだな」
「私たちはドラゴンと喧嘩する気はありません、共存を望みます、
それが叶わぬ時のみ戦うだけです、皆その覚悟は出来ていますから」
「それが全滅の道となってもか?」
「そこまでドラゴンを恐れられるのなら同盟の話は水に流しましょう、
私たちに臆病者は要りません、まだルーム国の子供の方が頼れます、
怯えて何も行動しない輩と過ごしても未来はありませんから」
この言葉を聞いてドワーフの村長は高笑いした。
「いゃ~すまんすまん、君を試して申し訳ない」
「こちらこそ無礼をお詫びいたします」
「エマの話通りだな、ぜひとも同盟を結びたい、お願いできるかね?」
「もちろん喜んで!」
私たちはドワーフたちと同盟を結ぶことになった。
「ところで?エマから聞いたがわしたちにお願いがあるとか?」
「はい、その見事な人形を出来るだけ多く創って頂きたいのです」
「それはどうしてだ?」
「女性木人形の新たな身体として使いたいのです」
エリーナは女性木人形たちの叶わぬ夢をドワーフの村長に伝えた,
その言葉を聞いた村長はじめドワーフの女性陣は涙を流した。
「可能な限り創りますのでお時間ください」
「お願いします!」
エリーナたちが艦に戻った頃にはすでに日が暮れていた、
当然全員に夕食は出るが・・
エマとグリフォン女性の一部は艦長権限で今夜のおやつは無し、
エリーナの隣に座るエマが羨ましそうにデザートのケーキを見る、
するとエリーナが自分のケーキを半分にしてエマに渡し一言。
「もうあんな冗談はやめてね、あなたは大切なパートナなんだから」
エマは感激しケーキを喜んで食べていた。
それを見ていた他のグリフォンも真似をして仲間に渡した、
おやつ無しのグリフォン女性たちは喜んでケーキを食べていた。
各艦の甲板の上では・・
夢と希望を胸に膨らせた女性木人形たちが星空を眺めていた。