国の使者の訪問
玄関からノックの音がして国の使者が俺たちの所に来た。
「はじめまして、私はルーム王国軍の参謀アレクサンド・リシャール
と申します」
かなりのイケメン青年だ、年齢は20代後半位かな?
「ここではなんですから家の中にどうぞ」
エリーナが国の使者を家に招く。
彼は椅子に座った後に大きな紙を机に広げた、どうやら地図らしい。
「簡単ではありますが我が国の状況を説明させて頂きます」
俺たちは黙って話を聞いていた・・
ここルーム王国は大きな島国で大きさは・・例えると広島県位かな?
遠く離れた所に複数の大陸があり奥の山をドラゴンやワイバーン、
グリフォンとかガルーダなど異世界恒例の魔物が生息している。
これらは普段人間の住む所には近づかないが例外がある、
一部が定期的に繁殖のため別の大陸に渡る途中人間の食糧を狙う、
それと巣立った子供が力試しのつもりで街を頻繁に襲うらしい。
迷惑な話だ。
「それで?俺・・いや私たちが呼ばれた訳は?」
「我々も反撃してはいますが、この世界の人間は魔力の蓄積が乏しく
中級魔法までが限度で上級魔法を操る魔物には全く歯が立ちません、
そこで考えたのが魔法以外の攻撃手段です」
「多くの魔物は魔法攻撃を遮断する結界を展開し身を守ります、
この結界は魔法は弾きますが物理攻撃を抑える力はありません、
まあ棒で殴る・石をぶつける程度の攻撃だと弾き返されますが・・」
「魔法以外って・・倒せた根拠はあるのですか?」
「はるか昔ある人間が偶然我が国に召喚された伝説があります。
彼は「大砲」という武器を造り多数の魔物を蹴散らしたそうです、
その武器があれば魔物に対抗できると考えたわけです」
「今その大砲はないのですか?」
「見よう見まねで作りましたが・・その大砲は地上の魔物は倒せます、
ですがワイバーンのように上空を飛ぶ魔物には弾が届きません、それと・・
かなり昔の話なので現物はわからずじまいです」
大砲のイラストをみせてもらった・・
うん!この大砲は戦国時代のですね!
これじゃ空高く飛ぶ魔物に届くわけない。
「この大砲はどうやって作ったんだ?」
デーヴィドがさりげなく問いかける。
「王国の職人たちが総出で5年かけて作りました」
・・・
「話はそれましたが・・我々が欲しいのは大砲の強化版です、
我々の技術では到底無理なので召喚魔法を使いました、
大砲の知識を持つものを召喚できれば手に入ると思い・・」
「なるほどね、でも製造設備はあるのですか?
大砲となるとかなり高度な設備が要るんですけど・・」
「残念ながらそのようなものはありません!」
人間だけ召喚しても意味ないと思うんだが?
「言いたいことはわかります、ですが我らには他に方法が無いのです」
余程切羽詰まってるんだな・・
「わかりました、出来るだけのことはさせて頂きます」
「感謝します!」
「それで?俺達はこれからどうしたらいいんだ?」
「その辺のことは国王から詳しく説明させて頂きます、
ただ国王は傷を負ってるので王宮から動けません、
お手数ですが移動をお願いします」
「わかりました」
俺たちは外で待つ馬車に乗り王宮に向かった。