巨大なゾンビの塊と使者となった天聖族
突如現れた魔影の騎士達は無言で俺達の仲間に次々と襲いかかってきた!
まず慶清、霧生、彩華達は襲い掛かる魔影の騎士に向かって静止を呼びかける、
だが魔影の騎士達は何も感情が無いようで無言で斬りかかってきた。
キィーーーーーーーーーン!!!
持っている武器は鋼の槍や剣、防具は円状の盾等かなりの年季物のようだ、
俺はこれらの武器を見て・・昔なにかの映画で見たコロッセオの剣闘士、
そこで戦う彼らが持っていた武器によく似ていると思い出していた。
身体は影に覆われていて・・人間の形はしているが喜怒哀楽を全く感じない、
誰かに命令されているわけでもなく・・ただ目の前の敵を倒すだけの存在、
慶清達は何度も停戦を訴えるが魔影の騎士達は攻撃を止めなかった。
・・・
「どうやら説得は無理のようね」
「ああ気の毒だが退治させてもらおう」
「・・できるだけ苦しまないように・・一刀両断で決めるぞ!」
慶清、霧生、彩華は菊一文字虎徹を展開し魔影の騎士達を攻撃する、
魔影の騎士達の武器や防具は菊一文字虎徹の前には全く役に立たなかった。
ズババババババババ!!!!
鋼の槍や剣はあっさり切り刻まれ・・
「ハアアアアアアアアアアア!!!」
慶清達の攻撃を受け止めようと盾を構える魔影の騎士達、だが無駄だった、
菊一文字虎徹の前には鋼の盾は無力に等しく・・盾ごと真っ二つにされる!
ズグヮーーーーーーーーーーン!!!
そして魔法銃マヒアの攻撃を受けた魔影の騎士達は跡形もなく消えていった、
瞬く間に10体の魔影の騎士を消滅させた彩華達、だが3人とも笑顔はない、
自分達も一度は死んだ身、何とも言えない空しさが込み上げていた。
ほぼ同時刻・・・
天使族達も魔影の騎士達の奇襲を受け苦戦、ミアが囲まれ危険な状態となる、
そこに駆け付けたリサが魔影の騎士を後ろから攻撃してミアを何とか救出する、
そして天使族は空中に集まり円状になり構える、相手は10体に増えていた。
「・・な・・なにこいつら?ドラゴンゾンビより断然強いわ!」
「見た感じ図鑑で見たコロッセオの剣闘士のようですね」
「ええ・・あの古い武器を見たら間違いなさそうね」
「どうするの?説得してみる?」
「いえ無駄よ!あいつらには感情が無いわ、退治するしかない・・
出来るだけ苦しませずに倒すわよ!私達にはそれしか出来ないわ!」
「わかったわ!!!!!」
アリエノール達は一斉に攻撃、エンジェルソードで魔影の騎士達を切り刻む、
そして魔法銃マヒアの出力を最大にして一斉攻撃、騎士達は核ごと蒸発していく、
天使族達は・・その場で黙祷、他の地域に飛びゾンビ達を蹴散らしていく。
その頃・・・
「へえ~~あなた達私達に逆らうの?いいわよ相手してあげる!!!」
破壊神と似た覇気を持つヒミコ達を見て、ただ睨むだけのドラゴンゾンビ達、
少し離れた左右にはステファニーとクリステル、不敵な笑みを浮かべている、
そして覇気を展開、近くにいたゾンビ達は一斉に集まってきた。
「確か一か所に集めればいいのよね?」
「ええそうよ!上空に集めたら艦砲射撃で蹴散らすと聞いてるわ」
「ならもっと集めた方がいいわね、その方が手間も少ないし・・」
ヒミコ達は上空に飛び・・ドラゴンゾンビ達は次々と集まってきた、
デーモン達を襲っていたゾンビ達も覇気に気付いた瞬間空を飛び集まる、
そのお蔭で命拾いしたデーモン達、急ぎ避難しケガ人を手当てしていた。
ほぼ同時刻・・
別の場所では・・
「こいつらを空に集めればいいんだろ?楽勝じゃんか!」
「ええ魔影の騎士も出てきたけど・・ついでに集めましょう」
「これだけ集めれば・・昇進は間違いないわ・・うふふ・・」
革新魔物のハヤテ・ツバキ・カリンが微笑む、ゾンビの扱いはお手の物、
魔影の騎士もハヤテやヒミコ達には逆らえず攻撃することは出来ない、
ハヤテ達は上空にゾンビ達を集める、周りのゾンビが次々と集まっていた。
ズグヮーーーーーーーーーーン!!!!!!!
ズグヮーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
ヒミコやハヤテ達は試し打ちとばかり魔法銃マヒアを撃ちまくっていた、
次々と蒸発するゾンビ達、だがゾンビ達はされるがままで反撃は一切なし、
自分達の上位種には本能的に逆らえないのだろう、さらに集まってきた。
こうして・・
ブラックデーモンの王城から・・
約5km程離れた空中に・・
巨大なゾンビ達の群れが出来ていた、例えるなら海中のイワシの群れの感じ、
各地を襲っていたゾンビ達は次々と集まりこの塊に入り球体の一部と化していた、
上空には巨大な球体が2つ出来て・・ゾンビ達はさらに集まっていた。
その頃・・
天聖族4人は2手に分かれレッドとブラックのデーモン王を探していた、
ドラゴンゾンビ達はヒミコ達の所に集まろうとしてリィブラ達を無視、
リィブラ達も戦う必要がないと判断してゾンビ達を無視していた。
肝心のデーモン王達は・・
ドラゴンゾンビ達が自分達から離れたので一安心、すぐに王城に戻った、
すぐさま兵たちに命令して各地を視察させ・・約7割の民衆が殺されていた、
これはレッドの大陸でも・・ほぼ同じ位の民衆が犠牲となっていた。
この報告を聞いた王達は落胆、さらに恐ろしい報告を受ける、それは・・
「ご報告します、南の地域にドラゴンゾンビ達が集結しています」
「東の地域でも集結しています、まるで島が浮いているようです」
王達は千里眼を用いてその方角を見る、そこには巨大なゾンビの群れ、
それが2つもある・・これらが攻めてくるとひとたまりもない・・
震えが止まらない王達、だがある異変に気付き兵に質問する。
「あ・・あの大群はなぜあそこに集結しているんだ?」
「はっ!見た感じ何らかの種族が集めているようです、詳細は不明です」
「ということは・・あのゾンビ達はある人物に操られているのか?」
「現時点その可能性は高いです、人影らしいのを見かけましたので・・」
次から次へと集まり巨大化していくゾンビの群れ、見るだけで気分が悪くなる、
気味悪いゾンビの群れ・・王達はなんとかあの群れを蹴散らせないか考えた、
だが自分達の兵器では到底無理、頭を抱え周りには絶望感が漂っていた。
同じ頃レッドデーモンの王も王城に戻り同じ報告を受けていた、落胆する王達、
だがここでレッドデーモン王の長女が疑問を抱き・・兵士に質問を繰り返す、
その返事はブラックと同じ、ここで長女はある考えを国王たちに進言する。
「ゾンビ達が集まっているのならチャンスです!一気に殲滅させましょう!」
「それはわかるが・・我らにはあの大群を蹴散らす武器はない」
「ええそれは承知しています、なのでブルーたちと同盟を結ぶのです」
天聖族は王と話し合うため透明化して気配を消して王城入口に来ていた、
リィブラとヘミニがレッドの王城へ、タウロとカプリコルニォはブラックの城、
4人はスマホメールでそれぞれの状況を伝えていた。
ちなみに王達の会話は透明化した際に王城に忍び込み盗聴器を仕掛けていた、
ついでとばかりに超小型カメラも仕掛け即座に王城を出て入口付近で聞いていた、
この映像や音声は各艦にも配信されていたので俺達も確認できた。
同じ頃ブラックの第一王子も似た発言をしていた、これを聞いた天聖族達、
これはチャンスだと考え各艦にいる俺達にある案を提案してきた。
それは・・
自分達が使者となり王達の依頼を受けてから・・ゾンビ達を撃滅する案だった、
俺達からしてみるとゾンビを撃滅する事には変わりないが・・その先がある、
単に撃滅する場合と依頼を受けた場合は雲泥の差があるからだ。
今迄の経緯から見て・・単に撃滅だけだと同盟話までは行かない場合もある、
ある程度の感謝はあるにせよ俺達を警戒する状況のままだと距離を置かれる、
そうなると以前と同じになる、危険が残ったままだと俺達も落ち着かない。
だが王達の依頼を受けての行動なら話は別、遠慮なく領地で蹴散らせる、
占領する気は無いが甚大な被害を受けた領地を無視できない、なので・・
今後ある程度の期間滞在すると同時に俺達への偏見を消したいからだ。
俺達への警戒心が高いレッドとブラックとは・・
このチャンスを逃すと同盟は永遠に結べない可能性が高い!
なので天聖族の案は渡りに船、同盟を結んでいるデーモン王達も了承、
俺達もリィブラ達の使者を了承、あとはリィブラ達に任せることにした、
この話を聞いたヒミコ達も了承、しばらくゾンビ達を留めることにした。
リィブラ達は透明化を解き・・
完全装備となり王城の入り口に移動、門番の兵士にこう告げる!
「私達はあなた方から要請を受けたデーモン王達の使者です!
大至急王達との面談を希望します、すぐに王達に伝えてください」
「わ・・わかりました・・」
兵たちは大慌てで王達に報告、状況が状況なので王達は即座に許可、
リィブラ達は兵に案内され王達の待つ来賓室に移動していた、尚・・
同じ頃タウロ達も同じ姿となりブラックの来賓室に案内されていた。
レッドとブラックの王達は・・
リィブラ達を見て・・
・・・
かすかな希望を抱いていた。




