西大陸の厄介者
西の大陸にはガルーダ・グリフォンはじめ様々な種族がいる、
山脈はガルーダが支配し平地や川などはグリフォンが支配している、
その配下に魔族・人間・エルフ・ドワーフ等がいる。
いるんだけど・・
ガルーダやグリフォンはこれらの種族には基本無視で規制なし、
食糧難など生死にかかわる問題は関わるがそれ以外は騒ぐ程度、
他の種族も騒ぐのは迷惑してるが配下の意識は低いらしい。
実際・・
配下(?)のエルフたちに複数の艦が譲渡されたがお構いなし、
どうかしたら自分たちと互角以上の力を渡されても知らん顔、
さすがに気になるのでその辺を尋ねてみた。
「別に気にしない、敵が来たら戦ってくれるのでありがたい」
カオスの返事。
「いいんじゃない?私たちの手間が省けるからね」
レイナの返事。
「上がこんなんですから各自訓練に励んでいます」
エマたちの切実な返事。
カオスやレイナたちはルーム島に専用の屋敷まで建てている、
その近くにはそれぞれの駅があり人間姿で列車の旅をしている、
まあ旅と言っても各駅に降りて食事ばかりしているが・・
・・・
むしろこれだからいいのかもしれない。
俺達はこの問題に深く関わることはタブーとした。
ところで?
エマたちはどうしてあんなに訓練に励んでいるんだろう?
ガルーダやグリフォンがいるのに強くなる必要あるのか?
この疑問を察したかのようにエマが答えてくれた。
「西の大陸から離れた島に厄介な敵がいるからです」
それは初耳だ。
「どんな敵なんですか?」
「サラマンダーです」
聞いた事のある名前だな。
「私たちをはじめ西の大陸の各種族は主に魔法で戦います、
ですがサラマンダーは魔法を吸収・反射する能力を持ってます、
空も飛べ大きな口で獲物をかみ砕く厄介な相手です」
「どんな姿をしてるんだ?」
エマがイラストを描いてくれた、すごく上手い。
大きさは5m位で顔はトカゲ似で蝙蝠っぽい羽根を持つ、
棘のある尻尾には毒があり同族以外には見境なく襲う奴だ、
他にも魔法を吸収する魔物はいるがそれらとは別格らしい。
「話は通じるの?」
「いえヒドラと同じく話が通じる相手ではありません、
ただ自分より強いと感じたらすぐ逃げたり連携して襲います」
ここでカオスが補足してくれた。
「サラマンダーは我たちの接近を感じるとすぐ逃げるんだ、
奴らは数も多く西の大陸は広いから正直手が回らないんだ、
そのため各種族は自立して戦う意識が根付いている」
そういうことだったのか・・
ちなみに・・
横にいたデーヴィドがエマの誘惑でデレデレになっている、
次の瞬間彼のお尻は赤く腫れ頭には大きなたんこぶが出来ていた、
誰がしたのかは・・俺の口からは言えないとあなたに伝えておく。
俺達にしてみたら・・
サラマンダーより遙かに怖い存在なのは確かだ。
さて・・
本来はドワーフも一緒に来て同盟関係を結びたかったらしい、
だが厄介なサラマンダーに村が頻繁に襲われているそうだ、
来れなかったのは村を守るため動けなかったためだ。
ドワーフとエルフ・魔族と人間は古くからの友好関係、
助けに行きたいがサラマンダーを攻撃する武器が無い、
そこで目をつけたのが俺達異世界人の武器だそうだ。
「俺たちの武器で倒せるのか?」
「はい、予想を遙かに超える攻撃力です、これなら倒せます、
木人形さんたちの訓練のおかげで艦の扱いも慣れました、
あとは魔族・人間と連携してドワーフの救援に向かいます」
「それで・・いつ出発するの?l
「明日の朝です、今現場で最終調整を行っています」
ドワーフの村は西の大陸の西側の海岸沿いにあるらしい、
そこから西の遠くにサラマンダーの住処となる島があるそうだ、
その島は魔力を吸引する結界があって他の種族は近づけない。
ちなみにルーム王国は西の大陸から見て東側の島になる、
エルフの住む森、魔族・人間の村は東側の海岸寄りにある。
ややこしいな。
だが?
そうなるとこちらから行くには西の大陸を横断する必要がある、
戦艦や空母は・・当り前だが陸地を移動することは出来ない。
「移動はどうするんだ?」
「ご心配なく、近くに戦艦でも通れる大きな川があります、ただ・・
幅が限られ艦は横並びではなく縦並びで移動するリスクはあります」
「大丈夫なのか?」
「ご心配なく!その時は航空隊と偵察隊を出し奇襲に備えます」
俺たちはその後も入念に話し合い戦力を振り分けた、
その結果ドワーフ救出に向かう艦は以下の通りとなった。
戦艦
扶桑・山城。
航空母艦
ホーネット・ヨークタウン。
重巡
鳥海・筑摩。
軽巡
那珂・能代・神通。
駆逐艦
白雲・暁・響。
正直少ないかな?
とも思ったがこちらにもヒドラやドラゴンの驚異がある、
これ以上戦力を分けるわけにもいかずこの数で落ち着いた、
エマに言わせると・・これでも多いようなので了承した。
「それと・・・」
「今回エリーナさんにも同行して頂きます」
この言葉に俺たちは驚き皆が一斉にエリーナを見る。
「私が志願したのよ、しばらく出かけるから留守お願いね」
大丈夫なのだろうか・・
「あら心配なの?私がいないと寂しいの?」
・・・
「そんなことはないさ!のんびり過ごせるよ!」
次の瞬間・・
俺の頭には大きなたんこぶが出来ていた。