技術者達の儚き夢とパピータ大魔王の苦悩
アレス達の軍港では数隻の駆逐艦と・・謎の大型船が停泊していた、
それは5角形の形をしていてそれぞれの角に大型クレーンが備わる、
なぜかブルーデーモンの技術者達はこれの製造に熱中していた。
あるライアンが海猿を参考にした独自の漫画を描いておりそれを見たらしい、
内容は海猿と似ているが・・海底に沈む船を見つけサルベージ船で引き上がる、
沈没船の中に宝物がありそれで主人公が大金持ちになった・・という内容だ!
・・・
なんか海猿軍団がタイタニックを引き上げたような感じで描かれていた、
だがそれがブルーデーモン達の刺激になったらしくサルベージ船を造り出す、
というのも・・このデーモンの世界では沈没船が無数にあるそうだ。
当初は輸送駆逐艦をメインに製造していたが難しい事もありまだ2隻のみ、
あまりの遅さにアレスが呆れ・・気分転換に好きなものを造れと言い出した、
そこで技術者達は考えた、その結果漫画で見た沈没船引き上げ船に目をつける。
なぜか技術者たちはこれに燃えた!これを製造すれば一攫千金も狙えるからだ!
この裏世界の船は石や木、土などの材料で造られ嵐が来るとすぐ沈没してたらしい、
中には大量の宝が極秘に運ばれていた船もあるらしく技術者たちは妄想にふけた。
サルベージ船が出来れば・・
その宝を引き上げれば・・
俺達は大金持ちになれ・・
憧れの豪邸生活や酒池肉林も夢ではない・・
・・・
完全に妄想に支配された技術者たちは我を忘れサルベージ船製造に熱中、
直接作者ライアンの家に押しかけ構造等を煩いぐらいに尋ねまくる、
さらにヘイゾウお兄さまの所にも直撃訪問、艦のクレーン構造を聞きまくる。
その甲斐あってかサルベージ船は驚く位高性能な形で産声をあげる、
早速沈没船を引き上げ・・の前に万全を期すために何かで試したい・・
その時転送の鏡の話を聞き・・これはチャンスだと早速立候補してきた。
ちなみにアレスは・・
「サルベージ船をこれだけ高性能に造れるなら早く駆逐艦造れよ!」
と陰で嘆いていてリン達が優しく慰めていた・・
・・・
これに関してはノーコメントで!
早速ブルーデーモン達が造ったサルベージ船は輸送重巡に牽引された、
このサルベージ船は3分割が可能で裏世界への門もかろうじて通れる、
こうしてサルベージ船はフェニックスの裏世界に運ばれ現地に到着した。
転送の鏡は大きいこともありサルベージ船に加えアシュラ達も潜航する、
さらに潜水艦も派遣、最悪の想定に備え使える設備や艦は全部使うことにした、
ちなみに浮遊石と重力石は海中だと効果が無いらしく引き上げ後に使う。
「準備完了!これより転送の鏡を引き上げます!」
なぜかリンが現場の総指揮官となり転送の鏡の引き上げ作業を指揮している、
サルベージ船からワイヤーが降ろされ潜水姿のアシュラ達がワイヤーを固定、
さらに浮き袋を多数展開、サルベージ船の負担を抑えるための配慮だ。
これに関しては現地の魔物達も協力、そのお礼にぽたぽた焼き煎餅を寄贈、
どのような影響があるかわからないので魔法は極力使わないことにしている、
そうして作業開始、転送の鏡はゆっくりと浮かび上がった。
途中岸壁を避けながら転送の鏡は浮き上がる、思ったより順調に作業は進む、
魔物達はこの辺りの海を熟知しているので問題を感じたらすぐ報告してきた、
そのお蔭もあり大きなトラブルも無く転送の鏡は海上に姿を現した!
歓喜する間もなく作業員たちは次の行動、転送の鏡に浮遊石を取りつけまくる、
そして魔力を注ぐ、すると転送の鏡はゆっくり浮き上がり空中を漂っている、
すぐさま輸送重巡が牽引、第10艦隊がまだ戻らないので代わりに牽引していた!
「や・・やったわ!」
大仕事を無事に済ませたリンは歓喜!彼女は皆に褒められ大喜びしていた、
転送の鏡は無事俺達の異世界に運ばれる、すぐさまゼウスとポセイドンが来た、
どうやら話し合いの末半分づつ調査するようで2人で仲良く聖域に運んでいた。
・・・
俺は何も知らない!関わらないようにした!
ちなみに・・
ブルーデーモンの技術者はサルベージの成功で歓喜しながら裏世界に帰る、
そして早速沈没船の引き揚げ、100隻を超える沈没船を引き上げ大歓喜!
だが・・どの船にも宝は無くガラクタばかりで技術者達は意気消沈していた。
というのも・・
俺達を知り関わりを持った者はデーモンだけではない、理性がわかる魔物達、
これらが沈没船の宝を俺達に売れば欲しい対価が貰えることを熟知している、
そのため沈没船の宝は巣に持ち帰り少しづつ使い冷凍マグロ等と交換していた。
・・・
「あ・・アレスさま・・しばらくお休み頂いてよろしいでしょうか?」
「ああいいぞ、ゆっくり休むがいい」
技術者たちは休暇を貰い家でしばらくの間ショックで寝込んでいた、
精魂込めて造ったサルベージ船が役に立たない・・まあ後で活用があった、
しかしこの時点では技術者たちはそれを知らないのでただ寝込んでいた。
さらに試練が続く、技術者の妻や恋人などが裏心を知り猛烈に怒った!
彼らは寝こみを起こされ猛烈な罵声を受けボコボコにされてしまった、
それ以降彼らは真面目に働き・・現実を受け止め生活している。
・・・
これに関してもノーコメントで!
目線を変えて・・
俺はボーとお茶を飲みながらスマホで自分の証券サイトを閲覧していた、
今月の振込額は450万ギル、俺の持ち株が45%なのでこの額らしい、
思ったよりも低かったが・・その分原材料と技術料等が嵩んでいるらしい。
確かにDwbの取引額は大きいが・・その分関連する出費も半端無い、
そのため株式会社SDも立ち上げ広範囲に収入を得ようと考えていた、
ちなみにこちらに関しては45万ギル、単価が低いのでこの額らしい。
・・・
まあ事前準備は激務だったが・・
今はほとんどをデーモンの執事たちが行うので俺は手間暇がほぼ無い、
そのことを考えるとこの額は適切だと言えるだろう、特に不満は無い、
ちなみに執事たちは多くても1人月約40万ギルの給料で運営している。
この仕事が楽しいらしく部品会社の従業員達も誇りをもって仕事している、
そのためか出来上がる商品はどれも高品質で展示するとすぐ売れてしまう、
顧客は欲しい品を量産化してほしいと訴えるが・・それは譲らなかった。
このように・・
Dwbに関しては製品の量産化以外問題は無かったが・・
SDに関しては問題が出た!
それは俺をモデルにしたパピータ大魔王が余りにもリアルすぎるらしい、
レイナ達は何かあると人形パピータ大魔王をボコボコにして鬱憤晴らし、
サユミ等は人形を添い寝相手にしているようでタケシ達ははぶてていた。
天使族等はパピータ大魔王を無理やり白くしてパピータ王と勝手に改名、
それを炊き枕にしたり夜の営みの練習相手にしたりと欲望の対象にした、
他にも・・なぜか各地の駅に置かれ乗客はゲン担ぎのように祈っている。
さらに各地の学校では校門の前に置いて守り神のように崇めている、
飲食店や会社などではミニの大魔王を神棚に置いて毎日拝んでいる、
驚くことに各艦の食堂に置かれ食中毒防止のキャラクターにされていた。
・・・
いや架空の大魔王だから・・
悪の化身で崇高の対象じゃないから・・
俺の意図を無視した皆の行動に戸惑う俺、なのでデザイン変更・・
「このままでいいんじゃない?」
「このままが絶対いいです!」
「子供達も慕ってますから替える必要は無いと思います」
・・・
悪の大魔王を慕ってどうするんだろう?
俺のこのツッコミは無視され・・
・・・
今日も大魔王は・・
皆から崇高の目線で拝まれていた。