意地の自爆呪文と神族が命ずる第7艦隊の出撃
仙嶽は武器をもたず両手を下げてただ立っている、これを見て・・
アリエスは漫画で見たカウンター攻撃だと即座に理解した、なので・・
逆を言うとこちらから猛攻撃しないとこの技は意味が無い・・
・・・
この内容は観客も知っている、だが仙嶽はあえてこの戦法で勝負に出る、
他ではアリエスに通用しない、見え見えだが彼はこの戦法に賭けたようだ、
それを見たアリエスは・・
・・・
「いいでしょう!あなたのその賭けに乗ります!」
アリエスはあえて仙嶽の策に乗る、これには観客も大拍手を送る、
まだ仙嶽達はアリエス達には及ばない、だが可能性があるならば賭ける、
その姿勢にアリエスも頷く、自分の夫が腰抜けだと困るからだ。
ハァァァァアアアアアアアア!!!!!
アリエスがゴールドソードを展開、剣は猛烈な輝きを放っている、
これに対して仙嶽は・・表情一つ変えずにただ立ち尽くす、
そしてアリエスが剣を構え・・剣を向け突進してきた!
だが・・
ズサ!!!!!
・・・
えっ?えっ?そんな・・
なんと仙嶽はかわさずに剣を脇腹にあえて突き刺し・・アリエスを捕まえる。
「これで・・この技が使えます!」
仙嶽はアリエスを羽交い絞め、そして自爆呪文を唱え即座に爆発させた!
ズガガガガガ~~~~~~~~ン!!!!
・・・
猛烈な土煙が辺りを包む、2人はどうなったのか・・・
・・・
アリエスは瞬時に空中に移動、自爆呪文の爆風よりも速く動いていた、
仙嶽は意識を失っている、即座にアリエスは地上に降り脇腹の剣を抜く、
そして治癒魔法、この素早い行動で仙嶽はなんとか息を吹き返す。
「えへへ・・俺の完敗です!」
仙嶽は意識が戻り敗北宣言、これにより勝者はアリエスとなる。
だがアリエスは・・喜ぶどころか猛烈に泣き出して仙嶽に抱きつく、
そして審判は・・・
「そこまで!勝者アリエス!」
ほとんど一瞬の出来事だったが・・仙嶽の勇気ある行動に皆拍手を送る、
カウンター攻撃だと偽り・・本当は相手を捕まえ即座に自爆して引き分け狙い、
カウンターを前面に出しアリエスを捕まえ自爆・・これが仙嶽の奥の手だった。
この仙嶽の行動には・・誰からも異論は出ず素直に皆健闘を称えた!
これにて決闘と言う名のプロポーズは終了、全員仲良くカップルとなる、
なぜか表彰式が始まり・・自身の身をパワーアップさせた翡翠が最優秀賞、
恋人・・いや妻となるビィルゴと抱き合いながら表彰を喜んでいた。
他にも全員の銅像を制作決定、試合会場の入り口近くに銅像を置くことにした、
これらは以降デート等の待ち合わせ場所となり観光名所の目玉となった、
これ以降この異世界には写真を撮ろうと各地から観光客が来るようになった。
そのころ・・
神族のアテナがヘイゾウお兄さまたちを尋ねる、ナターシャお姉さまもいた、
なにやら深刻な内容らしく様々な要望を伝えているようだ、それを聞いて・・
かなり悩むお姉さま達、第7艦隊でも要望に応えるのには相当難しいようだ。
というのも・・
要望は一つではない、そのうちの一つは長時間の移動を要するものだった、
1つだけでも大変なのに・・これと同じ位の要望がもう一つあるからだ、
さすがに外回り専門の第7艦隊でもこの2つの要望には対処が困難だった。
そこでアテナは他の艦である行動が出来ないかを尋ねる、これに対して・・
第7艦隊の特殊装備は大型艦だから可能であって他だと無理と伝えてる、
それを聞いたアテナは第7艦隊だけで2つの作戦を実行できるか尋ねた。
ヘイゾウお兄さまたちの返事は・・・
「下準備を徹底します、最初の作戦後5日あれば次も実行できます、
1つの要望に対しては遂行後他の艦隊が対応、それなら何とかなります」
「わかりました、それで宜しくお願いします」
アテナはヘイゾウお兄さまたちと握手、その後急ぎ聖域に戻った、
お兄さま達は即座に全部隊に指示、各地のライアンとジェニー達が動く、
武器弾薬に加え非常食はじめ様々な食糧や飲料関連などを集めまくった。
翌日・・
営みで忙しい俺と人間の異世界に向かったタケシとサユミ達以外が集められる、
俺達以外の第7艦隊の全乗組員が大会議室に集められアテナがある指示を出す、
その指示を聞いたエリーナ達は頷く、そして各艦に急ぎ乗り込んだ。
「旗艦武蔵出撃します!」
「こちら大和、武蔵に続いて出港します!」
「こちらモンタナ、大和の後に続きます!」
「こちら紀伊、モンタナに続き出撃します!」
「こちら信濃、紀伊の後に続きます!」
第7艦隊の5隻はルーム国を出てフェニックスの大陸に急ぎ出港した、
旗艦武蔵の艦長エリーナはアテナからの指示を実行するため出撃する、
他にデーヴィド、クリスティーナ、レイナとアデールも出撃していた。
大和と紀伊、信濃の艦長が不在のため大和はレイナ、紀伊はアデール、
そして信濃はクリスティーナが臨時艦長となり各艦の指揮をとる。
途中東の大陸、白の大陸と経由、ここでメディとアズミも大和に乗り込む、
さらに非常食や飲料水、果物等を追加で大量に積み込んだ、その量は半端ない、
倉庫はもちろんのこと各自の部屋の一部まで食糧を乗せこんでいる。
これでも足りないかもしれないので各自の収納魔法の中まで詰め込む、
おそらく乗組員だけなら1年は持つかもしれない膨大な量となる、
そして5隻は出港、翌日フェニックスの大陸に到着しここで1日休んだ。
猛スピードで来たのでエリーナはフェニックスの島で乗組員を休ませた、
鍛えてるとはいえ乗組員は疲れていたのでこの休みはとても喜ばれた、
そして翌日が来て出港、異世界に繋がる3つの穴の前までたどり着く。
ここからは未知の世界・・人間の異世界に入ることになる。
「各艦前進!最低速度で洞窟を通り抜けなさい!」
「了解!!!!」
第7艦隊5隻は時速15km位の速さで縦並びとなり洞窟を抜ける、
外は・・ただ水平線が見えるだけで雲一つない爽やかな天気だった、
すぐさま全艦レーダーで探知、小鳥も見逃さない徹底ぶりだった。
どうやらここは・・俺達の世界で例えると沖ノ鳥島のような場所らしい、
周りにはなにも無く後ろを振り向くと半径2km位の島があるだけ、
航路にも外れているようでレーダーには何も映らなかった。
ここで5隻は一旦停止、幹部が武蔵に集まり緊急会議、この先どうするか・・
皆が意見を出し合い・・主な内容な以下の通り。
● 5隻がそれぞれ分散し陸地を探し上陸して偵察する。
● 5隻が同時方向に向かい陸地を探し上陸して偵察する。
● 2隻と3隻に分かれ陸地を探し上陸して偵察する。
分散して陸地を探す案はアデールは推奨したがエリーナが猛反対、
万一トラブルがあったらその艦は戻れない可能性が高いからだ、
効率はいいが人工衛星が無いこの異世界ではリスクが高すぎた。
次に同時進行、これはアズミが絶対これで行くべきだと皆を説得する、
効率は悪いが5隻あればどれかがトラブルが出ても牽引出来るからだ。
最後に2隻3隻での分散、これは中途半端だとレイナが反対した、
まだこの異世界の状況がわからないので5隻は離さない方がいいと訴える、
なので5隻同時行動に決まったが・・
・・・
どの方向に行くべきだろうか?
レーダーで調べたが半径500kmの範囲には海しか感知しなかった、
あまり強力に電波を放出すると何らかの形で見つかる可能性があるから自粛、
出撃前に預かった地図を見たが・・なにも無い海上では全然役に立たなかった。
まだこれが写真なら太陽の向きや気流等で予測は出来たかもしれない・・
だが地図は冒険者たちが思い浮かべたものを描いただけで背景も無かった、
情報が途切れ次なる行動が思い浮かばない・・
・・・
・・・
バシャ~~~~ン!
何かが飛び跳ねる音がした、皆が窓に目を向けるとイルカが泳いでいた、
これを見たメディが急ぎ憑依モンスターを展開、母親を呼び出した、
メディはある程度の動物と話す事が出来る・・母親はそれ以上だった。
「私にお任せください、あのイルカに尋ねてみます!」
ツインメデューサーは急ぎイルカたちに向かい何やら会話を始めた、
イルカたちは当初戸惑ったがメデューサが魚を与えたのでご機嫌となる、
そして情報提供、ここからだと東と南にそれぞれ大陸があるそうだ。
母親はさらに深く尋ねる、サユミ達がいるクレール王国の方向を尋ねる、
それは南方向だとイルカたちは教えてくれた、さらに嬉しいサプライズ、
さっきの魚をたくさんくれたら案内すると言ってくれた。
これを聞いたエリーナ達は・・
・・・
「南に向かうわよ!!!!!!!!!!」
第7艦隊5隻はすぐさま南に向かって動き出した。