多妻を受け入れるエリーナ姉妹の苦渋の気持ち
聖堂で待つ俺の傍に来た最初の花嫁は・・天聖族のリィブラだった、
彼女は頬を赤らめながら俺と目線を合わせ静かに礼、俺もつられる、
そしてリィブラは俺と手を組み聖堂に身体と目線を向ける。
俺はドキドキが止まらない、婚姻届には名前があったが本当に来るとは・・
彼女の言動からしてキャンセルもあるかと思い順番は後だと考えていた、
だが予想を大きく覆す最初の花嫁、俺は未だに信じられなかった。
それを察知したリィブラが俺の耳元で呟く・・
「コウさん御安心ください、結婚に関しては私は本気ですから・・
だけど・・今までの行いに関しては許すことは出来ません、なので・・
今後私を慰めるため特に貢いでくださいね、ウフフフフフ・・・」
・・・
ある意味一番ヤバい花嫁かもしれない・・
俺は即座に逃げようと考えたが・・しっかりリィブラが捕まえていた。
なぜか聖堂の壇上にはアルテミスとアフロディーテが神官姿で控える、
俺達は2人に向かって礼、アルテミスが神官姿で問いかける!
「コウよ!リィブラを生涯の妻とすることを誓いますか?」
俺は拒否しようと考えたが・・リィブラにお尻をつねられ観念した。
「はい・・誓います・・」
「リィブラよ!コウを生涯の夫とすることを誓いますか?」
こちらは俺と真反対で爽やかな顔で返事!
「はい!誓います!」
「では指輪を・・」
俺はリィブラ用に造った指輪とオルゴール、それと彼女のミニチュア、
それには俺が独自に考えたウエディングドレスを着せている、だが・・
自分の美しさはこんなものではないと・・眼で俺に訴えてる。
・・・
リィブラは不機嫌、なので後で散々言われ彼女の理想形を作る羽目となる、
だが他の花嫁に関しては好評で感激の涙を流していた。
・・・
先が思いやられる・・
それはさておき・・
俺は指輪をリィブラの左手の薬指にはめて婚約成立、夫婦となる、
だが今回この場で誓いのキスはしない、これは事前に聞いている、
数が多いこともあり俺の唇が腫れるので他の花嫁がそれを嫌がった。
そのため・・
誓いのキスは後で営みの前に行い撮影、身内等に渡すようになっている。
・・・
俺はこの後どうなるのだろう?
そんな俺の心境を無視してアルテミスは結婚成立の宣言をする、
次の瞬間他の12天聖が駆けつけ彼女を胴上げ、その後記念撮影となる、
俺とのツーショットは1枚のみ、その後はリィブラだけ撮影されていた。
俺は聖堂に戻り・・2人目の花嫁を待つこととなる。
次の花嫁はタウロ、その次はカプリコルニォが同じ流れで婚約成立、
その後神族は聖域に戻る、それ以降はルーム国王が聖堂の祭壇に立った。
式を優先させるため誓いの儀式以外はその後の営み以前に行うそうだ、
俺に拒否権はない、なのでメイドさん達の指示に従い式を進めるだけに集中、
その後は天使族やディアーナ達が現れ次々と誓いを行い時間が過ぎていく。
まず天使族はベアトリスが先陣を切りその後アリエノール、シャーロット、
レティシア、ミア、サマンヌ、ホリー、アリーゼ、カレン、アヤカ、リサ、
ショウコ、ラン、そしてソネットの順で現れ俺と婚約の誓いを交わす。
次にシュメール、ディアーナ、サナ、サキ、セーラー、サーラ、エマツー、
デーモン達の親族の女性が人間姿で現れ俺と婚約の誓いを交わした、
サナとサキは政略的な感じ・・俺を見つめ静かに頷いたので受け入れた。
サナとサキは自分達に加えアシュラ達の代表として俺との婚約を望んでいた。
だが・・
あくまでもそれは表向きの理由、本心は憎き神を倒した俺に一目惚れ、
絶望から自分達を救って・・共存を望む俺の考えに感激したこともある、
この事はアシュラにも伝えてある、アシュラは理解し代表として後押しした。
中盤辺りになるとレイミが現れた、俺への想いは消えていなかったようだ、
俺はもうレイミを身内とは見ずに・・1人の女性として見ることにした、
兄のショウもこの決断を支持、アズミ達と人生・・いや竜生を共にしていく。
式は進み・・
メイドさんや一般女性達と儀式を済ませ婚約成立、喜びで涙を流す者もいた、
特に一般女性は・・一度は諦めたが俺への想いは捨てきれなかったようだ、
そのため即婚約届にサイン、ちなみにシングルマザーがほとんどだった。
ちなみにメイドさん達の中には天使族部下や配下、エルフ、魔族や人間等多様、
一部には人間と交配できない種族・・例えばケンタウルスやラミア等もいる、
だが俺との婚約を強く望んでいたので・・それは割り切って俺は受け入れた。
ドライアドやミノタウルス、アルラウネ等特殊系は営みは出来るが子は産めない、
だが俺はそれでもいいと受け入れた、これを断ると種族の差別が出来るからだ、
子供に関しては養子を貰う事で話は纏まる、彼女らは涙を流して歓喜していた。
一般希望者に関しては事前にメイドさんが徹底的に調査済、問題は無かった、
一度も会ったことが無い女性が次々登場して俺は正直驚きを隠せなかった、
だが嫌悪感など直感的な抵抗は無かった、本気の顔に俺も本気で受け止めた。
3時間ほど経過した、最後の花嫁が登場・・
・・・
俺は崩れそうになったがメイドさんが受け止めた。
最後の花嫁は・・以前俺が断ったフェニックスの女王ユイだった、
容姿は綺麗で優秀なのだが・・なんか裏心満載で横着心が溢れている、
その彼女が俺の花嫁になろうと決めたきっかけは・・ソニアだった。
ソニアは普段チャイナ服のような服を着てベットに寝ころびブドウをあ~ん!
セレブのような気分で人生・・いや竜生を満喫してる姿を見てユイは悟った、
自分も俺の妻になればこのような生活が満喫できる・・迷いはなかった。
意気消沈している俺の腕を組み結婚を宣言するユイな満面の笑みだった、
だが後日彼女は予想外の忙しさに追われる、それはメイドさん達が事前に調査、
性格は問題あるが仕事への姿勢は優秀なので・・彼女は各地で働かされる。
・・・
俺はこの辺に関してはメイドさん達に丸投げした。
式が済み俺は一旦休憩、花嫁たちは写真撮影やインタビューなどで大忙し、
これは結婚式が人生で最も重要で最大のイベントだと宣伝するためでもある、
特に俺がシングルマザーを結婚相手に選んだことも大きく取り上げている。
これを推奨したのが・・意外にもエリーナとクリスティーナだった。
彼女達は日本人ではないが・・
かつては俺と同じ世界にいたアメリカ系スペイン人のハーフの姉妹、
そのため俺と同じように一夫一妻制が当たり前のように生きてきた、
だがこの異世界で目にした現実・・絶滅寸前のルーム国を見てきた。
目の前で次々と息絶える仲間達、そのためガルーダ達をものすごく憎んだ、
だが時が過ぎ俺達が召喚されガルーダとも和解、その時に知った真実、
ガルーダ達も・・ルーム国にある天然石を確保しないと絶滅寸前だった。
これを聞いた彼女達は・・ある考えに辿りつく。
もし・・
ガルーダ達とルーム国が親族関係だったら・・
お互いに苦しむ必要は無かったのではないかと・・
その後エルフのエマと出会い・・彼女が俺との結婚を強く望んでいた、
だが当時のエリーナはまだ俺と結婚するまで気持ちは固まっていなかった、
そこにソニアが加わり・・こちらも俺との婚約を強く望んでいた。
これにはエリーナも驚いた、自分達の感覚だと相手がいる男性は避ける・・
端から見ると俺とエリーナは恋人のように見えたらしい、本人も意識していた、
だが彼女達はそんなことお構いなしと俺に迫った、そしてエリーナに進言!
まずエマが語った!
「エリーナさん!この異世界はあなたの世界より遙かに弱肉強食、
そして早く行動して制した者がその地位を掴めるのよ!」
そしてソニア!
「まずは自分が最優先、欲するものは先に手を付けないと取られるわ」
この言葉を聞いたエリーナは・・驚きを隠せなかった。
当時の俺は・・
また元の世界に戻るかもしれないので女性関係はタブーとしていた、
妻子が出来た後に俺だけが戻るかもしれない・・それが一番怖かった、
そのためエマたちがアプローチしてきても俺は距離を取っていた。
エリーナは同じ世界にいた自分に俺がプロポーズすると秘かに期待していた、
だが俺が上記の理由で距離を取っていたことに焦りを感じた、そして決断する、
意図に反する強引な方法を使ってでも自分に俺を引き寄せなければ・・
特殊な力を持つ俺コウを求める女性が次々増える・・
この異世界は特に女性が多い・・
皆が先に進み自分は間違いなく取り残される・・
・・・
本意ではないが・・今思うとこれでよかったと割り切れたようだ、
それはクリスティーナも同じ、多妻を受け入れ皆と共存を選んだ。
今彼女は俺との子供・・ルアを抱いてこの結婚式を見守っている、
クリスティーナも同じ気持ちでカオルを抱き俺の式を見守っている、
分かり合える者たちと戦うより親族となり共に生きていく・・
エリーナとクリスティーナは・・
穏やかな心で結婚式を見つめていた。