激戦の中の信頼
上空を見ると黒くウヨウヨした物体が無数に飛んでいる、
正直見ていて気持ち悪い、あれに絡まれるとマジで危険だ、
射程内に入ったら一気に叩き落とす!。
射程内に入った!
「全艦・全機・全ガルーダ・全グリフォン攻撃開始!」
「了解!」
皆が気合いを入れ攻撃を始める、すぐに大半のヒドラは落ちた、
次々と急所を狙われ砕けるヒドラ、これなら楽勝かもしれない、
と思ったが・・背筋が凍りそうな殺気が身体をよぎる。
「皆気をつけろ!嫌な予感がする」
この殺気を皆が感じたようで緊張が高まる。
ヒドラの色が変わる、今までは黒かったが赤く染まってきた、
どうやら怒ったようだ、体を広げ触手から魔法を乱発してきた。
その威力はすざましく個々が上級魔法レベルの破壊力だ。
ズガーン!
駆逐艦磯風と浜風が大破した、魔法の盾の限界を超えたらしい、
すぐに撤退させ代わりに雪風と島風がフォローに入る、
被弾した2隻は急ぎ退却し後方にいる空母艦隊が応急処置した。
他にも青葉・衣笠・大井・龍田・秋月・陽炎が被弾した、
これらは走行・攻撃がやや落ちたが奮起してその場を守る。
「これでも食らえ~~!」
双子の特級ガルーダが磯風と浜風を攻撃したヒドラに集中攻撃、
2人は特大の光の球を放つ、直撃を受けたヒドラは跡形もなく消滅、
改めて思うがスゴイ威力だ、味方でほんとよかったよ。
左前方にいる長門と陸奥が旋回しながら対空砲火を繰り返す、
はじめての実戦とは思えないほど2隻の連携は見事だった、
ヒドラは近づく間もなく急所を貫かれ次々と堕ちてゆく。
右側ではオクラホマを中心に各艦と円陣組みながら対空砲火、
その上空では航空機がミサイルを発射後すぐに離脱していた、
後方にいる各母艦に戻りミサイルを再装填して出撃を繰り返す。
絡まれたら危険になるのは皆が熟知しているようで・・
近づく触手をガルーダとグリフォンが魔法で焼き払う、
彼らに攻撃するヒドラを各艦と航空機が各種砲撃で援護、
攻撃を受け落ちたガルーダ達をすぐ救助し回復魔法をかける。
重傷者が出た時は転移魔法を使い後陣にいる航空母艦に送る、
治療後出陣可能な者はすぐに飛び立ち各艦の援護に向かう。
「誰一人死なせない」
これを合言葉のように皆が奮起しヒドラを次々と落としていく、
驚いた事にルーム王国の少年少女たちは皆眠りを拒否していた、
それぞれが銃を持ち2人一組でバズーカを使い攻撃をしていた。
戦場の恐怖で皆涙を流し震えてたが銃はヒドラを狙っていた、
この場の恐怖よりも今までの無力が余程悔しかったんだろう、
悲鳴を押し殺して銃を的確に撃ちまくる姿は頼もしかった。
その上から・・
ヒドラが艦にむかって攻撃してきた、対空砲火で応戦するが・・
それをかいくぐり上空から少女たちに襲いかかる。
「いやあああああああああああ」
襲われるその瞬間ガルーダがヒドラを蹴り艦から遠ざけた、
次の瞬間上級魔法を放ちヒドラを焼き尽くした。
「大丈夫か?」
「あ・・ありがとう」
涙を拭い笑顔でガルーダに改めてお礼を言う。
「助けてくれて本当にありがとう!愛しているわ!」
この言葉を聞いたガルーダが笑みを浮かべ返答する。
「我もだ、落ち着いたら一緒に食事でもしよう!」
「うん!約束よ!」
こんな言葉のやりとりが各艦で繰り広げられていた。
今迄争っていたガルーダとグリフォンに敬意を払う少年少女、
ガルーダとグリフォンも我が子を守るように彼ら彼女らを守る、
隙のない見事な連携で次々とヒドラを駆逐していった。
数は多いが単調な攻撃ばかりのヒドラに皆は慣れてきた、
攻撃パターンを読み取り先手をうって攻撃を仕掛ける、
魔法攻撃さえ気をつければ距離を取りながら退治できた。
徐々にヒドラの数が減り目で数えられるほど少なくなった、
その奥にいるのがボスらしい、一匹だけ黄色っぽい色している、
不利と見たのか残りを引き連れ逃げていく。
「深追いはするな!距離を保つんだ」
皆は了解とばかりに距離を保ちながら様子を見る。
すると・・
逃げた先から黒いドラゴン?らしき生き物が複数飛んできた、
それらが逃げていたヒドラのボスたちに一斉に襲いかかる、
まるで敵討ちのようにヒドラ達を引き千切り殲滅させた。
俺達は謎の生物と距離を置きながら厳戒態勢に入る、
すると後方から特級ガルーダ・グリフォン・大和達が来た、
戦闘力ではこちらが有利になったが・・
「あの生き物はなんなんだ?」
「あれは・・ワイバーンです!」
南の大陸にいる奴だな・・
「話は通じるのか?」
「たぶん大丈夫でしょう、彼らも人間に変化できますから」
するとワイバーンの方からテレパシーのようなものが頭に響く。
「攻撃はしないでくれ、君たちと話がしたい」
「わかった、場所を用意するからしばらく待ってほしい」
「了解した」
俺は急ぎ大鳳をこちらに呼び寄せ話し合いの準備をした。