変幻自在の人形盾と八つ当たりで落ち込むコウ
リィブラとタナトス級は高速で剣を交え衝突する時間が続く、
お互い相当な実力の持ち主で現時点互角、これには皆驚く、
というのも・・このタナトス級は他とは比較にならない位強い。
もしリィブラ以外だと・・間違いなく負けていただろう、
特にレイミが驚く、もし自分が相手していたら完全に負けていた、
他の12天聖も同様に見る、よくて互角と見ている。
さすがに破壊神の先鋒隊を任されていただけのことはある、
リィブラもこれほどの強さは予想外らしく顔に焦りが見えていた、
彼女も・・全力を出さないとやられると感じたようだ。
対するタナトス級は・・
「驚いたな・・まさか俺がここまで抑えられるとは・・」
驚きを隠せない、自分ならリィブラ達全員を押さえこめると疑わなかった、
確かに・・今までのリィブラ達だと12人総がかりでないと勝てなかった、
だが俺が作った武器やアフロディーテの特訓で全員強くなっている。
「時間が無いな・・妹たちが来る前に決着をつける!」
タナトス級は焦っていた、と言うのも妹たち先般侵略に失敗している、
自分がそれを補う成果を出さないと妹たちは破壊神に消されるだろう、
それは絶対避けたい、まるで本当の兄のようにフレイ達を心配していた。
それをなんとなく感じたリィブラ、これは短期決戦になると確信した、
ならば自分もその覚悟で・・今ある全戦力を集結して攻撃を仕掛ける、
即座にレッドアイズ・デュナメスとシルバーアイズを展開して取り込んだ!
すると・・
キィ~~~~~~~~~~ン!!!!!!!!!!!!
リィブラは憑依モンスター達と融合、光り輝く黄金の騎士に変貌した、
その右手にはゴールドとエンジェルソードが融合した剣を握っている、
左手には・・俺が造った変幻自在の人形内蔵の盾が備わっていた。
これは俺が・・か●くりサーカスの糸で動く人形を参考に作成、
見た目はゼータガ●ダムのような盾の中央内部に人形を内蔵している、
この人形は魔法で拡大、縮小でき30センチ~2m位の大きさになる。
これに関しては・・
敵が人質などを取っていた時・・こちらは手を出せない場合が多い、
敵がそれに付け込み攻撃してきた時に展開、即座に人質を奪還する、
そうして敵が怯んだ時に攻撃を仕掛け倒すことを前提としている。
ある意味奇襲用の盾ではあるが・・見た目は長い盾にしか見えない、
だが相当扱いが難しい、戦いながら人形を操作する必要があるからだ、
その人形は・・基本クラゲのような軟体、状況に応じて変化する。
例えば子供を人質にされた時は・・抱き抱えるため人間形態に変身、
穴に敵が逃げ込んだ時は犬のように4つ足形態となり敵を攻撃する、
長い盾にしたのは人形を3体まで収納するスペースを確保するため。
これは試作品のため一つしか作成していない、それを俺は飾っていた、
先般の必殺技騒ぎの時リィブラはぬいぐるみの他にこれに目をつける、
俺は抵抗したが・・リィブラは容赦なくこの盾を俺から奪った。
ここでリィブラがテレパシーで俺に訴えてきた!
「人聞きの悪いことを言わないでください!コウさんが悪いのですよ!
私達の唇を奪おうとした罰です!むしろ安い位ですよ!!!」
・・・
はい・・すみませんでした!
「わかればいいのです!」
・・・
なぜかリィブラには頭が上がらない俺、エリーナと同じ感じだ。
それはさておき・・
極度にパワーアップしたリィブラを見たタナトス級、気合いを入れる。
「驚いたな・・まさかこれだけの力とは・・」
目が輝くタナトス級、次の瞬間から言葉は消え剣を振り構える、
そして魔法展開、複数の魔法・・炎・氷・雷撃・風・・
これらが混合して巨大な力となる、そして・・
バシィ~~~~~~~~ン!!!!!!
言葉を発する間もなく2人は激突、その衝撃は大地も揺るがす、
超高速モードの2人は剣を交え・・猛烈な攻撃を仕掛けていく、
それが5分ほど続く、他のメンバーはただ見ているだけだった。
「隙あり!」
タナトス級が背中を取りリィブラに攻撃、即座に盾で攻撃を抑える。
「これを待っていたのよ!」
「なんだと?」
「人形展開!自爆装置を取り除きなさい!」
変幻自在の盾から人形が3体展開、即座に糸状に変形していく、
そして瞬時にタナトス級の身体に入る、驚き距離を取るタナトス級、
身体の中に糸が入る・・これだと攻撃できない・・
「う・・ガガガガガ・・」
体勢を立て直したリィブラ、だがタナトス級に攻撃は仕掛けない、
彼女は・・前の大戦の時敵が自爆していく光景を目撃していた、
おそらくこのタナトス級も自爆装置を内蔵されているはず・・
この予感は当たった!
糸に変形した人形達が・・
タナトス級の身体に埋め込まれた自爆装置を見つけ即座に取り出す、
そして急ぎ離れ・・他の糸が刺激を与え自爆装置を起動させた、
その後・・
ズガガガガガガガガガガ~~~~~~ン!!!!
自爆装置が大爆発、3体の人形も巻き添えに自爆装置は消滅した、
驚くタナトス級、次の瞬間リィブラが剣を喉元に向ける・・
「どう?もう戦う必要は無いわ!それともまだ戦う?」
これに対してタナトス級は・・
「・・フフ・・俺の負けだ!好きにするがいい」
「そう・・じゃあ私達の仲間になりなさい!」
「そ・・そんなことでいいのか?」
「ええもちろん!歓迎するわ!」
タナトス級は笑う・・完全敗北を認めたようだ。
次の瞬間フレイとフレイアが一目散に飛んできた、そして・・
「お・・お兄ちゃん・・」
「あ・・会いたかった~~~~~!!」
まるで子供が親を見つけたように飛んできて抱きつく2人、
それを優しく受け止めるタナトス級、彼も妹の無事を喜んだ、
次の瞬間!なんとフレイアがタナトス級に猛烈なキス!
ブッチュ~~~~~~~~~~~!!!
完全に意表を突かれたタナトス級、急ぎフレイアを離すが・・
「ずるいわよ!あたしが最初に狙っていたのに~~!!」
ブッチュ~~~~~~~~~~~!!!
フレイも負けじと猛烈なキス、タナトス級は赤面し離そうとする・・
「なにしてるのよ!私達を差し置いて~~~~!!!」
下で見ていたオルクス級の女性達が猛烈に怒り飛んできた、
そして次々と抱きつき猛烈なキスを繰り返していた・・
タナトス級はタジタジ・・なぜキスされるのかわからなかった。
実は・・
このタナトス級は各地の食料を・・なぜか沢山持っていた、
それを自分の収納魔法で隠し・・女性達に秘かに与えていた、
当然それは無害の食べ物、これを貰った女性陣は感激していた。
というのも・・
彼女達は侵略された後こき使われ食事もろくに食べてなかった、
破壊神からの食べ物は自分の同胞達・・さすがに食べられない、
そのため飢えていた、それを見かねたこのタナトス級は・・
秘かに隠していた女性陣達の食べ物をこっそり分け与えていた、
彼がこれが出来たのは先鋒隊だから、先に食料を奪っていたのだ、
そうして・・破壊神の眼の届かない所で分け与えていたのだ。
彼女達にしてみたら・・
命の恩人に等しい存在、唯一信用できる存在だったのだ、
それはフレイとフレイアも同様、自分達を庇ってくれた大切な存在、
いつしかそれが恋に変わり・・抑えきれなかった。
「おにいさま~~~だいすき~~!」
妹たちに告白されたタナトス級は・・赤面で・・
「わ・・わかったわかった!俺もお前たちが大好きだ!」
「やった~~~~~!」
妹たちは満面の笑顔でタナトス級に抱きついていた・・
・・・
リィブラ達は呆れて見ていた、もう敵ではないので攻撃はしない・・
・・・
なぜか知らないが・・リィブラは怒りが込み上げてきた。
・・・
というのも・・
・・・
先般の夢の中で・・俺に猛烈な口つけをされたことを思い出す、
それなのに・・ほとんど放置されたことに怒りを覚えるリィブラ、
目の前のタナトス級は優しく受け入れているのに・・
・・・
リィブラはスマホを取り出し電話、相手は俺・・
「はい!リィブラか?どうしたんだ?」
「・・・」
「コウさんの馬鹿~~~大っ嫌い!!!!!!!」
ガチャン!
・・・
リィブラからの罵声を突然受けた俺は・・
・・・
大和の艦橋の隅で・・
・・・
小石を拾いながら壁に投げつけ・・いじけていた。