南からの驚異
各大陸を偵察しているグリフォンから緊急連絡が入る、
南の大陸からある魔物が複数こちらに向かい飛んでいるらしい、
急ぎ各種族の代表が航空母艦大鳳に集まった。
「飛んでくる魔物はなんなのですか?」
「巨大ヒドラです」
「それとは会話は可能ですか?」
「いえ、あいつらは会話は通じない獰猛な生き物です、
目につく物には容赦なく攻撃してきます」
戦うしかない相手のようだな・・
「現在ヒドラたちはルーム王国に一直線に向かっています、
ただあいつらは飛ぶ速度が遅いのでここに来るのは2日後、
明後日の昼間あたりに島付近に来ると思います。
「ヒドラの詳しい生態を教えてください」
この世界のヒドラは元いた世界のヒドラに似てる無脊椎動物、
例えるならイソギンチャクの巨大版と言ったところか・・
肉を好み数多い触手で相手に吸い付き骨まで食らうそうだ」
・・・
接近戦は危険だな・・
グリフォン達も昔戦ったことがあるようで嫌な顔をしている、
本体奥深くにある原核を破壊しない限り何度でも分離・再生する、
絡まれると厄介なので遠距離魔法攻撃で蹴散らしたらしい。
ただ・・
中途半端な魔法だと逆に吸い取られさらに巨大化するらしい、
そのため上級魔法しか使えず戦場に出れるものは限られた、
今迄は数が少なかったのでそれでも十分に倒せたそうだ。
「今回はどの位来そうですか?」
「約1000匹以上と見ています」
予想以上の数に皆が驚いた。
「先ほども言いましたが相手が相手なので接近戦は危険です、
遠距離から攻撃して・・一撃離脱の戦法が無難かと思います」
「わかりました、各艦にはそのように伝えます」
「ところで・・その魔物はどうしてこっちに来るの?」
エリーナが偵察グリフォンに尋ねる。
「遠目ではありますが・・おそらく食糧不足だと思います、
南の大陸の半分はヒドラが掌握し他の種族を駆逐しています、
ほとんどの生物を食べ尽くしたのでこちらに目を向けたかと」
「気持ち悪い話ね」
「先ほども言いましたが中途半端な攻撃だと逆に分離し増えます、
それに加え各種中級魔法を乱発するので油断ならぬ相手です、
拡散や魔法弾より破壊力のある装甲弾使用を進言します」
「わかりました、急ぎ準備します」
「お願いします」
俺たちは急ぎ各部隊に戻り対策を講じた。
「今出撃可能な艦はどのくらいある?」
「こちらです」
戦艦
長門・陸奥・伊勢・日向・アリゾナ・オクラホマ。
航空母艦
赤城・加賀・瑞鶴・翔鶴・大鳳・千歳・千代田・
鳳翔・龍驤・雲龍・ホーネット・レキシントン・ヨークタウン。
重巡洋艦
加古・青葉・衣笠・妙高・那智・足柄・羽黒・最上。
軽巡洋艦
天龍・龍田・球磨・多摩・北上・大井・長良・名取・
矢矧・酒匂。
駆逐艦
秋月・霜月・初月・陽炎・雪風・磯風・浜風・島風・
睦月・如月・弥生・暁・響。
潜水艦
伊176型2隻・伊400型2隻。
「大和と古鷹・利根・阿賀野・雷・電は西の大陸を出ました、
現在こちらに向かっていますが・・ギリギリかと」
「武蔵はまだ使えないのか?」
「現在最終段階に入っていますが・・こちらは相当厳しいです」
「他の艦は間に合いそうなのか?」
「金剛・榛名・比叡・霧島が微妙な所です、他は無理です、
航空機を優先したのでこれ以上手が回りませんでした」
「わかった、出来るだけ急いでくれたまえ」
「わかりました」
報告を受けたルーム国の兵士及び少年少女達に気合いが入る、
急ぎ各軍艦に乗り込み自己防衛・射撃訓練を入念に行う、
具体的には艦に取りつかれた場合の対応・白兵戦への備えだ。
「手がぶれてるぞ!銃はこう身構えて撃つんだ!」
「はい!」
「手榴弾はこのピンを抜いてから・・今抜くな~~」
木人形が急ぎ手榴弾を艦の外に投げる。
ドッカーン!
・・・
「10秒たったら爆発するんだ!慎重に扱え!わかったか!」
「はい・・わかりました・・気をつけます」
「無理に戦おうとするな、あくまで逃げるための威嚇攻撃だ、
お前たちが死ぬと我らも動けなくなる、なんとしても生きるんだ」
「わかりました!」
戦艦長門・陸奥を使い艦砲射撃訓練を指揮するリシャール達、
万一木人形が行動不能になった場合に備え主砲操作を習っている。
「魔物の急所はあそこだ、少しずれてるぞ!」
「はい!」
「陸奥の主砲なら多少ずれても相手を倒せる、自信を持て!」
「はい!」
「俺たちは絶対死んではいけない、木人形の為にも生きるんだ」
「はい!」
当日・・・
ヒドラがくるであろう島の南洋上に各艦が集結した、
旗艦は戦艦アリゾナとし俺コウはそこで指揮をとる。
他にも特級ガルーダが2人、双子のガルーダがいた、
彼女たちはそれぞれ伊勢・日向の後部甲板の上で待機している。
「私たちも戦うわ」
とても頼もしい。
他にも上級ガルーダ、上級グリフォン、その他も集まった、
彼らは空母から飛び立ち連携して上級魔法を放つ準備をしている、
西の大陸にいる特級ガルーダとグリフォンも向かってるそうだ。
「全戦闘機発進せよ!」
航空母艦の内部に収納されてた戦闘機が出て離陸する、
各戦闘機には装甲弾に加え空対空ミサイルも備えてる、
プロペラ機でも発射できるように改良されたミサイルだ。
その他にも各艦ロケットランチャーを備えてる、
これには追尾装置を加えており目標に目がけて飛ぶ、
相手の急所がわかれば一撃必殺の新兵器だ。
一時間ほど経った時・・
南の空が曇ってきた、ヒドラが数を増やしこちらに飛んでくる。
「全艦主砲発射用意!」
各艦の主砲が上空を向いた。