かつての司令官達への期待と難題に挑む各種族
北の大陸・・ここはかつてスノードラゴン達が住んでいた場所、
この極寒の地は外部からの生き物を拒む謎の大陸だったが・・
レイナのアイデアが功を奏しソニア達とはじめて出会った場所だ。
現在ここの氷の中はリゾート地として各種族が暇見ては訪れている、
交代でメイドさん達が駐在してるが・・今は全員他の大陸へ避難、
出入口は巨大な氷で塞ぎ・・完全に封印している。
北の大陸から20kmほど離れた沖合いに破壊神の転移魔法が展開、
約100万の魔物達が現れ・・北の大陸に向かって飛んできている、
これを第3・第4艦隊が迎え撃つ!
第3艦隊の戦艦伊勢・日向、航空母艦大鳳・千歳・千代田・瑞鳳、
重巡古鷹・加古・青葉、軽巡北上・大井・長良・名取、駆逐艦暁、
響・雷・電が北の大陸から見て右側に待機して砲撃に備える。
左側には第4艦隊戦艦金剛・比叡、航空母艦翔鶴・瑞鶴・天城・葛城、
重巡羽黒・高雄・愛宕・摩耶・鳥海、軽巡阿賀野・五十鈴・矢矧・酒匂、
駆逐艦秋月・霜月・初月・陽炎・雪風・磯風・浜風・島風が待機。
戦艦4、空母8、重巡8、軽巡8、駆逐艦12の大艦隊だ、
さらに海中には伊400型3隻と無数のクラーケンも控える、
彼らは戦闘で海に沈んだサナの同胞達を救助するのが役割だ。
8隻の空母、さらに航空戦艦伊勢・日向からも艦載機が飛び立つ、
約400機の艦載機が上空護衛、さらに白黒天使族も乗っている、
彼女達はライフルランチャーを備え気合いを入れていた。
この大艦隊を率いる旗艦は・・
「戦艦日向」!
この艦に関わったライアン達に全指揮を任せている。
彼らはかつて戦艦日向はじめ各艦の指揮官としてレイテ湾海戦に参加、
この戦いは戦艦武蔵はじめ多数の艦を失い日本が大敗北した海域だ。
だが・・
日向率いる艦隊は・・
この激戦を生き抜いた!
アメリカ軍の集中攻撃に遭いながらも発案の航空攻撃回避術、
巧みな回避運動で敵の攻撃をかわし重大損傷無しで乗り切った。
さらに戦略物資輸送作戦でも全艦損傷無しという奇跡的成功を収めた、
その後日向は燃料が尽き呉で浮き砲台となり大破し解体されたが・・
この経緯を知ったガルーダとグリフォンの幹部達は彼らに注目した。
その後異世界に来て各地の戦いにおいてもその実力を発揮する、
特に空を飛ぶ魔物に対しての判断力と先見の眼は驚愕レベルだった、
艦の指揮に関しては自分達よりも遙かに優れていると認めていた。
そこで・・
「我々は最前線に飛び立ち戦う、背中は任せたぞ!」
この言葉を残しガルーダ・グリフォンの幹部は全員艦から離れる、
ライアン達は・・いや旧日本海軍の幹部や精鋭たちは奮い立つ!
自分達を信じて・・艦を任せてくれたガルーダ達に敬礼を送る。
そうして・・
魂の光とでもいうのだろうか・・精鋭たちは無数の光の糸を放つ、
それらは絡み合い・・各艦のライアン達に繋がっていた、
まるで光ケーブルが全員に繋がったように意思疎通をしている。
「聞いての通りだ!大切な仲間を一人も海に落とすなよ!」
「了解!お任せください!」
全艦の意志は一つとなり・・各砲が異世界ハンター達に向けられる。
「全艦主砲角度調整!照明弾を放つぞ!」
グィィィィィィィ~~ン・・
各艦の砲が上空を向く、既に敵は10km先まで来ていたが・・
この中には無理やりこの異世界で戦わされているサナの同胞が多数、
まず同胞達を助けるために照明弾を放つ。
サナの同胞達は強烈な光を浴びると・・しばらく輝くと聞いている、
そのためあまり敵から離れていると照明弾が届かない、なので・・
危険ではあるが2km手前まで敵をおびき寄せる必要がある。
照明弾を放った後・・
まず輝くサナの同胞達を撃ち落とす、当然使う弾は麻酔弾だ、
その間に魔物達が艦を襲ってくるので対空砲火で撃ち落とす、
万一艦にとりつかれた事も想定して全員艦内に避難している。
撃ち落とした同胞達はクラーケンが回収、潜水艦まで運んでくれる、
潜水艦で回収した後総攻撃、艦砲射撃で魔物達を一気に殲滅する。
ちなみに・・
北の大陸には対空地雷などの罠は備えていない、これには理由がある、
北の大陸の氷の中はリゾート地なので攻撃能力な皆無、入られたら困る、
ここに籠られたら厄介なので近づくと凍る大陸だと思わせる必要がある。
そのため第3・第4艦隊も北の大陸には近づかない、さらに・・
ソニアが事前に体内に封じていた冷気を大放出、極寒の地と化している。
艦数は多いが・・
大陸からの援護がないので相当難しい戦いになるのは間違いない、
敵は100万の大群、その中には救うべきサナの同胞達がいる、
救助しながら敵を殲滅する同時進行が求められる戦いとなる。
だが・・やるしかない。
目の前に苦しんでいる種族がいるのに無視しての攻撃は出来ない、
俺達を含む各種族の究極目標は・・
「共存」
この・・とても難しい難題に挑む俺達だが・・
・・・
各種族は気合い十分、今出来ることは全力で行うと割り切っている、
先の事はわからない、だが未練を残すことは絶対嫌だと宣言している。
「だから・・私達は動くのよ~~~!」
と・・
以前俺達異世界人だけで開催した忘年会に割り込んだレイナの言葉!
アズミと意気投合して飲みまくって舞台に上がり大声で叫んでいた、
あの時は大変だったが・・今はこの言葉が心に深く響く。
この難題に対して・・
旗艦日向から各艦に指示・・いや命令が下される!
「航空母艦は後方に移動、駆逐艦隊はこれを厳守せよ!
軽巡、重巡は前列で狙撃体制、向かってくる敵を迎撃せよ!
戦艦金剛・比叡・伊勢は我に続け!」
ゴォォォォォォ・・・
なんと戦艦日向が一番前に出てきた、その横に他の戦艦も並ぶ、
4隻は横一列となり主砲を上空に向けて戦闘態勢に入る、
1km程離れた後方には重巡・軽巡艦隊が狙撃体制に入る。
10分後敵の大群が見えてきた、敵はこの4隻の存在に気付いた。
「な・・なんだあれ?あんな船は初めて見るぞ・・」
「え・・ええ帆が無いわね・・どうやって動くのかしら?」
「ち・・ちょっと大きすぎない?まるで要塞が浮いてるようだわ」
敵は驚きを隠せない、どうやら向こうでは帆船が主流のようだ、
ちなみにこの異世界でも北東の大陸などで帆船が動いている、
だが帆船だと魔物にあっさり沈められるので俺達は使っていない。
戦艦4隻は敵の目を引く囮としては十分すぎる存在だった、
敵はこの4隻に気を取られ後方の艦隊には気づかなかった。
戦艦4隻は・・
敵の眼が自分達に向けられたと悟り・・
「とりかじいっぱ~い!主砲発射準備!」
「とりか~~~じ!」
4隻は向きを変え主砲は上空を向く!そして照明弾を装填、
後方の艦も照明弾発射準備完了!すぐさま旗艦から指示が出る!
「全員特殊サングラスを装着せよ!」
「了解!全員装着完了!」
どこにサナの同胞がいるのかわからないので各艦は照明弾を撃つ!
「照明弾発射!」
ズシュ~~~~ン!・・
・・・
ズバババババババババババア~~~~ン!!!
照明弾が一斉に発射され爆発、尚戦闘機隊は2手に分かれ上空で待機、
全員特殊サングラスを装着、これは太陽でも見れる特殊メガネだ、
照明弾の光から目を守るため・・敵を攻撃するためでもある。
「続いて副砲!撃て~~!」
スドドドドドドドド・・・
パパパパパパパパパア~~ン!!
それと副砲から花火も発射された、これは敵の嗅覚等を狂わせるため、
敵の能力がわからないので念のため放つ、意外とこれが功を奏した、
魔物は視力・嗅覚・聴覚・触角が麻痺して動けなかった。
「戦闘機隊突入せよ!サナさんの同胞を見つけ出せ!」
「了解!突入します!」
戦闘機隊は敵の群れに突っ込む、敵は感覚が麻痺してるので無防備、
それらは・・とりあえずほっといて光る人物だけに狙いを定めた。
「ズシュ!ズシュ!」
「うっ?」
「えっ?」
戦闘機隊の上に乗っていた天使族達が麻酔弾で同胞を落としていく、
敵の攻撃が無いので一気に撃ち落とす、約3千人に麻酔を放つ、
同胞達は悲鳴をあげる暇もなく落下、海に沈んでいく。
海中では・・
「ぐぅ~~~グゥ~~~!!」
複数のクラーケンが・・
大忙しで海に沈んだ同胞達を回収していた。