滅ぼされた異世界の女性達と恒例の旺盛な食欲
戦艦霧島から放たれた主砲弾は敵の巨大魔法の中に入り込んだ、
すると・・巨大な光が辺りを覆う、魔法がとてつもなく光り輝く。
「な・・なんだこれは?」
魔法を放とうとした男性オルクスは驚く、もう自分では制御できない、
次の瞬間・・
バシ~~~~~~~~~~ン!!!!!
まるで風船が破裂したように魔法が弾ける、辺りに突風が巻き起こった、
そして巨大な津波が発生!こちらに向かって流れてくる。
「全艦津波対策を実行せよ!」
「了解!津波を吹き飛ばします!」
各艦に乗っているエルフや天使族等が海に向かって魔法を放つ、
すると艦の前に巨大な津波が発生して前に進む、そして衝突、
津波を津波で相殺したことで各艦の被害は軽微で済んだ。
一方・・
巨大な魔法を展開し放とうとした男性オルクスは・・
自分の魔法を逆に増幅され大破裂、その衝撃をまともに受けた、
体中は血まみれになり浮いているのがやっとの状態、さらに・・
自分の周りにいた魔物・ヘル・グリムたちは消滅していた。
今第5艦隊と対峙しているオルクス達は・・
女性グリムが10人位、女性オルクスは1人・・あとは自分だけ、
既に勝敗は決したのだが・・男性オルクスは怒りながら飛んできた。
「こんな・・こんな下等生物達に・・俺が負けるはずがない!」
狂ったように中級魔法を乱射しながらこっちに飛んでくる、だが無駄だ!
苦し紛れの中級魔法は全てアイスシールドで弾き反撃の機銃が火を噴く!
ズガガガガガガガガガ・・・・・・
霧島はじめ各艦からの機銃掃射をまともに受けた男性オルクスは・・
「グァ・・・」
蜂の巣にされ息絶えた、そのまま海に堕ちて沈んでいく・・
それを見ていた女性オルクスは青ざめ震える・・・
「お・・お姉さま・・に・・逃げましょ・・」
僅かに残った女性グリムたち、どうやらオルクスの妹のようだ、
彼女達は急ぎ反転・・すでに蒼龍・飛龍・最上の艦載機が囲んでいた、
八方塞がりとなったオルクス達、急ぎ結界で身を守る!
「無駄よ!」
ドコ~~~~~~ン!!!!」
バシィ~~~~~~~~~ン!!!!
戦艦榛名から放たれた結界増幅弾が当たり結界を膨張破裂させた、
丸裸状態の彼女達は戦闘機と艦隊からの機銃を受け堕ちていく、
オルクスも被弾し・・なすすべもなく海に落ちる。
その後戦闘機隊は西の大陸に飛んでいく、内陸部を援護するためだ、
各艦は攻撃を止め前進、海に堕ちたオルクス達はまだ生きていた、
だが全員戦闘不能、かろうじて枯れ木に捕まっている状態だ。
「これで終わりだ!」
駆逐艦の海兵が銃を構えオルクス達を撃とうとすると・・
「ま・・まってお願い!い・・妹たちだけは助けて!」
「お・・おねえさま・・」
瀕死の女性オルクスは泣きながら俺達に懇願してきた、
これには海兵も戸惑う、憎い敵とはいえ彼女達は・・
よく見ると2~30代位の若い女性たち、さすがに躊躇した。
駆逐艦の海兵は榛名に乗っている事務員のアイリスに緊急連絡、
こういう時の為に彼女達を乗せている、榛名は急ぎ近づいてくる、
霧島のエミリアもこっちに来た、海兵は浮き輪をオルクス達に投げる。
オルクス達は・・
急ぎ浮き輪にしがみつく、これで沈む心配は無くなったが・・
「はぁ・・ハァ・・」
瀕死の状態なので言葉を話せない、それを見たアイリスが救助指示、
念の為魔法と能力を封じる首輪と腕輪を装着してから治癒魔法をかける、
なんとか女性オルクスとグリムたちは会話が出来る位まで回復した。
「あ・・ありがとう・・」
「礼には及ばないわ、あなた達には聞きたいことが山ほどあるのよ、
拷問も覚悟しておいてね、嘘言うと全員殺すからそのつもりでいなさい!」
「・・・」
オルクス達は頷き・・黙り込んだ。
間髪入れずエミリアが質問する!
「じゃあ最初の質問よ!あなた達は一体何者なの?それと・・
あなた達の魔物が子供達を食べてたわ、どこの異世界を滅ぼしたの?」
「えっ?もしかしてあなた達はあの光景を見たのですか?」
「そうよ!あんな小さい子供まで無残な姿にして・・ひどすぎるわ!」
これを聞いた女性オルクスは・・涙を流す、グリムたちも同じだ。
「あ・・あれは私達の同胞です・・」
「な・・・あなた達の同胞・・?」
この言葉を聞いたアイリス達は・・驚愕した。
・・・
ここでエミリアがある仮説を考える、魔物に食べられていた子供達、
今目の前にいるオルクス達と雰囲気が似ていた、もしかしたら・・
ここに来る前に滅ぼされた異世界、それは目の前のオルクス達の世界。
おそらく破壊神達は・・
オルクス達の世界を滅ぼした後・・戦える彼女達を無理やり配下にした、
既に息絶えた仲間たちは魔物の餌にされ・・要人を人質にされている、
そのため彼女達はここに来て俺達と望まぬ戦いを強いられていたと・・
この仮説をオルクス達に伝えると・・
「はい!仰ることに間違いはありません・・」
これを聞いたアイリスは・・急ぎ駆逐艦隊に付近の捜索を指示、
もし生きていた者が浮いていたら急ぎ救助するように指示した、
駆逐艦隊は状況を理解し捜索、30人ほど生きていたので救助した。
だが念の為に腕輪と首輪は付けている、これにはオルクスも頷いた、
まだ自分達の疑いが晴れたわけではない・・だが話は通じる相手、
今は俺達の指示に従おうと・・抵抗は絶対厳禁と仲間に厳命した。
その後アイリスとエミリアは女性オルクスを会議室に連れて行く、
そこで様々な質問、オルクスは嘘偽りなくすべてを話していた、
大雑把にまとめると・・
● オルクス達は2年前に破壊神の攻撃を受け侵略された。
● 知的生物の9割は滅ぼされ上級以下は魔物達の餌にされた。
● 破壊神達はオルクス達の王子と王女を人質にとっている。
● オルクスの仲間・・上級以上の仲間は約1万人。
● 今回俺達の世界に来たのはほぼ全員、各地で戦っている。
● 自分達は中隊長扱いされ魔物の管理を行っている。
● 魔物達に与える餌は自分達の同胞で・・・
・・・
アァァァァァァァァァァァ・・・
狂ったように泣き出した女性オルクス、さすがに質問は中断した、
この様子から見ると・・語っていたことに間違いはないようだ、
だが今は敵の管理下にいる、さすがに2人は悩み俺に連絡してきた。
俺はこの言葉を聞き・・
そのオルクスと話をすることにした。
オルクスは電話にビックリ、これで彼女達の世界がある程度わかった、
魔法を使い電話に驚いたことから・・こことそう変わりはないようだ、
なら方法はある、俺はある案を遂行できるか女性オルクスに尋ねた。
「そ・・それは可能ですが・・」
「それなら話は早い、それと君は誰が同胞なのかを俺達に教えてほしい、
その代わり・・君達が反抗しない限り保護を約束しよう」
「ど・・どうして見ず知らずの私達にそこまで・・」
「俺達も異世界から来た、君達の苦しみは痛いほどよくわかる、
君達が敵ではないのなら・・俺達は君達と共存の道を選びたい、
それは信じてほしい、望まぬ戦いはお互い嫌なはずだ」
この言葉を聞いた女性オルクスは・・感激の涙を流していた。
俺はアイリスとエミリアに指示、オルクス達を全快にして開放する事、
これにはエミリアたちは猛反対、まだ信頼できるか疑問だからだ、
ここで女性オルクスは・・
「私が人質として残ります!お願いです!妹たちを開放してください!」
これに対して妹たちは・・
「いいえ私達が残ります、お姉さまは皆にこの事を伝えてください」
「そうです!同胞を救えるのはお姉さまにしか出来ません」
妹たちは逆に自分達が残ると主張、これは俺が予想していたこと、
本気で俺達と共存を求めているのなら・・妹達は姉の開放を求める、
末端の自分達よりも上位にいる姉が動いたほうが効率的だからだ。
妹たちの必死の説得に・・
姉・・女性オルクスは自分が動く決意をした。
「わかりました!妹たちをよろしくお願いします」
女性オルクスは単独で動くことを決意、エミリアたちも頷いた、
すぐに女性オルクスを完全回復、するとお腹から・・
グゥウウウウウウウウ・・・
女性オルクスは・・顔を真っ赤にして下を向いていた。
尋ねると・・もう1週間何も食べていないらしい、さらに・・
今の食べ物は自分達の同胞・・さすがに仲間を食べる事は絶対できない、
そのため飲まず食わずで・・戦いで死ぬか餓死する事を決意していた。
最後に食べたのが・・自分達の収納魔法で保存していたパンだったらしい、
破壊神に占拠される前に収納魔法に詰め込んでいたのが幸いだったようだ、
だが・・そのパンはもう無い・・
・・・
さすがに超空腹の状態では俺の案を遂行することは無理、なので・・
全員を食堂に招くよう指示、エミリアたちもこれには頷き食堂に案内、
念の為尋ねると・・生活環境は俺達とほとんど違いはなかった。
ちなみに妹たちも同じ状況だったので・・同じように食事を与えた、
まずはお腹にやさしいお粥、それと味噌汁と与えたが・・
「お・・美味しいです・・・」
すぐに完食、全員物足りなさそうなので今度はカツ丼を与えてみた。
「お・・美味しすぎます!」
カツ丼はあっという間に消えた。
「お願いです!もう一杯!!!もう一杯だけ・・」
涙を流して懇願するので・・カツ丼を追加、さらにプリンも与えた。
「な・・何ですかこれは?あ・・甘すぎます!」
「こ・・こんなの初めてです!お・・おかわりいいですか?」
・・・
女性オルクスは・・
いつまで経っても艦から出ようとしないので・・
・・・
収納魔法を展開させ・・
その中に様々なお弁当とお菓子を山ほど収納させた。
「では行ってまいります!」
女性オルクスは目を輝かせ一目散に他の仲間の元に飛んでいった。
残された妹たちも・・満腹となりとてもさわやかな顔をしていた、
ここでエミリアが妹たちに・・
「あなたたちは急いで風呂に入りなさい!」
エミリアが無理やり妹たちを風呂に入れた、なんとなく臭いからだ、
ジェニー達が隅々まで洗い・・着替えを用意してそれを着せた。
「あ・・あの~~私達がこれを着てもいいのですか?」
「あなた達に合うサイズがこれしかないのよ!嫌なら前の着る?」
「い・・いえこれが絶対いいです!」
エミリアたちが支給した服は・・
・・・
なぜかセーラー服だった。