新たな艦隊の構想と12天聖が望むもの
メディのサブモンスターであるサージェント・デュナミス・・
その魂は・・旧ナチスドイツの主力艦の設計士だった人物だ、
メディの両親がエニウェアの結界を破るために召喚させた。
俺達も彼のおかげでエニウェアの結界を破る方法を会得した、
その結界増幅弾はドラゴンの結界を破り勝利に大きく貢献、
さらに天使族の戦いでもその能力を発揮した。
第8艦隊旗艦の戦艦ビスマルク・ティルピッツも彼が設計した艦だ、
この2隻はアメリカ・日本人の設計士も驚くほどの性能を誇る。
メディもそうだが・・俺達にも恩人と言える人物だ。
「ご紹介が遅れましたね、皆様に御挨拶をしてもよろしいでしょうか?」
俺は即座に返事!
「恐れ入ります、宜しくお願いします」
サージェント・デュナミスはモニター越しに挨拶を始めた。
「皆様はじめまして、私は旧ドイツ軍艦隊設計士のアベルと申します、
私は上司の命を受けてほとんどの主力艦の設計を請け負ってきました、
故郷が連合軍の総攻撃を受けた時・・私はこの世界に召喚されました」
「私は驚きました、空想上の生き物だと疑わなかったメデューサ、
それが目の前にいる・・パニックになりましたがすぐに落ち着きました、
メディさんの両親は私を大事に扱ってくれたからです」
「その後私はドラゴンの結界を破る方法を模索、ある方法を思いつきました、
ですが・・それを実現する前に命を失いました」
「その後魂は無意識に彷徨っていましたが・・ある光が見えたのです、
私は無我夢中でその光に飛び込みました、その後はご覧の通りです、
私はメディさんのサブモンスターとして意識を取り戻したのです」
「今後はメディさんのサポートとして頑張ってまいります、
至らぬところもあるかと思いますが・・よろしくお願いします」
ここで挨拶は終了。
皆は拍手しアベルさんはメディの背中に戻ろうとしたが・・
「あ・・あの質問よろしいでしょうか?」
クリスティーナが急ぎ声を出す、アベルさんは止まりメディに確認、
メディは頷いたので・・ここからは質疑応答タイムとなった。
「あ・・あなたはヒットラー・・さんと対面はされたのですか?」
「いいえありません、私は今で言う中間管理職の部長クラスでした、
それと・・私の上司が司令部とのやりとりを全部担当してくれました、
そのおかげで私は設計に集中できたのです」
「その上司さん・・は?」
「連合国の総攻撃で・・」
「すみません・・」
「お気になさらずに・・彼は私にとって最高の上司でした」
次に・・航空母艦赤城の通信官のお姉さまが尋ねる。
「あなたは・・航空母艦は設計できるのですか?」
「計画はありましたが・・実際に完成させた艦はありません、
というのも・・当時私の部隊は戦艦と潜水艦に重点が置かれていました、
ただ・・ある程度は把握してるので補助があれば出来ると思います」
この言葉を聞いたヘイゾウお兄さまとナターシャお姉さまが反応する!
「そ・・それは・・何隻建造可能なのですか?」
「私が関わった艦はビスマルク・ティルピッツの他に戦艦4隻、空母3隻、
他に潜水艦2隻です、ただどれも建造中止となり断念しました」
「それは・・言い換えれば条件が整えば新たに製造出来るということか?」
ヘイゾウお兄さまが目の色を変えて尋ねる、これに対してアベルさんは・・
「理論上は可能ですが・・ただこの異世界では条件があるようですね」
この異世界での造船条件・・
それは俺達の魂と繋がりのない艦の製造は出来ないということ・・
以前ヘイゾウお兄さま達は未完成の紀伊や伊吹・阿蘇を建造したが・・
これに関しては製造段階から関わっていたのでほぼ全体を把握していた、
他にも同型艦の大和などの技術を応用してなんとか完成させている。
だが・・
他の造船所での建造予定・・例えば尾張などの艦はなぜか製造出来ない、
ヘイゾウお兄さまをはじめ日本・アメリカ技術者ライアンも試したが・・、
なぜかどれも初期段階で断念、どの艦も設計すらできなかった。
原因はわからないが・・
この異世界に召喚されている魂との関わりのない艦は再現できないようだ、
それが同型艦であっても同じ、既存艦と魂との関わりのある艦だけが存在する、
なぜなのか・・ここからは俺の仮説となる。
おそらく・・・
ライアンやジェニー達は戦死者も多いが生き延びて寿命を全うした者も多い、
それらは戦争後故郷など各地域に帰り様々な技術や知識を会得して日々を過ごす、
その後永眠となるが・・俺達が無理やりこの異世界に魂を召喚した。
そのためか・・
今迄の経験や知識などはその魂に残ってはいたが・・
既に本来の身体は無いので新たな知識等を「習得」する能力が無くなった、
ドワーフの造った人形のおかげで広範囲に動けるようにはなったが・・
新たな艦の製造など高度な技術を要する設計や作業は出来ないようだ。
そう考えると・・
ヘイゾウお兄さま達が新造艦を製造出来ないのも納得できる、
過去しか振り返ることが出来ないので新たな知恵は習得出来ない、
ある程度は今までの知識や経験で応用できるが限度があるようだ。
例外として詳細な設計図等があれば製造できる、ビスマルクが最たる例だ、
設計図を見ながら組めば自然と形は整うので深く考える必要はないからだ、
アベルがその設計図を書けるとなると・・新型艦の期待が一気に高まった。
だが・・
「ご期待は嬉しいのですが・・私も他の方々同様関わりのある艦、
もしくは自分が把握している艦しか設計図を書けません」
それでも十分だ!
アベルさんは戦艦4隻、空母3隻、他に潜水艦2隻なら設計図が書ける、
輸送重巡等はビスマルクの設計図を応用して既に複数の数を建造している、
小型艦に関してはこれらに武装を追加すれば十分賄えるはずだ。
これを聞いたアレスとリンは・・
「そ・・それは・・新たな艦隊が構築できるという事ですか?」
これに対してアベルさんは・・笑顔で返答。
「ええご期待ください!急ぎ設計図を書きます!」
ウワアアアアアアアアア~~~!!!!!!!!
会議室に歓声が上がる、各種族が期待の眼差しでアベルさんに手を振る、
アベルさんはこの歓声に応え笑顔で手を振る、その後メディの背中に戻る。
「それでは!私はこれで失礼します!」
メディがリモートから離れた、すぐに部屋に籠り設計を始めたらしい、
どうやら彼女も艦の設計には興味があるらしく笑顔で学んでいた、
その後技術者スライムたちも呼ばれ急ピッチで設計図を書いていた。
ヘイゾウお兄さま達は急ぎフェニックスの島に連絡、造船所の改造を命じた、
造船所はその指示を受け急ぎ改造、戦艦でも造れる設備を造り始めた、
アレス達は安心したのか・・後日本国に帰ると言うので了承した。
会議が・・
というか話が終わったので・・
俺達は解散、俺はのんびり部屋に帰りあるものを造ろうと・・
・・・
途中天聖族のお姉さま12人に笑顔で囲まれていた・・
・・・
なんで俺を囲むんだ?
・・・
皆の笑顔が逆に怖い。
俺は急ぎ逃げよう・・アリエスがそれを遮る、なら後ろ・・
リィブラがさらに遮る、その横・・タウロが笑いながら遮る。
・・・
「あの~~俺・・いや私に何かご用事ですか?」
これに対して・・ヘミニが笑顔で俺に詰め寄る。
「コウさん・・何かお忘れではないですか?」
えっ?忘れた?
なんだろう?
既にモンスターカードは渡している、サブモンスターも同様だ、
様々な食糧も情報も提供してるし・・エンジェルソードも渡してある、
スマホも渡しているし洋服等も・・特に無いんだが?
「完全に忘れていらっしゃいますね、ではお部屋に行きましょう!」
俺はカンセェに笑いながら首根っこを掴まれ・・なぜか大人しくなる、
俺を迎えにきた4匹の子猫とホーリーキマイラ猫2匹がそれを目撃!
怒りながら俺を救出しようと泣き喚く!
ニャ~~~!!(訳 おいコウさんを離せ!)
ニャ~~ニャ~~!! (訳 何するのよ!コウさんを離しなさい!)
ニャ~~ン!!ニャ~ン!!ニャ~~ン!!ニャァ~~ン!!!
子猫達も俺を救おうと天聖族に威嚇、その姿に俺は思わず涙・・
・・・
「きゃ~~可愛い~~~!」
天聖族は子猫達を抱きかかえる、すると子猫達はすぐに大人しくなる、
どうやら俺よりも美女に抱かれた方が快適らしい、ゴロゴロと喉を鳴らす、
子猫4匹の援護が消えたホーリーキマイラ猫達は他の天聖族に囲まれる。
・・・
威嚇・・の前にリィヨンとサギタァリオが抱きかかえ頭を撫でる・・
・・・
ゴロゴロゴロ・・・
すっかりサギタァリオ達に懐いたホーリーキマイラ猫達も喉を鳴らす。
・・・
猫に期待した俺が馬鹿だった。
俺達は12天聖に運ばれ俺の部屋に戻る、すると・・
12天聖は迷わず奥の部屋に向かって歩いていく・・
奥の部屋には・・
戦艦大和はじめ各艦の精巧な模型が飾られている部屋がある、
他にも俺が趣味で造った数々の武器や模型などが飾ってある、
俺の大切な部屋・・天聖族達はその奥の部屋の前で立ち止まる。
「ここね、やっとご対面できるわ!」
「ええ楽しみだわ!やっと私達はアレを手に入れるのね」
「早く部屋に入りましょうよ!この目で確かめたいわ!」
「そうね、それじゃ部屋に入るわよ!」
部屋の中に入る天聖族、そこには俺が造った数々の模型や武器・・
「これだわ!」
天聖族の目線の先には・・
・・・
12本の黄金の聖剣が飾ってあった。