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エニウェア首領の判断とカラミティの焦り





エニウェアドラゴンは獰猛で住む漆黒の大陸は結界で覆われている、

さらに黒雲が空からの視界を遮り自分達と配下以外の侵入を拒む、

そのこともあり他の種族からは謎で・・恐怖と驚異の存在だった。



エニウェアの首領は・・



特に獰猛で残酷な性格ではあるが・・



反面冷静に客観的に物事を見れている、その一例が天聖族との出来事、

ヘミニ達がカラスの巨大版と戦う時援軍を要請されそれに応じている、

怒り狂ってはいたが・・天聖族には敵わないのが理解出来ている。



次は俺達との戦い、サーラ達が逃げてきた時の対応もそうだ、

すぐさまカラミティ達を向かわせたが・・俺達とは戦うなと厳命、

もし戦えば後ろから天使族が攻めてくるのは確実、挟み撃ちとなる。



そうなると漆黒の大陸そのものが危機に陥る、さらに・・

俺達はミサイル等で遠距離攻撃も可能、さらに各種族との同盟もある、

さすがのエニウェアもまともに戦えば大苦戦・・敗北は目に見えていた。



決定的なのは・・



先般の100万の大群、さすがの首領もこの数には極度に驚いていた、

自ら戦闘態勢に入り迎撃に向かったが・・息子カラミティの対応に驚愕、

すぐさま俺達と連絡を取り連携、被害を全く出さずに敵を殲滅した。



これを自らの眼で見た首領は・・



今後来るであろう新たな敵には・・単独では勝ち目は無いと悟る、

屋敷に戻りすぐに密偵を各地に放ち俺達の情報を集めさせた、

その際に・・各地の風景を描いて提出しろと厳命したらしい。



それらを読んでいた時・・



カラミティが戻りインターネット等俺達の情報網を報告、

ここで俺達がなぜ的確で素早い行動が出来るのかを理解した、

それと・・描いた風景には各種族との共存が描かれていた。



力で押さえつけるのではなく・・



お互いの長所を伸ばし、短所は技術や知恵で補い皆が笑える世界、

出し惜しみせず次々と最新技術を各種族に提供している風景・・

高速列車や輸送重巡・・これらを見て笑う子供達の笑顔が描かれていた。



さらに密偵は・・



どこから手に入れたのか・・



現在子供達に教えている俺達の歴史の本を首領に手渡した。



それには・・こう記載してある。



その昔世界各地で戦争を繰り返した歴史、悲惨な末路が書かれていた、

今この異世界に来ている各艦のほとんどが撃沈、多数の犠牲者を出した、

さらに広島・長崎の原爆、硫黄島や沖縄の惨劇等も書かれていた。



未だに苦しむ被爆者、肉親を失い苦しむ日米の家族、後遺症を持つ者、

夢かなわず無残に散ったライアンやジェニー達等々詳細に記載している、

そして・・この異世界に来る前までの日常を書いている。



最後のページには・・



「俺達の偉大なる先輩たちは・・形はどうであれ必死で戦い散った、

その礎があるから・・今の俺達がいる、これは掛け替えのない財産、

そして教訓である!俺達はそれを受け止め次の世代に託す義務がある」



さらに・・



「俺達は今この世界に呼ばれ生きている、もう戻ることはないだろう、

これからは各種族と共存の道を選びたい、そのために前に進んでいく、

そして・・皆と笑える世界を創りたい。これが俺達の本心だ!」



と・・宣言文が記載してあった。



・・・



最後の文は・・まあ恥かしい位大袈裟だが俺達の本心には変わりはない、

この文を読んだ首領は・・




「ガハハハハハハハハハハハ!!!!!」




腹を抱えて大笑いした。



そしてカラミティを呼ぶ。



「お呼びですか?」



「ああ・・まずこれらを見てくれ」



カラミティは密偵が用意した報告書や教科書などを一通り見る。



「これを見て・・お前は彼らをどう思う?」



「正直まどろっこしいですね、力で押さえつければ早いものを・・」



「ふむ・・お前もそう思うか・・」



「フフ・首領・・いえ父上も彼らに関心を持たれたようですね」



「どういう意味だ?」



「確かに彼らのやり方はまどろっこしい・・だが結果的には最善、

己だけではなく各種族とも馴染みお互い手を取りあい向上している、

それに父上も興味を示されたのではありませんか?」



「ああ確かにな、以前とは比較にならない位レベルが上がっている」



「それは私も感じました、今戦うと我らは歯が立たないでしょう」



「お前でも・・か?」



「ええ背筋が寒くなりました、おそらくガルーダにも勝てません」



「それほどか・・」



「はい・・我らはこのまま単独行動だと取り残されてしまうでしょう、

どれだけ鍛えても彼らとの差は開くばかりだと思います」



「我らだけでは・・もう限界だと?」



「残念ですが・・わずかな進化しか見込めません」



「なるほどな・・」



・・・



「ではお前なら・・どう動く?」



「フフフ・・父上はもう判断を出されてるのでは?」



・・・



「フフ・・わかっているのか?」



「父上の考えてることは・・おそらく彼らを呼んで来い・・でしょう?

彼らの飛びぬけた艦と共に・・その強大な力を間近で見てみたい・・

そして異世界人と対話してみたい・・そうではありませんか?」



「そういうことだ、即行動に移れ!」



「フフ・・わかりました!」



カラミティは急ぎ部屋を出ようと・・



「ちょっと待て!」



「?、どうされました?」



「確か・・飛びぬけていた艦・・あれは複数あったな?」



「ええ・・確か5隻ほど・・」



「その5隻全部を見てみたい、それで来るように伝えろ!」



「わかりました」



カラミティは部屋を出てレイナに連絡、急ぎ会いたいと伝える、

カラミティは貿易の島でレイナと会談、首領の意志を伝えた、

それを聞いたレイナは・・



「残念ね、その5隻はとっくにルーム国に帰ったわよ!」



「なら呼び戻せないか?出来るだけ早く来てほしいんだが・・」



「ちょっと待って!ルーム国にいるコウ達に聞いてみるわ」



レイナが俺達に緊急連絡、俺達はチャットでオンライン会議を始めた、

大和艦長の俺、武蔵艦長のエリーナ、信濃艦長のサユミ、紀伊艦長のタケシ、

それと戦艦モンタナ艦長のデーヴィドと副艦長のクリスティーナが参加した。



現在この5隻はドックで点検中、新装備のテストも兼ねて調整している、

早くても出港は3日後になるとカラミティに伝えた、すると・・



「もう少し早く出来ないのか?」



なぜか彼は焦っている、レイナが察し尋ねてみると・・



「俺達は・・いや俺は正直不安なんだ、前に来た未知の敵が・・

おそらくこの1年以内に別働隊が来ると・・なんとなく感じる」



「それって・・あなたの根拠のない直感なの?」



「ああそうだ、だが自画自賛ではないが今まで外れた事はない、

先般の敵も2か月前になんとなく感じたんだ、そして現実となった、

俺は早く・・今よりさらに強くなりたいんだ、君達のようにね」



特級のカラミティが冷や汗をかいている、皆は本心だと感じた、

確かに先般の敵は・・数こそ多いが指揮官はフレイとフレイアだけ、

それとエリーナが質問したブラックハルピュイアの返事を考えると・・



「は~い!私達にはたくさんの男性の仲間がいま~す!」




別働隊は確実に存在する!



と見て間違いない。



そう考えるとカラミティの焦りもわかる、現状だと勝ち目は薄いだろう、

何とかしてパワーアップしたい・・その気持ちは画面越しでも感じた、

そのため早く来てもらい・・俺達との同盟締結を強く望んでいた。



カラミティは・・



俺達が何らかの形で短期間にパワーアップしていると悟っている、

それを手に入れば自分も即座にパワーアップできる、と見ているようだ、

確かにそうだが・・だがこれに関しては現時点極秘にしている。



というのも・・



まだそこまでエニウェアを信じていない種族もいるからだ、

特にガルーダとグリフォン、カオスとレイナはそうでもないが・・

部下の大半はエニウェアに攻撃されたので恨みが根強く残っている。



それとルーム国の住民、エニウェアのせいでガルーダに攻撃された、

多くの住民が犠牲になった、そのためエニウェアへの恨みは半端ない。



彼ら彼女たちの怒りもわかるので・・



エニウェアをパワーアップさせる魔法の玉とカードの事は・・



カラミティには話せなかった。




彼には気の毒だが・・俺達も現状教える訳にはいかない・・



その時!緊急連絡が入る!




「こちら医務室、例の2人が目覚めました!」




俺達の緊張は一気に高まった。








































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