愛娘への想いとフレイの恐るべき切り札
ツイン・メデューサー!
このモンスターは東の大陸で働いていたジェニー達が考えたものだ、
メディの両親の話を聞いた後・・娘を想う親心に感激し涙を流していた、
それが頭に深く残っていて・・カード作成の時参考にしたらしい。
メディの両親は・・
エニウェアドラゴンに焼き殺され肉体は消滅し魂だけが彷徨う、
もう一つの魂と共に・・わずかに残っていたこの世界での未練、
愛する娘、メディへの想いを抱きながら・・
その想いも・・時と共に薄れ魂も消えかけていた・・
その時!
俺達がカード作成をしていた最中・・魂は動きカードに入っていく、
俺達はそれに一切気づいていない、だが魂はそのカードに入り込む、
これを逃すと消滅・・魂たちはカードのモンスターに急ぎ憑依する。
そして・・
メディの両親の魂はモンスターに憑依成功!再び感情を取り戻した!
どうしてなのかはわからない、だが一つだけ考えられることは・・
それだけ愛娘への想いが強かった・・としか今はわからない、
もうひとつの魂もサブモンスターに憑依して感情を取り戻した。
「お・・お父さま?お母さま????」
メディは錯乱、死んだはずの両親の声が頭に鮮明に聞こえるからだ、
彼女は涙眼となり・・ツインメデューサーもメディに目線を向けている、
その隙を見逃さなかったフレイアは立ち上がり剣を取り出し攻撃・・
キィーーーーーーーーーン!
「・・ま・・まだいたのか?」
フレイアの剣攻撃を食い止めたのは・・サージェント・デュナミス!
メディのサブモンスターが本人の意志とは関係なく展開、剣を止める、
その場を即座に離れるフレイア、デュナミスは剣を構えメディを守る。
「あ・・ありがとう・・助かりました・・」
メディはデュナミスに礼を言う。
すると・・
「やっとお会いできましたね!メデュ―・・いえメディさん」
「えっ?・・あなたは・・??」
「お初にお目にかかります、私は元ドイツ軍艦隊の設計士です、
あなたの両親によってこの異世界に召喚されました」
「そ・・それではあなたが・・」
「はい、戦艦ビスマルクとティルピッツの設計をしたのは私です、
本当に驚きました、まさかあの艦がこの異世界で再現されてたとは・・
それと・・私の設計を遙かに上回る装備を備えているとは・・」
「い・・今私がここにいるのは・・あなたのおかげです」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
ここでツインメデューサーの男・・父親らしき声が聞こえる。
「2人とも・・気持ちはわかるが今は戦闘中だ、会話は控えよ、
だが・・あの相手は私が倒す、メディよ剣を借りるぞ!」
「は・・はい・・?」
「出でよ!聖剣ビスマルク!」
メディの収納魔法が開き・・その中から聖剣ビスマルクが出てきた。
「な・・なんだよあの剣?あ・・あいつが使うのか?」
フレイアが驚く、メデューサーは聖剣を握り・・一振り!
猛烈な風が吹き・・聖剣を構えフレイアに語る。
「さあ私が相手だ!かかってきなさい!」
フレイアは・・
「な・・なめるなよ~!たかが憑依モンスターのくせに~~~!!」
フレイアは怒り剣を振りかざしメデューサーに向かってきた!
!!!
・・・
「うぐ・・?私が憑依モンスターごときに・・?」
・・・
フレイアの剣が真っ二つに斬れ・・
彼女はその場で膝をつき・・意識を失い倒れ動かなくなった。
・・・
殺したのか?
「いいえ峰打ちです、剣は切りましたが身体には衝撃だけ与えました」
俺達の質問を察したようにメデューサーは答え微笑む、もう一人も笑顔だ、
デュナミスもメディも笑顔、この勝負メディの勝利となる、すると・・
3体のモンスターと聖剣ビスマルクはメディの中に消えていった。
メディは俺達の元に帰ってくる、天使族が出迎え労っていた。
一方負けたフレイアはその場に倒れたまま、すぐに天聖族が回収した、
もう一人・・フレイはフレイアの事は頭に無いようだ、というのも・・
その目線の先・・対戦相手のレイナと俺達しか見えてないようだ。
・・・
「こうなったら仕方ないわね、あいつら全員私が殺してやるわ!」
どうやらフレイは俺達全員を相手にする気らしい、だがそれはどう見ても無謀、
レイナもそれを感じて・・フレイは収納魔法から何かをとり出した、そして・・
「お前たちもこれまでだな・・わたしが全員殺してやるよ!!」
フレイは何かを食べている、食べ終えた後彼女の目が赤く輝く!
すると・・彼女は人間の姿から・・あれはヤマタノオロチ?
美しい姿から恐ろしい猛獣・・いや猛竜に姿を変えていく・・
「ぐ・・グウウ・・・グワ~~~!!!」
!!!
人間姿から多頭竜に姿を変えたフレイ!もう感情は消えてるみたいだ、
ただ・・俺達を皆殺しにする意識だけはあるらしい・・
ブォォォォォォォォォ~~~~!!!1
複数の頭がそれぞれの方向に炎や氷を吐きまくる、これは天聖族が防ぐ、
だが天聖族・・の他もなぜか多頭竜に攻撃はしない、身を守るだけだ。
「やれやれ・・見境なくなっているわね・・」
対戦相手のレイナがため息、そして戦闘態勢に入る!
心配する俺とデーヴィドも参戦・・ここはエリーナに止められる。
「ここはレイナさんに任せるのよ、大丈夫、彼女なら勝てるわ!」
この言葉を聞いたレイナは・・エリーナに手を振り多頭竜に向かう、
ほぼ広場の真ん中で対面、巨大な多頭竜にレイナは・・
「まだ意識はあるの?あるなら決闘続行するけど?どうするの?」
これを聞いた多頭竜は・・
「グググ・・グワ~~!!!!!」
かすかに意識はあるらしく・・多頭竜は他への攻撃を止めた、
そして戦う相手をレイナだけに絞ったようで全頭がレイナを見る、
レイナは冷ややかに笑う、これを見た多頭竜が一斉攻撃をかける。
グワ~~~~~~~~~~~~~!!!!
多頭竜は猛烈な炎を吐く、レイナは素早く身をかわし戦闘態勢に入る!
「出でよ!疾風の騎士!サージェント・デュナミス!」
レイナの専用モンスターとサブモンスターが展開される、そして・・
レイナは聖刀「金剛」を展開、なぜかデュナミスに投げ与えた、
聖刀を受け取ったデュナミスは輝き・・一気にレベルが上がった。
「えっ?聖刀ってあんな使い方が出来るの?」
天使族が驚いている、一気に疾風の騎士と同レベルだから当然だ、
特級を超えたモンスターは俊敏に動き多頭竜の頭を次々と切り落とす、
ちなみに天使族も試しにホーリーに聖剣を渡すと・・レベルが上がった。
そしてレイナは・・静かに空に飛び多頭竜を睨みつけ一言。
「あなたのその執念は認めるわ!だから私も本気を出すわね!」
レイナは静かに輝く!そして召喚魔法を展開して自分の本体を召喚、
それに人間姿のレイナが入っていく・・本体は目を開き雄叫び!
「ギェェェェェェェェェ!!!!!」
かつて戦艦大和と互角に戦ったレイナの特級グリフォン・・
眼を輝かせ一気に下降!特級魔法を乱射しながら多頭竜を攻めまくる、
多頭竜も応戦!だが2人のモンスターが次々と頭を斬っていく、
さらに上空から特級魔法の嵐!多頭竜は次々と頭を失っていく。
「グォォォォォォォォ~~!!」
多頭竜は残った頭で火炎を吐き応戦、だがレイナ達は次々とかわす、
疾風の騎士が懐に飛び込み多頭竜の身体を斬り即座に離脱した、
痛みでもがく多頭竜!その隙にデュナミスが聖刀金剛で背中を斬る!
「ギャアアアアアアアア~~~!」
苦しむ多頭竜、一気にレベルが下がり残った頭も3つだけとなる、
既に勝敗は決したが・・レイナは手加減する気は全く無いようだ、
渾身の特級魔法・・光と氷の混合魔法を多頭竜に向かって放つ!
それに応じたように疾風の騎士とデュミナスが他の頭を攻撃する、
頭を切り落としたモンスターは即座に離脱、残るは本体だけとなる、
そうして・・レイナの特級魔法が多頭竜の本体に直撃した!
「ギャアアアアアアアア~~~!」
本体は断末魔・・その場に倒れ行動を停止した!
そうして・・
多頭竜が消え気を失っているフレアが姿を現す、
それを見たレイナは本体を召喚魔法で納め・・美女に戻る。
「この勝負・・私の勝ち~~~~~!」
なぜかはわからないが・・
モンスター2体は・・
複雑な顔をしてレイナを胴上げしていた。