天聖族を焦らすレールガンの威力とリィブラの決意
橘隼攻撃隊と天聖族のタウロの訓練、というかもうお互い実戦モード、
どちらもマジモードになり交戦、模擬弾をかわし襲い掛かるタウロ、
それを連携でかわしレールガン攻撃を仕掛ける橘隼攻撃隊・・・
結果!
橘隼攻撃隊は全滅、タウロに一発も当てることは出来なかった、
だがタウロに笑顔はない、ヘミニが被弾した理由が理解できたようで・・
赤城に戻ってきた時何も語らず来賓室に急ぎ入る。
心配で様子を見に来た女性通信官・・をいきなり手を掴み部屋に入れる!
えっ?もしかして私を・・?
心の動揺を隠せない女性通信官、真っ赤顔のタウロは誤解だと喚く、
そして真顔となりレールガンの詳細を知りたいから資料が欲しいと訴える、
なんでも橘隼のレールガンは・・かろうじて見えた程度だそうだ。
タウロは女性通信官に・・さらに強く訴える。
「あの武器・・レールガンを詳しく教えてください!」
「そ・・それなら整備士に説明させます、お待ちください」
女性通信官は整備士にレールガンの説明するように連絡、すると・・
なぜか20代前半位の人間女性が作業服姿で資料を持って来賓室に入る、
どうやらメカ大好きギャルのようで熱心にタウロに詳細を説明していた。
これを聞いたタウロは・・
「この兵器・・レールガンは驚異の兵器ですね」
レールガンの威力に驚きを隠せない、さらに・・
「えっあれは簡易型なのですか?」
「はいそうです、戦闘機に乗せるため大幅に軽量簡素化されています、
本来は艦に搭載する兵器なのですが射程距離が長いので応用しました」
「そ・・それはどのくらいの弾の速さと距離を狙えるのですか?」
「距離は戦闘機だと約50km、軍艦だと約200kmと聞いています、
簡易型は音速の約5倍、艦に搭載する本格型は約8倍と聞いています、
これから陸奥で本格型の試射があります、詳しくはこちらをご覧ください」
整備員はモニターのスイッチを入れチャンネル設定、陸奥が映し出される、
新たに搭載された12mmレールガンが遙か先の的に照準を合わせる、
他にも陸奥を守る駆逐艦もレールガンを構え的に照準を合わせていた。
陸奥の艦橋には説明役のアイザックと説明を聞くエスコルピォがいる、
約200km程離れた的にはカメラを備えたヘリ5機と護衛の戦闘機、
ヘリの一機にはカプリコルニォが乗り込み的を見守っていた。
「エスコルピォさんこれから試射を行います、号令をお願いします」
「えっ?ええ~~私でいいんですか?」
「はいお願いします」
笑顔でエスコルピォにお願いするアイザック、なぜかエスコルピォは赤面、
突然のお願いに戸惑いながらも応じるエスコルピォ、マイクを手に持つ。
「ぜ・・全艦レールガン発射用意!」
グィィィィィィィィ~~~ン・・
陸奥のレールガンが的に向けて角度調整、駆逐艦も調整している、
レーダーに魔物等がいないか確認しながら的に向けて発射準備、
同じように旗艦長門をはじめ各艦もレールガンの発射準備・・
レールガンを使った大規模な艦砲射撃訓練が始まろうとしていた。
この光景はタウロはじめ天聖族全員が各艦、各地のモニターで見守る、
当然ながら各艦隊、各地の各種族もこの訓練を見守っていた。
「全艦レールガン発射準備完了しました!」
これを聞いたエスコルピォが照れながら号令を出す!
「全艦レールガン発射!!!!!!」
ズシューーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!
大砲と異なり水鉄砲を放ったかのような発射音が辺りに鳴り響く、
的の近くにいるカプリコルニォ・・キラリと光る物は確認したが・・
ガガガガガガガガガガガガ・・・・!!!!!!
一瞬のうちに的は穴だらけとなり砕け散る、これを見たカプリコルニォは・・
「み・・見えなかったわ・・」
冷や汗をかき驚きを隠せない、まあ当然だろう、音速の8倍だからな、
彼女達は音速の7倍までなら対応できる、それでも超驚異なのだが・・
異世界で改良されたレールガンはさらに速度を増していた。
的を片付け戻ってくるカプリコルニォ達、加賀の誘導灯が点灯する、
ヘリは加賀に着陸、カプリコルニォは急ぎリィブラに連絡を取る、
ちなみに天聖族全員にもスマホを支給、拡散テレパシー対策の為だ。
これで訓練終了、各艦は反転してルーム国に向けて巡航を始める、
赤城の貴賓室で訓練を見ていたタウロは・・背筋が寒くなっていた、
もし本格型が自分を狙っていたら・・
・・・
タウロは部屋を飛び出し聖域に戻る、他の天聖族も急ぎ聖域に戻った、
そして緊急会議、皆の焦りが止まらない!特にタウロが慌てている。
その理由は明らかだ・・
今迄は神族以外自分達の立場を脅かす者はいなかった、だが・・
俺達異世界人の兵器は・・自分達の存在を脅かす驚異の兵器、
もし彼らが自分達を狙ったらひとたまりもない・・
訓練とはいえ実際戦ったタウロは・・俺達に恐怖を抱いていた。
・・・
焦る皆をリィブラが宥める、そしてこう語る。
「あなた達の焦りはわかります、私も彼らの兵器は驚異です、が・・
逆を考えてください、私達をこれだけ焦らせる状況が・・
今までにありましたか?タウロ答えてください」
「い・・いえ初めてです」
「そうですよね、でも彼らが本気で私達を狙うなら・・
あの兵器を私達には絶対見せないでしょう、そう思いませんか?」
「そ・・そうですね・・そう思います」
「そう・・これはチャンスだと私は思います」
「えっ?エエエエエエエエ??」
リィブラの発言に皆が驚く。
「ど・・どういうことですか?」
「単純な事です、彼らと同盟を組めば私達は新たな力を得られます、
例えばこのスマホ、これがあれば様々な情報を得られ発信も可能です、
これ一つだけでも私達に大きな恩恵をもたらしています」
さらに・・
「これはデーヴィドさんから聞いたことですが・・
彼らは裏世界まで進出しデーモンと地底人とも同盟を結んでいます、
その最中別部隊がある魔法の玉を手に入れているそうです」
「ま・・魔法の玉ですか?」
「ええそうです、なんでも魔法の玉の中ではモンスターを展開できます、
それに勝つ、もしくは融合すればモンスターの力を得られるそうです、
実際他の司令官たちがそれを行い大幅にパワーアップしているそうです」
「そ・・それはどの位パワーアップ出来るのですか?」
「測定が出来ないのであくまで想定ですが・・私達に匹敵するそうです、
特にコウと言う総司令官は驚異の力を得ているそうです」
「か・・彼らはなぜそこまで私達に情報を提供するのですか?」
「それだけ私達を信頼している・・と見ていいでしょう」
これに関しては・・
俺とエリーナがあえてデーヴィドにこの事を天聖族に伝えるよう進言、
当初彼は反対したがエリーナがその理由を話す、なぜなら・・
もし先で神族クラスの敵が来たら手に負えない可能性が高い。
それとヘミニとマテオの結婚の事もある、2人とも強く結婚を熱望、
いつまでも来るかわからない敵の為に結婚を妨げたくない気持ちもある、
ヘミニの後釜の問題もあり天聖族もパワーアップする必要があるからだ。
この事を聞いたデーヴィドは頷きリィブラに説明、彼女も頷いていた。
「これから私は神族にこの事を伝えます、しばらくお待ちなさい!」
リィブラは席を立ち神族が眠る部屋に向かう、なぜかその手には籠、
その中には・・クリスティーナが神族様にと手土産を渡していた、
具体的には饅頭やカステラなど甘系のお菓子の詰め合わせだ。
皆が緊張している最中・・・
「ちょっとエスコルピォなにボ~としてるのよ?」
「え?ううん何でもないよ・・」
アイザックの笑顔が頭から離れないエスコルピォ・・
・・・
返事はしたが・・再び自分の世界に入り込んでいた。
その姿を見た他の天聖族は・・・
・・・
呆れた顔をしていた。