魔法の玉での戦いと出現したブルーアイズグリームドラゴン
魔法の玉の中に入り一日が経過、俺達に少し疲れも見えてきた、
展開したモンスターは皆倒したので一旦休憩を取ることにした、
それまでに倒したモンスターは50、俺が倒したのは5体のみ。
・・・
俺が攻撃しようとするとサユミ達が割り込み魔物を次々と倒していく、
そのせいで俺は3人が無視する戦闘力500以下のモンスターとの対戦、
そのため俺だけはエリーナ達に比べわずかしかレベルアップしていない。
・・・
俺は・・
笑顔で携帯食を食べるエリーナ達を見て・・
・・・
次回はこの3人と組むことはやめようと・・心に誓った。
「あ~~私達いい組み合わせね、次回も一緒になりましょうね」
「そうですね、効率よく魔物を倒せて快適でした」
「ええもちろん!これなら天聖族にも追いつけるでしょう!」
・・・
君達は・・俺の気持ちは聞かないのかな?
俺の気持ちを完全無視したエリーナ達は笑顔で携帯食を食べている、
30分程休憩したから再開・・の前に話し合うことになる。
「ねえ今迄は戦闘力1500以下のモンスターなんでしょ?」
「ああそうだ、用心に越したことはないからな」
「でも・・そろそろ上位とも対戦したい気持ちもあります」
「次は上位との対戦を希望したいのですが・・」
・・・
自分が造っておいて言うのもなんだが・・上位は相当手ごわい相手だ、
特に戦闘力2500を超えるモンスターは変則攻撃も仕掛けてくる、
出来れば今回は様子見だったので戦いは見合わせたいのだが・・
「あなたさっさとカードを入れて!上位と戦うわよ!」
「はい!わかりました!」
エリーナの一喝に逆らえない俺だった。
しょうがないので・・
エリーナは「炎」サユミとタケシは「氷」の属性なので相性を考えた、
その結果この3体の上位モンスターのカードを一枚づつ入れる。
● グリーンナイト(攻2300、守2000)エリーナの相手。
● フレイムナイト(攻2400、守1800)サユミの相手。
● ヒートゴーレム(攻2200、守2600)タケシの相手。
まずはエリーナがグリーンナイトと対戦、サユミとタケシは静観、
万一の時はこの2人が割り込んでモンスターを撹乱させるのだが・・
「ハァァァァァァ~~!!」
ズバ~~~~ン!!
ギャアアアアアアアアア・・・
母は強しと言うべきなのか・・
グリーンナイトはエリーナの聖刀「武蔵」の一振りで真っ二つ、
そして炎で焼かれ・・湯気のような気体となりエリーナの身体を包む、
するとエリーナがパワーアップ、一気に聖級レベルに近づいた。
「こ・・これはすごいわ!まるでパワーアップしたみたい・・」
いやパワーアッブの為の戦いだろ?
ボコッ・・
つっこむ俺にエリーナは・・刀の柄で俺を叩く!
「あなたはいつも一言多いのよ!」
いてててて・・
痛がる俺を無視してサユミがフレイムナイトと対戦、勝負は一瞬だった、
サユミの聖刀「信濃」の一振りはフレイムナイトを真っ二つにした、
その後蒸発、サユミの身体に巻きつき・・サユミはパワーアップした。
「す・・すごいですね、力がみなぎるようです」
続いてタケシが聖刀「紀伊」でヒートゴーレムと対戦、こちらも一瞬、
聖刀「紀伊」の前にはヒートゴーレムの頑丈な身体でも防げなかった、
ヒートゴーレムは真っ二つとなり蒸発、気体がタケシを包みパワーアップ。
「こ・・これはスゴイとしか言えません・・」
端から見ていた俺でも・・3人のパワーアップを感じていた。
よし俺も・・
「ここで一旦帰りましょう、休むことも大事よ!」
「わかりました」
「了解です」
・・・
君たちは・・俺をなんだと思っているのかな?
俺はほとんど戦ってないぞ!
俺がレベルアップ出来てないじゃないか!!!
俺の気持ちを完全無視した3人は外に出る為の光り輝く壁面に移動、
それに手を当て魔力を注ぐと・・4人とも無事魔法の玉から脱出した、
その時近くを通りかかったメイドさんが驚きながら一言!
「あら早かったですね、もう特訓は終了したのですか?」
えっ?
俺達は時計を見る、現在午後6時ごろ・・3時間も経っていない?
どうやら魔法の玉の中の1日は外の世界だと1時間位のようだ、
これにも驚いたが・・他にも気づいた事は以下の通り。
● 魔法の玉内での一日は外の世界だと1時間位。
● 魔法の玉の中でも普通にお腹が空き喉も乾く。
● 玉の中では夜は無い、暗闇で寝たい場合は洞窟を掘って寝る。
● モンスターは幻の為実弾系は効果なし、聖剣・聖刀等で戦う。
● 治癒系等の魔法は使えるがモンスターへの攻撃魔法は効果なし。
● モンスターの強さはカードの数値でわかるが自分達は不明。
● 魔法の玉の割れ目にカード等を入れるとモンスターが現れる。
● 玉の中には魔物等はいない、植物はあるが攻撃はしてこない。
● モンスターを倒したら強さを得るが、どの位なのかはわからない。
「自分の数値が見れないことが困りますね」
「ああそうだな、自分の数値がわからないから敵を選びにくい」
「相性はある程度わかるけど・・特殊系は怖いわね」
「そうですね、死魔法等を使われたらすごく危険です」
俺達は改めてカードを見る、自分が造ったのだから把握できるはず・・
だがモンスターは自分の意志で攻撃できるので数値以外は不明だ、
もしかしたらモンスター同士で共同、合体などをするかもしれない。
「そうなると守備力が欲しいですね、例えば盾みたいなものが・・」
「ねえあなた聖剣と同じような感覚で盾は造れないの?」
「出来るとは思うが・・やってみよう」
「あっ・・出来れば私達は手甲のような物がありがたいです」
俺はサユミのリクエストに応え手甲のような形の盾を造った、
普段は手甲サイズだが状況に応じて小型の盾に変形できる、
これで防御力は大幅アップ、念の為鎧も新たに造った。
オリハルコンの鎧だと軽くて丈夫ではあるが・・
玉の中では実物系はほとんど役に立たなかったので切り替えた、
さらに手裏剣や隠しナイフ等も作成、これらを銃の代わりに装備、
万一に備え光の大盾も作成、収納魔法で納め緊急時には自動展開する。
俺達は仮眠後食事やトイレ、シャワーなどを済ませ再び玉の中に入った、
玉の中の雰囲気にも慣れ・・再びモンスターを展開して次々と倒していく、
この時点では戦闘力2500以下のモンスターと交戦、全部倒した。
俺を除き3人の攻撃力の向上はすざましい、聖級クラスに匹敵するだろう、
俺としては・・この3人がすぐ割り込むので2体しか倒せていないが・・
ただ不思議だ、俺に関してはモンスターが躊躇するのですぐに倒せる。
すると・・
6枚のモンスターカードが光り輝く、そして自分から魔法の玉に入った、
そうしてモンスターが出現、このカードの束の中で最強のモンスターたち、
これらが俺達の前に立ち塞がる。
「私達がお相手いたします!」
出てきた6体の最強モンスター、その詳細は以下の通り。
● 忍びの大鎌戦士(攻4300、守2800)
● ホーリーマジシャン(攻4000、守3500)
● くノ一の騎士(攻4100、守2900)
そして・・
3体の最強ドラゴン、青い瞳の光り輝くドラゴンが姿を現す。
● ブルーアイズグリームドラゴン(攻5000、守3800)
モンスターたちは散開、俺達を分散させる気だ、こういう時は集まる・・
「俺とタイマンで勝負か?いいだろう!受けて立つ」
タケシは忍びの大鎌戦士と一緒に・・どっかへ行ってしまった。
「私と勝負?いいでしょう!こっちで戦いましょう!」
サユミはくノ一の騎士と一緒に・・これまたどこかへ行ってしまう・・
「あらあなた私と戦う気なの?」
「ええそうです!こちらでの戦いを所望します」
「いいわよ、受けて立つわ!」
驚いた事にホーリーマジシャンは言葉を話し・・エリーナを見つめる、
そしてお互い頷いた後・・これまたまた・・どこかに行ってしまった。
・・・
残された俺の目の前には・・
3体のブルーアイズグリームドラゴンが立ち塞がる、
どう考えてもこれと対戦するのは無謀としか思えないのだが・・
・・・
不思議と・・
俺は恐怖を感じなかった。