アリエス達の焦りと響く神族の声
天聖族最強とも言える12人の聖級クラス、俺達の前には・・
その2人が激しく口論、戻れと言うエスコルピォと拒否するヘミニ、
共に強烈な拡散テレパシーで応答するので皆が耳を塞ぐほどだ。
あまりに強烈すぎるので・・
これ以上テレパシーを拡散されるとクラーケン等が錯乱を起こす、
そこでクリスティーナは部下に命じエスコルピォにスマホを届けさせた、
部下は頷き・・なぜかメイド姿でスマホ複数と飲み物を持って飛んだ。
イライラするエスコルピォ、そこにメイド姿の部下が駆けつけた。
「エスコルピォ・・さんでいいのですか?」
「誰よあなた?」
「私は下にいる艦隊の一員です、ヘミニさんのお世話係でもあります、
お願いがあります、拡散テレパシーで会話するのはやめてください!」
「どうしてよ?こうでもしないとヘミニと会話できないじゃない!」
「そのお気持ちはわかりますが・・近隣の魔物が迷惑しています」
「えっ・・なんで?」
「あなた達のテレパシーが強烈すぎるので魔物が錯乱しています、
これ以上続けられると魔物が気絶して生命の危機に陥ってしまいます、
なので・・お控えくださいますようお願いします」
「そ・・それは・・」
「その代わり・・ヘミニさんとの会話はこれをお使いください!」
「えっ?なによこれ・・あれ?これはヘミニが持っていた板・・?」
「我々が通話する時に使うスマホと言う物です、これをお使いください、
使い方はこうこうで・・これは差し上げますのでこれで会話してください」
「ふむふむ・・なるほどね」
意外と節度のあるエスコルピォはスマホの使い方をメイドから学ぶ、
2分もしたらある程度スマホを使いこなせたので・・
「これで通話は大丈夫ですよ、あとは色はどれがお好みですか?」
「えっ・色が選べるの?・・そうね・・これがいいわ」
エスコルピォが選んだのはシルバーメタリック、偶然にもヘミニと同じ、
これを後から知ったヘミニは・・複雑な顔をしていた。
それと・・
「お疲れでしょう、お飲み物はいかがですか?」
「えっ?飲み物貰えるの?それは嬉しいな~~」
「ええどうぞ・・オレンジジュースやお茶、サイダー等があります」
エスコルピォは相当喉が渇いていたらしく・・まあ怒っていたからな・・
メイドさんは相当な量を魔法で持ってきていたが・・各種3分の1が消えた、
喉を潤したエスコルピォは笑顔、爽やかな顔で礼を言う。
「ありがとう!とても美味しかったわよ!」
「それはそれは・・では私はこれで・・」
メイドさんは静かに頭を下げその場を去っていく、そして・・、
エスコルピォはスマホでヘミニと会話、ただスピーカー機能が作動、
2人の会話は各艦隊のスピーカーから聞こえるので全部筒抜けだった。
しかし・・
このことでテレパシーが途絶え・・困った2人がいた。
それは透明化したアリエスとサギタァリオ、彼女達はスマホが無い、
この異世界では元々人工の通信が無いのでアリエス達でも盗聴は無理、
そこでこの2人は・・エスコルピォから離れたメイドさんに目をつけた。
アリエスはメイドさんを転移魔法で離れた自分達の近くに飛ばした、
透明化を解除したアリエスとサギタァリオ、突然出た聖級2人に・・
危険を感じ顔を青ざめ震えるメイドさん。
「驚かせてごめんなさい!あなたに尋ねたいことがあるの」
「我々は怪しい者ではないわ、エスコルピォの知り合いよ」
「えっ?エスコルピォさんのお知り合いで?」
「ええそうよ、ところであなたエスコルピォに何を渡したの?」
「えっ?ええこれですけど・・」
メイドさんはスマホを見せ経緯を説明、これに驚いた2人は・・
「ねえこのスマホっていうの私達にも分けてくれない?」
「えっ??ええ・・」
「お願い!あの2人の会話が気になるのよ!」
メイドさんは少し戸惑いながらも・・この2人からは・・
穏やかだがヘミニやエスコルピォと同じ強さを感じたこともあり・・
・・・
仲間だと信じスマホを差し出すことにした。
「わかりました、こちらからお選びください」
「あ・・ありがとう!」
アリエスはソウルレッド、サギタァリオはアクアブルーのスマホを選ぶ、
メイドさんはスマホの説明、彼女達も2分である程度操作を把握できた。
「よろしければ・・一緒にお飲み物はいかがですか?」
「えっ?貰えるの?」
「ええどうぞ!オレンジジュースやお茶、サイダー等があります」
「・・ありがとう!・・う~ん美味しいわ!」
2人はメイドさんが持っていた残りの飲み物を全部飲んでしまった、
この2人も相当喉が渇いていたようで・・とても喜んでいた。
「では私はこれで・・」
「ちょっと待って!しばらく私達の傍にいてちょうだい!」
「えっ?どうしてですか?」
「あなた戻ったら・・私達の事報告する気でしょ?
「え・・ええそれが仕事ですから・・」
「それだと私達が困るのよ、透明化してたのは万一に備えての事、
もしあの2人が暴走したら私達が止めないといけないの、だから・・
今は私達の存在がヘミニ達に知られると困るのよ!」
「そ・・それはわかりますが・・」
「だから今あなたが戻ったら困るの!しばらくここに居てちょうだい」
「で・・でも私が戻らないと上司が捜索すると思いますが・・」
「そ・・それもそうね・・それも困るわ・・」
困った顔をするアリエスとサギタァリオ、するとメイドさんが提案、
このまま透明化して上司のいる艦隊の中で待機したらどうかと・・
ここにいるよりかは全体が把握しやすいのでお勧めだと・・
「えっ?そんなことが出来るの?」
「たぶん大丈夫だと思います。私の上司に直接話します」
「そ・・そうねお願いするわ・・」
メイドさんはクリスティーナに直接電話、これに関しては他は知らない、
メイドさんの説明を受けたクリスティーナは快諾、すぐに部屋を用意、
戦艦モンタナにある自分の個室に招き入れるようメイドさんに指示した。
ちなみに聖級の透明化は・・他の聖級でも把握できないが力も弱くなる、
中級以下の強さになるので俺達も把握できずレーダーにも映らない。
メイドさんの提案に快諾した2人は再び透明化、メイドさんについていく、
そのままクリスティーナの個室に入った2人、モニターに驚いていた。
「この部屋なら他にも把握されません、安心してお過ごしください」
「わかったわ、ありがとう」
メイドさんは冷蔵庫の軽食やトイレ等の説明を済ませた後部屋から出る、
その後は部屋入り口付近で監視、誰も部屋に入らせないようにしている、
ちなみにクリスティーナも気づかれないように自分の部屋には近づかない。
思わぬ拠点に入れたアリエス達、スマホでヘミニ達の会話を聞いていた、
透明化はそのまま続けている、これはヘミニに気づかれないようにするため、
ヘミニは近くにいる航空母艦加賀の艦橋にいたからだ。
そのヘミニは・・スマホで改めてエスコルピォと会話、戻らないと豪語、
エスコルピォはしつこく聖域に戻れとスマホ越しに怒りながら訴える、
このままでは堂々巡りだと感じたヘミニは・・
ものすごい爆弾発言をする!
「わ・・私・・聖級12人から脱退します!!!!」
エエエエエエエエエ?????
驚くエスコルピォ、各艦の搭乗員たちもこの発言には驚愕していた、
ちなみにアリエス達も・・
軽食を食べながら・・
「ウググググググ・・・」
爆弾発言に驚き喉を詰まらせていた。
「何言ってんだ!お前は選ばれし聖級12人の一人だろうが~~!」
「もう戦いは嫌なの!私は普通の女の子に戻りたいのよ!!」
普通の女の子って・・
なんかアイドルの引退宣言のような・・
・・・
君の場合ちょっと違うんじゃないのか?
皆もそう感じていたが・・ヘミニは気にせずそのまま続ける。
「私はここに来て気づいたの!私は戦いより愛を選びたいのよ、
これから私は聖域を出てこの人と結婚してルーム国で家庭を築くわ!
だから・・もう私の事はほっといて!あとはあなた達に任せるわ!」
これを聞いたマテオは・・顔を真っ赤にしていた。
周りも・・
「ヒュ~~~ヒュ~~~!!!」
マテオをからかうように口笛を吹いていた。
・・・
言葉が出ないエスコルピォ、当然だろう、こんな言葉は論外のはずだ、
そして・・彼女の怒りが頂点に達する!!!
・・・
「ふ・ざ・け・る・な~~~~~~~!!!!」
エスコルピォは超巨大な火球を出す!まるで太陽のような輝きだ!
それを見たヘミニも加賀の艦橋から飛び出し巨大な水球を展開、
その形は・・まるで地球のようで火球と同じくらいの大きさだ。
あれが衝突したら・・
巨大な爆発は確実だ!間違いなく付近は大打撃を受ける。
「全艦後退!爆発に備えよ!」
デーヴィドは急ぎ全艦に指示、彼はモンタナの主砲で蹴散らそうと・・
一瞬そう考えたがそれは止めた、ヘミニまで巻き添えになるからだ。
「これはまずいわね」
「ええ外に出ましょう!」
アリエス達が透明化を解除しようとしたその一瞬前・・
「お待ちなさい!」
キィィィィィィィンーーーー!!
突然聖域方向から2つの光が飛び出し・・火球と水球に直撃、
光を受けた火球と水球は光に吸収され瞬く間に消えてしまった、
驚くヘミニとエスコルピォ、2人は聖域方面を見る・・
「2人に忠告します!これ以上の暴挙は許しません!」
俺達にも聞こえたその声は・・
「神族」
の声だった。




