デーヴィドの叫び
俺デーヴィドとクリスティーナ、ジセルは大和の食堂で話し合っていた、
ジセルは2時間西町で無駄な上空旋回してたので空腹だそうだ、
待っているとは聞いてなかったが・・空腹を訴えたので食事にした。
「美味しい、おかわりお願いします!」
ジセルは今日の献立白魚の天ぷらと大盛りごはん、味噌汁と卵焼き、
それとデザートのヨーグルトとロールケーキを3人分完食した。
「それでですね」
ジセルは砂糖たっぷりのココアを飲みながら話しかける。
ちなみにココアに入れた角砂糖は8個・・・
糖尿病にならないのかな?
「私たちは魔法で病気を蹴散らせます!」
無駄な心配だった。
「グリフォンのことですが、おそらく攻めてくるのは昼過ぎ、
部下の報告によると厄介な戦術を考えているようです」
「どういう戦術だ?」
「我らガルーダとグリフォンの戦力だけ見るとほぼ互角ですが、
あなたたちとこの軍艦を合わせるとこちらの戦力が勝ります、
相手もそれは熟知してますから・・子供や女性も使うようです」
「こちらの戦力が勝るのなら話し合いで事を静められないか?」
「その考えは捨てた方がよろしいかと・・」
「どうしてですか?」
「我らもそうですが相手の力を心底感じないと話し合いはできません、
弱そうな相手にはどうしても偏見の考えが出て相手を見下します、
あなた達人間もそうではありませんか?、違いますか?」
「反論できないな」
「そういう事です、では話を進めます、おそらく我らガルーダは・・
こちらの西町に援護に向かうことは難しいかと思います」
「どうしてですか?」
「すでに我らガルーダは戦闘態勢に入ってます、同盟の約束通り、
ですがグリフォンは子供に人間や魔族の子供を体に縛らせています、
無理に攻撃するとこれらが命を落とすので攻撃出来ません」
「捕獲は出来ないのですか?」
「単純に飛ぶ速さではグリフォンの方が勝るので難しいです、
進路を囲まれたらどうしても止まるのでこちらに向かえません」
ほぼ同時刻・・
大鳳・千歳・千代田・伊勢・日向・磯風・浜風部隊は立ち往生、
西町にいる大和の援護に向かう途中グリフォンの群れに遭遇、
ジセルの報告通りグリフォンは子供女性を使い進路を塞いでいた。
空母から発進した大人のガルーダたちが蹴散らそうとするが・・
種族が違うとはいえ顔なじみの子供たちに攻撃を出せずにいた、
なら伊勢・日向が・・主砲を向けるとガルーダがそれらを庇う。
「撃たないでくれ!知り合いの子供なんだ!」
グリフォンの女性・子供たちは泣きながら飛び続け進路を塞ぐ、
それらから攻撃こそないものの進路を塞がれては前に進めない、
さらに魔族・人間の親たちがグリフォンの背中から懇願する。
「攻撃しないで!私たちはあなたたちを止めたいだけなの」
「子供に手を出さないでくれ!」
「今はここに留まってくれ!」
「お願いです!私たちの願いを聞いてください」
泣きながら進路を塞ぐグリフォンたちに大鳳部隊は動けない、
さらに特級ガルーダたちがいる山脈付近も同じ手で塞がれていた。
ルーム王国城付近は長門・陸奥部隊が待機してるがここは変化なし、
どうやらグリフォンの本隊は西町だけを攻撃するつもりらしい、
ジセルの部下が各地から飛んできてそれらを報告してきた。
「今ある戦力で戦うしかないな」
俺は潜水艦2隻に極秘指令をした、先行して中枢に近づけと、
おそらく相手はこちらに潜水艦があることは知らないはずだ、
大和を囮にして潜水艦の対空砲火で大元を叩く!
「全艦出港しろ!西町から離れるんだ!」
大和はじめ各艦は西町から出る、5km程度離れた所でストップ。
大和を中心として一番前に古鷹、左右に能代・酒匂。
左後ろに瑞鶴を配置して航空隊全機発進、その横を暁・電が守る。
右後ろに翔鶴を配置して航空隊全機発進、その横を響・雷が守る。
大和の真後ろに利根、阿賀野を配置し状況に応じて援護に走る。
一時間位経った時グリフォンの群れが飛んできた、戦う気満々だ、
一旦グリフォンたちが止まり降伏の意思があるか尋ねてきた。
「降伏するか?」
「それはない」
「なら滅びろ!」
上級グリフォンが開戦合図とばかりに火の球魔法を古鷹に浴びせた、
古鷹の魔法の盾がそれを弾き反撃開始、能代と酒匂も攻撃を始めた、
大和は斜めになり3門の46センチ主砲をグリフォンに向ける。
「主砲発射!」
大和の主砲弾がグリフォンの本隊に放たれた、相手は謎の大盾を出す、
あれはおそらく鉄板だろう、主砲弾はそれに当たり大爆発を起こす、
その衝撃はすざましく近くのグリフォン達を吹き飛ばした。
予想以上の衝撃に戸惑ったのか?グリフォンの動きが一瞬鈍った。
それを見て航空隊が相手を攻撃、翻弄したところを各艦が攻撃する、
次々と落ちるグリフォンたち、劣勢と見た特級グリフォンが前に出る、
そして大槍を出しそれを魔法で弾き飛ばした。
その大槍は大和の指令室に向かって一直線に飛んできた。
「迎撃しろ!あの大槍を打ち砕け!」
古鷹・能代・酒匂の主砲弾が大槍に当たるが槍は飛んでくる、
大和の主砲・副砲弾が放たれ槍に直撃、大爆発を起こす。
だが・・
槍は砕けながらも大和に飛んできて指令室は甚大な被害を負う、
指令室にいたデーヴィドに破片が直撃、大怪我を負ってしまう。
「デ・・デーヴィドさん!」
クリスティーナが悲鳴をあげ泣きながらデーヴィドの介護に向かう、
大和の指令室から煙があがる、グリフォンはチャンスとばかり攻撃、
大和を狙うが後ろにいた利根と阿賀野が前に出て大和を援護する。
各艦は猛烈な対空砲火をグリフォンに浴びせ大和に近づけさせない、
指令室ではジセルがデーヴィドに回復魔法をかけるが効果は半減、
どうやらあの槍には呪いのようなものがあるらしい。
ジセルは槍の破片を蹴っ飛ばして大和の外に出す、すると魔法が効いた、
なんとか立てるまで回復したデーヴィド、すると木人形たちが声を出す。
「司令官様、急ぎ大和から離れてください」
「我らが魔法で西町まで飛ばします、急いでください」
「アメリカ人のあなたが日本の艦で死ぬ必要はありません」
この言葉を聞いたデーヴィドは微笑んだ。
「お前たち、やっと本音を出したな?」
「どういう事ですか?」
「大和に乗っていて感じたんだよ、妙に距離を取るお前たちがな、
用事を済ませるとすぐ離れるしコウには言う冗談も俺にはない、
俺だけならいいがクリスティーナにも距離を取るだろう?」
「それは当然でしょう、日本の艦ですから」
「お前たち、あの戦争で学んでないのか?」
「どういう事でしょう?」
デーヴィドは怒りながら叫んだ!
「大事な人を守りたい行動に・・日本もアメリカもあるか!」
この言葉に大和の木人形たちは驚いた。
「いいかよく聞け!俺たちは昔壮絶な戦争をした、お互い憎んで当り前だ、
だがお前たちも俺たちも根本は大事な人を守りたい!それだけで動いたんだ」
「それはわかります、でも我らは・・」
「ああお前たちの被害は甚大だったよ、だが俺たちはお前らに恐怖した、
爆弾抱えて俺たちに突っ込んできたからな、正気の沙汰じゃない、
だが後から気づいたんだ、お前たちの行動こそ真に守りたい心だったと」
「場所は変わったが・・今俺たちは共に守りたい人たちの為に戦ってる、
俺たちはあの戦争を乗り越えてきたんだ、俺たちに出来ないはずはない、
いい加減昔の憂鬱を捨てろ!これからは共に歩むんだ!」
この言葉を聞いた木人形たちは・・
光を放ち大和を包み込んだ!