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処刑を受け入れるリンとセイアの複雑な想い





俺はイエローとホワイトの王に処刑前に今迄の経緯を説明した、

そして処刑を撤回する2つの条件をクリアできると確認した、

だが処刑は・・セイア達がその場にいないと撤回出来ないと言われた。



そこで俺は時間稼ぎ、王達に出来るだけ刑を引き延ばすよう懇願した、

王達も俺達の援助があったので飢えを逃れた、そのことは痛感している、

そのため俺の願いを聞きいれ現場に指示、儀式等を行い時間稼ぎを実行。



犠牲者が安らかに成仏できるようにとの祈りをあえて大袈裟に行う、

処刑を早めたい兵士たちは焦るが・・王の命令には逆らえない、

ただ兵士達も・・出来れば今回の処刑は避けたいのが本音だった。



というのも・・



死魔法を使った術者は・・今までは卑劣で乱発する輩が多かったそうだ、

どうせ死ぬんだから道連れは1人でも多くと考え一般市民まで巻き込んだ、

そのため兵は処刑を早めに行い次の犠牲者は出したくない気持ちが強かった。



だが・・



目の前にいるリンはまだ二十歳位の細身の女性、大人しく暴れることもない、

兵にしてみれば・・自分の娘や妹位の年齢のリンを見て正直驚いていた、

こんな女性が死魔法を使ったとは・・正直信じられないといった心境だった。



しかし・・



人は・・というかデーモンのほとんどは好戦的、リンもブルーデーモンだ、

しかし彼女の生い立ちを知らない兵士たちはリンに徐々に疑いの目を向ける、

実際死者が出たのだから・・早く処刑するべきだという声が出始めた!



「王よ!いつまで儀式を行えばいいのですか?」



「そうです!次の犠牲者が出たら取り返しがつきません!早く処刑を!」



「儀式は後からでも出来ます!まずは災いを止めましょう!」



兵士たちの声が大きくなり・・さすがの王達もこれ以上は無理だった。



リンはロープを首にかけられたままその場に立っていた、驚くほど静かだ、

時々牢屋の方向に目線を向けていたので・・仲間の安否を気遣ってるようだ、

幼少のころからの仲間に・・被害が及ぶことを恐れているのだろう。



その視線に気づいた兵隊長、なにか閃いたようだ。



「牢屋の仲間を連れてこい!死魔法を使ったらこうなると見せしめに丁度いい」



それを聞いた兵たちが急ぎ牢屋に走る、そしてリンの仲間たちを連れてきた、

兵たちはリンの仲間を縛り・・リンの目の前に並べ座らせた。



「よく見ておけ!死魔法を使った者はこうなるのだ!」



リンの仲間たちは号泣しながら喚き叫ぶ、だがリンは静かに笑っていた、

兵がリンに目隠しをしようと・・



「目隠しは要りません、このままでお願いします」



リンは目隠しを拒否、兵たちはそれを尊重して目隠しを止めた。



「なにか言い残したいことはあるか?」



兵隊長がリンに尋ねる、だがリンは静かに笑って・・



「大丈夫です、お気づかいありがとうございます」



これを聞いた兵隊長は・・驚きを隠せなかった。



「わ・・わかった、では刑を行う・・」



リンは静かに前に出る、俺は急ぎ処刑場に向い・・裏手に回る、

その後ろにエリーナがいた、彼女もリンを助けようと向かっていた、

俺達は空を見るが・・まだタケシ達の姿は見えない。



「まずいな・・このままだと間に合わないぞ・・」



するとエリーナが聖刀「武蔵」を手に取る。



「万一の時は私が突っ込むわ、あなたは援護して!」



「しかし・・それだとイエロー達に喧嘩売る行為になるぞ?」



「構わないわよ、あの子の生い立ちは悲しすぎるわ、死なせたくないわよ」



「それは同感だ!よし俺も突っ込む」



俺も聖刀「大和」を展開、急ぎリンの救出に向かう・・



「ちょっと待って!あれタケシ達じゃない?」



「なに?来たのか?」



遠くの空からスノードラゴンらしきドラゴンが数体こちらに飛んでくる、

徐々に近づき・・ドラゴンの上にブルーデーモンのアレスが乗っていた、

だが・・・



・・・



今まで笑顔だったリンが目を閉じる、覚悟が出来たようだ、

そして・・自分からゆっくり歩き処刑台から飛び降りようとしている、

俺とエリーナは我慢の限界、だが先に気付いた兵士が行く手を阻む。



その時俺の光の原核が輝く、その光は聖剣となりアレスの手に届く、

アレスは・・なぜかわからないがその聖剣をリンに向かって投げた、

聖剣は一直線にリン目がけて飛んでいく・・・



リンは・・・



「アレス様・・お別れです・・」



リンは大粒の涙を流しながら処刑台から飛び降りた!



ロープが首を絞め・・



シュルルルルルルルル・・



スパ~ン!!!!!!!!!!



アレスが投げた聖剣はリンの首に直撃、だが聖剣はロープだけを切断、

一度光に戻り・・リンの首を避けた後実体化してロープだけを切り裂いた、

リンはそのまま地面に激突、打撲は負ったが生きていた。



「その処刑は待ちなさい!2つの条件は揃っているわ!」



セイア達がドラゴン姿から人間姿になり現場に到着、刑の中止を訴えた、

セイアはすぐにリンの元に向かう、そして倒れたリンを抱え・・



「大丈夫?しっかりしなさい!」



この声を聞いたリンは静かに目を開く、そしてセイアを見る・・



・・・・



「アァァァァァァァ・・・・」




ドカヵヵヵヵ・・・



「ごめんなさい、ごめんなさい!アァァァァァァァ・・・」



リンは狂ったように顔を地面に叩きつけ・・ひたすらセイアに謝っている、

おそらく自分が死んだものと思い込み・・あの世のセイアに謝っているのだろう、

だがセイアは生きている、セイアはそれを訴えたがリンは止まらす顔を叩きつける。



血まみれになっても止まらない、表面には出さないが相当苦しんでいたようだ、

それを見たアレスが駆け寄り・・リンをしっかり抱きしめ耳元でささやく。



「リンよ俺がわかるか?俺はアレスだ!」



「アレス・・さま?」



「そうだアレスだ、落ち着いて聴け、お前の罪は消えた、俺に従え」



・・・



「・・・はい・・アレスさま・・」



リンはそのまま気を失い・・アレスはリンをしっかり抱きしめている、

そしてイエローとホワイトに王にリンの処刑の撤回を求めた。



● その王族が非を認め被害を受けた同胞に術者の死刑を撤回させること。



ブルーのアレスが非を認めた、が・・ホワイトとイエローの王はそれを拒む、

アレスは驚いて尋ねる、それに対して王達の返事は・・



「今回に関しては我らデーモンの同胞に対しての死魔法掃射ではありません、

狙われたのはタケシ様、身代わりとなったセイア様に対してなのです、

よって・・貴殿たちはタケシ様とセイア様に術者の死刑撤回を求めてください」



・・・



それを早く言ってくれよ・・



「ただセイア様が一度は亡くなられました、そのため刑の執行を決めました、

ですが・・セイア様が生きていて術者を許さないと・・再度刑を執行します。



● 被害者がその術者を公式に許す事。



これを聞いたセイアが・・なぜか不機嫌な顔して王達に訴える!



「私セイアは術者リンを公式に許します!今すぐ死刑を撤回して!」



なぜか無気味なオーラ―を放つセイアに・・タジタジの王達だった。



「わ・・わかりました!死刑は撤回します!」




「ワァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」




これを聞いたリンの仲間たちは大歓声!号泣しながらセイアに礼を言っている、

セイアはなぜかリンの仲間たちに手を振りながらその場を離れ・・なぜか落ち込む、

それを見たタケシとサユミが駆け寄って心境を尋ねた。するとセイアが語る。



「私・・幼いあなた達を見捨てたのよ・・でも助けに戻らなかったから・・」



セイアはその昔タケシ達を見捨てて北の大陸から離れた、それ以降戻ってはいない、

リンを助けようと必死で懇願したアレスを見て・・自分が惨めな気分になった。



「そんなことありませんよ!今私達は生きています!」



サユミの返事を聞いたセイアは驚いた、そしてタケシが語る。



「弱肉強食の世界では弱い者は滅びます、でも俺達はそれを乗り越えました、

過去を後悔しても仕方ありません、これからを大切に生きればいいのです」



この言葉を聞いたセイアは・・



「ううう・・うぇ~~~~ん!!!」



子供のように泣き崩れた。




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