表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/792

術者リンの叶わぬ恋心と敵と遭遇した第4艦隊




処刑台に向かう女性術者・・俺は彼女をリンと名付けた。



彼女は幼少の頃に両親を失い裏町で乞食生活を送っていた、

3日に1回食べられたらいい方で・・1週間水だけで暮してた日々もある、

いつ死ぬか分からない世界で彼女は同じ境遇の仲間と共に何とか生きてきた。



彼女が10歳位の頃ブルーデーモン王は彼女達を捕獲、ある施設に入れた、

そこは特殊部隊を育てる施設、親のいない彼女達は王には好都合だった、

隠密・・特殊部隊を育成するには身寄りのない者が最適だからだ。



彼女達も・・皮肉にもこの方が幸せだった、訓練は厳しいが飢える事はない、

食べられない苦しみよりもはるかにマシだと訓練に励み力をつけていった、

そして長い訓練を終えた後、彼女達は王子達の護衛任務に就任したが・・



・・・



ほとんどの王子達は彼女達を性欲の対象にして日々その欲求を満たす、

王子達に逆らえない彼女達は言われるがまま身体を委ね耐える日が続く、

心身ともに傷ついたリンたち・・ある日アレスの護衛任務に就いた。



「お前たちは俺達王子達の為に心身を尽せ!それがお前たちの仕事だ!」



その夜リンは王子達に言葉に従い裸でアレスの寝室で待っていたが・・



リンの姿を見たアレスは驚き・・



そして激怒した!




「なぜお前は裸でいるんだ?こんなことは二度とするな!!!」




と怒りながら厳命した!




「早く服を着るんだ!女性が無暗に男性に裸を見せるな!!」




リンは服を着せられ寝室から追い出された、リンには理解不能だったが・・



・・・



なぜかわからないが・・涙が止まらなかった。



その後もアレスはリンの仲間たちが同じ行為をしてきたので全員追い出す、

不審に思ったアレスは側近に調べさせ・・この事実を知った、彼は激怒する、

誇り高いブルーデーモン・・それを汚す王子達の卑劣な行いを許せなかった。



以降・・



彼は他の王子達に圧力をかける、具体的には武器や補助金の打ち切りなどだ、

アレスは軍事と財政を任されていたのでその効果は絶大、王子達は震えていた、

そしてアレスの逆鱗に触れたことを知り・・以降リンたちに手は出さなかった。



リンたちは・・アレスのおかげで身を委ねる生活から解放された。



この時リンには・・自分を一人の女性として見てくれたアレスに恋心が芽生えた、

だが自分は貧困民でアレスは次期国王、叶わぬ恋と悟りこの想いを心に封印した、

そして・・アレスの為なら命を捨ててもいいと決意していた。



その後リンたちは各地を転々として任務を行う、他のデーモンの監視・偵察だ、

このためリンたちは各地の地形や状況などを細かく把握していた。



時が過ぎ・・俺達が現れブルーデーモン王は各地に詳しいリンたちを呼ぶ、

次期国王の万一に備え彼女達を呼んだが・・彼女達の戦闘力は中の上程度、

戦いには不安があったので王は極秘に死魔法を彼女達に教えていた。



現地ではアレス艦隊は紀伊の砲撃で壊滅寸前、リンたちは敵陣に侵入したが・・

死魔法の事は彼女達も細かく把握していた、これを使ったら自分達も死となる、

そのためリンの仲間のほとんどは使うのをためらった、それを見たリンが一言。



「私が侵入して相手の指揮官を倒すわ!皆は援護して!」



「わ・・わかったわ、私達は他で暴れて相手の気を引くわ」



こうしてリンは小鳥にとりつき紀伊の艦橋に侵入して死魔法を放つ、

直後タケシに蹴り飛ばされ戦闘不能になるがタケシの質問には答えている、

おそらく関係のないセイアを殺したことで罪悪感が出たのだろう。



目が覚めた時リンは牢獄にいた、仲間も一網打尽に捕らえられている、

恐怖で震えている仲間をリンは抱きしめ励ます、なぜかリンは落ち着いていた、

死ぬのは自分だけだから・・なぜかリンは恐怖を感じなかった。



翌日・・



兵士たちが来てリンはゆっくり歩きだす、向かう先は処刑台だ、

仲間たちは・・・ただリンの背中を見ることしか出来なかった、

泣き崩れる仲間たち、それを感じたリンはそっと振り向き・・



・・・



笑顔で仲間に別れを告げた。




そのころ・・・



レイナ率いる第4艦隊はカラミティ達と別れ南の大陸付近を偵察中、

カラミティは先般サーラ達の知り合いたちを追ってきた首領の息子の1人、

首領からの信頼も高く・・最強エニウェア達のリーダー格だ。



妹2人・・俺はこの妹たちに仮の名としてリリス・リリトと名付けた、

彼女達は特級に限りなく近い上級エニウェアで強さも確かなようだ、

この2人はカラミティの腹違いの妹らしく・・将来は妻になるそうだ。



・・・



まあこの世界は身内婚OKだから・・



深く考える事はやめることにした。



その妹たちは俺達の食事をとても気に入り・・



秘かに貿易したいとまで言いだすほどだ。




ただ公にするとなにかとややこしいので・・




俺達との軍事境界線にある島で極秘に物々交換することになった、

具体的には・・俺達は甘味系の食料等を収納魔法で運んでリリス達に渡す、

リリス達は漆黒の大陸で大量に採れるある魔石を対価として払うそうだ。



その魔石とは・・



「魔封石」



この石は相手が放った特殊魔法を吸い込み封印する効果がある、

通常魔法・・火や水、雷と光等は封印できないが特殊系は確実に封じる、

具体的には幻惑・混乱・誘惑・支配・召喚・死魔法等だ。



ちなみに俺の「光」は通常と特殊の中間にあるらしい、理由はややこしい、

光は集積すれば物体にも攻撃可能、例えるなら虫眼鏡で太陽の光を集める、

それを黒紙等に当てると燃える、だが手で掴むことは出来ないから・・らしい。



そう考えると「雷」も似ているが・・雷は通常系になるそうだ、

理由はよくわからないが・・魔封石は温度が絡む魔法は封印出来ないらしい、

そのため俺は温度が絡む魔法は通常系、それ以外は特殊系と勝手に決めた。



このことを知ったレイナは取引を快諾、その背景にはセイアの件がある、

ブルーデーモンが死魔法を発動させたことで・・急ぎ対策を考えていた、

死魔法を封印できる魔封石は緊急の対策としては最適の魔石だからだ。



今回カラミティ達は大量の食料と甘味、ワイン等を収納魔法で持ち帰った、

その対価としてソフトボール位の大きさの魔封石を50個ほど置いて行った、

これを小さく切り指輪等に加工して身につければ死魔法も防げるそうだ。



ただ限度があり・・指輪一個につき一回だけしか封印できないらしい、

それと封印した魔封石はすぐ砕かないと完全に魔法を消すことが出来ない、

そのため2~3個身に着ける必要があるので腕時計等にも加工する予定だ。



緊急を要するのでレイナはここで偵察を打ち切り艦隊はルーム国に向かった、

すぐさまルーム国で魔封石を加工、全部指輪にして最前線の兵士に支給した、

次にリリトと取引の約束は3日後、第4艦隊は急ぎ補給を行う。



3日後・・・



約束の島にレイナの部下が上陸、収納魔法に大量の食料を収めている、

だが約束の時間になってもリリトは来ない、しばらく待つこと1時間、

空振りだと思ったレイナの部下は撤収を始めた・・



その時!!!



ズガガガガガーーーン!!



南の大陸方面から巨大な爆発音が響く、これを感じた重巡羽黒が島に向かう、

羽黒は急ぎ仲間を収集・・リリトが大怪我を負い島に逃げてきた、そして・・

後ろには得体のしれない謎の大型鳥が10羽ほどリリトに襲い掛かってくる。



「羽黒主砲発射!エニウェアのリリトを守れ!」



羽黒はすぐさま20.3センチ連装主砲を展開、謎の鳥に照準を定め発射!



「ドゴゴゴゴゴゴーーー!!!」



羽黒の主砲が全問火を噴く、全弾命中し謎の鳥は身体を貫かれ絶命した、

すぐさま羽黒はリリトを回収、リリトは人間姿となり羽黒の医務室に入る、

急ぎ治療と・・極度の空腹らしく急ぎ定食を5人分与えた。



美女が無我夢中で食べる姿は・・本人はそんなことお構いなしに食べる、

とにかく食べようと・・体力を回復させようと次々と口に入れ腹を満たす。



「やっと落ち着いたわ、食事の提供ありがとう」



リリトの爽やかな笑顔を見た料理人ライアン達は・・照れていた。



そして・・



羽黒が叩き落とした謎の鳥を駆逐艦秋月が調査のため引き上げたが・・



・・・



その鳥は・・



・・・



俺達の世界で見慣れているあの鳥・・



・・・



カラスの巨大版だった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ