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青ざめるアレス達と極刑覚悟の特殊部隊の女性術者




戦艦大和はブルーデーモン達を乗せて近くの島に向かう、決闘の為だ、

今のところアレス達とサユミ達は和やかに雑談をかわし好意的ではあるが・・



・・・



だが・・問題は大きく残っている。



それは・・ブルーデーモン達が禁断魔法を使いセイアを死に導いた事だ、

俺はそのことが気になりイエローとホワイトの王とリモート会談を行う、

そこで聞かされた衝撃事実、死魔法を使ったものは翌日極刑と決まっていた。



これに関しては絶対らしく・・王達も止められないそうだ。



それに加え・・



死魔法を使ったデーモン一族は完全悪の存在と位置づけているそうだ、

そのデーモン一族は他に滅ぼされても文句は言えない、さらに衝撃な事実、

今まで10を超えるデーモンがいたが・・そのほとんどは滅ぼされていた。



その理由は共通だった。



同胞に向けて死魔法をかけたので完全な敵として扱われ他が滅ぼしたからだ。



その魔法を使った者たちは現在ホワイトの王城の地下牢に閉じ込めている、

魔法が使えぬよう特殊な首輪をはめて幽閉している。



これに関して・・



サユミ達が遠回しな質問を行う、特殊部隊の行動を知っていたか分析するためだ、

これに対してアレスは自分達だけと豪語、そんな卑怯な真似はしてないと宣言、

確かに彼は今いる部下以外の兵力を撤退、自分達の食料まで全部渡している。



大和にいた調査員が大破した旗艦を調べたが・・アレスの言う通りだった。



アレス達は本当に知らないと判断した俺達はあえて彼らを優遇している、

彼が捕虜を解放したこと、王族であることを考慮しているので食事も提供、

アレス達も俺達が仲間を殺さなかったことを評価しての対応だった。



この連中とは仲良くなれそうだ・・



そう信じてるから・・敵である俺達とも心を許しこうして話をしている。



そんな純粋な気持ちの彼らだから・・



まさか自分の仲間が死魔法を使ったことは夢にも思っていなかった。



俺は王達に質問、どうして死魔法を使ったものは極刑なのかを尋ねた、

戦争になれば殺戮は避けられない、死魔法も生命を奪うという点は同じだ、

それに対しての王の返事は・・・



「確かに戦闘になれば犠牲者は出ます、その辺は一緒にも見えますが・・

ですか考えてください、我らはアレスが言った通り基本的には同胞です、

確かに仲は悪い所もありますが・・普通同胞に向けて死魔法をかけますか?」



「それは・・自分の親や兄弟・姉妹などを確実に殺すようなものだと?」



「そういう事です、我らは確かに同胞と戦いますが最低限の秩序は心にあります、

そのため度を越えた行動、今回のように相手を確実に殺す死魔法は論外扱いです、

実際アレス自身が捕虜を開放してますよね?それは私達が同胞だからです」



確かに俺がいた世界でも兄弟姉妹等が争うことはある、だが大概一線は抑える、

それを超えた時・・その恐怖・絶望や悲しみは想像するだけでも恐ろしい。



「察して頂けましたか?悲しいですがそういう事なんです、そのため・・

我らは他のデーモン達に連絡してブルーデーモンを滅ぼさないといけません、

同胞を死魔法で殺す行動に出た彼らは・・滅ぼさないといけないのです!」



「待ってくれ!その行動に出ることは待ってほしいんだ!」



「どうしてですか?」



「君達の言う通りだと俺も思う、だが今回死魔法をかけられたのはタケシだ、

セイアは身代わりになったに過ぎない、俺達はデーモンではない!」



「そう言われてみれば・・」



「とにかく待ってくれ、俺が今からアレス達と話をする!

その結果がわかってからでも遅くはないだろう?とにかく俺に任せてくれ」



・・・



「わかりました、コウ様の返事をお待ちしています」



「ああ・・ありがとう」



俺はリモートを終了して・・深呼吸して艦橋に向かい紀伊に連絡する、

タケシが襲われた瞬間は艦の監視カメラで撮影されていたので証拠はある、

その映像を転送してもらい・・俺はアレス達のいる食堂に足を運ぶ。



アレスは俺を見て・・感謝の言葉を述べる。



「食事の提供を感謝する、このお礼はいつか必ず・・」



「それはどうも・・それとは別に話をしたいんだが聞いてもらえるかな?」



「それは構わないが?」



「それでは・・まずはこの映像を見てもらいたい」



俺はモニターに紀伊から届いた映像を再生、画像に驚くアレス達、

最初は興味深々で見ていたが・・あるシーンを見て彼らは青ざめた、

どうやら死魔法をかけた術者をアレス達は知っていたようだ。



「えっ?・・あれ特殊部隊にいた娘でしょ?見覚えあるわ」



「ああ・・えっ?あの魔法は??まさか・・」



「嘘!あの魔法は封印していたはずよ!!」



アレスは青ざめ震えていた、彼も術者は知っていたようだ、さらに・・

天使族達が一網打尽にした特殊部隊は顔見知りばかり、疑う余地はなかった、

彼らは悟った、王が極秘に自分達を守るため特殊部隊を派遣していたことを・・



同時に・・・



禁断魔法である死魔法を発動させたことで国そのものが危機であること、

部下の中には・・滅ぼされたデーモンを思い出し怖さで号泣する者もいた、

もう決闘どころではないことを悟ったアレスは・・意気消沈していた。



俺はアレス達に・・自分達の考えとある質問をする。



「ご理解いただけましたか?私も先ほどこの重大さに気づいた次第です、

だけど・・今回の場合はご覧の通り私達の仲間が被害を受けました、が・・

あなた達デーモンに放たれたものではありません」



この言葉を聞いたブルーデーモン達は・・顔を上げる。



「私達は「共存」を掲げています、当然あなた達ともこの気持ちは変わりません、

そのため今回の事に関しては術者以外の事に関しては静観したいと思います、

ですが・・死魔法をかけた術者はどうしたらいいのでしょうか?」



この言葉を聞いたアレス達は安堵の表情、最悪の事態は避けられたからだ、

だが・・すぐに表情が曇る、術者は死刑確実だからだ。



これに関しては・・翌日問答無用で実行されるらしい。



アレスは必死で術者を救う方法を考えた、仲間を見殺しにはできない、

経緯を考えれば・・術者は自分達を助けようとしたから禁断魔法を使った、

そんな彼女を見殺しにはできないと・・そして思い出し俺に説明した。



それによると・・



術者の死刑を撤回するには以下の2つを要した。



● その王族が非を認め被害を受けた同胞に術者の死刑を撤回させること。



● 被害者がその術者を公式に許す事。




一見簡単なようだが・・相当ハードルが高い内容のようだ。



まず上に関しては・・アレスが認めれば問題は解決するが別の問題もある、

謝罪することはブルーデーモンが加害者だと宣言するようなものだ、

当然ながら今後ブルーはホワイトとイエローに頭が上がらないなる。



さらに賠償問題になるので・・王族は通常その術者を見捨てるのが定石、

あくまで個人がしたことにして・・うやむやにして立場を保とうとしている、

そのために王はアレスや民衆には知らせずに極秘に特殊部隊を放っていた。



特殊部隊たちもそれはわかっているので・・



自分達が勝手にしたこととして・・死刑を受け入れている。



もうひとつ・・



これが厄介だ。



死魔法をかけられた被害者は死ぬことが多いので許すもなにも無い、

死人に口なしなので・・術者はそのまま死刑になることは間違いないが・・

今回に関してはセイアは生き返っているので公式に宣言できる。



が・・



・・・



普通の感覚で言うと・・自分を殺した術者を許す者はいない。



セイアも・・この言葉を聞いた瞬間怒り拒否!話を聞こうともしなかった、

彼女にしてみれば大事な甥を殺そうとした危険なデーモンには変わりない、

また先でも狙われるかもしれないから・・当然の反応だろう。



アレス達は・・



国全体に関わることなので考えさせて欲しいと言うので・・



俺は大和の会議室を提供しそこで考えてもらうことにした。



翌日・・・



牢屋に大勢の兵士が集まった。



「死魔法をかけた術者は出ろ!今から死刑を実行する!」



それを聞いた術者は・・



「今回死魔法を使ったのは私だけです、他は関係ありません」



「そうか・・ではお前だけ出ろ!今から刑を執行する!」



術者は静かに頷き・・



処刑台に向かってゆっくりと歩き出した。











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